表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第12章:幸平くんの一日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

190/209

派遣栄養管理士

「橋本、お母さん管理栄養士の資格持ってる?」

 菓子パンを急いで頬張りながら自分の机から橋本に質問をする。

「えー?聞かないと分からないよ」

「頼みたいことがあるんだ」

 ガサガサと荷物の中から携帯を取り出す。

 メッセージの着信でもあったのか、素早く確認すると目尻を下げる。珍しい表情をしてる。


 女子高生らしい速さで打ち込んでから、

「今から聞いてみる」

 と言う。あれ、今の違う人へか。

 詮索するのも悪いので、千種に目をやろうとすると、美樹が

「最近私に内緒で誰かとやりとりしてるみたいなんだ」

 ん?光太郎のこと?

「うん。男の子だと思うだけど」

 三馬鹿の誰かじゃね?

「そうかなあ」


 午後のひとつめの授業のあと、橋本が答えてきた。

「持ってるって」

 やっぱりか。ちなみに他には?

「なんかたくさん書いてある。フードコーディネーターとかほら」

 そう言って画面を見せてくれた


 あーいっぱい書いてある。

「それ写していい?」

「いいけどどうするの?」

 先生とか美也子とか、美樹とか。なかよし水泳会の料理できな…栄養管理が足りないように見えるからさ。

「お母さんがレシピとかを考えるのはいいけど…誰が作るの?」

 そりゃ本人たち…ができないからだな、うん。誰だろう?

 千種…あ、横向いた。忙しくて千紗さんと並んで作ってるのしばらく見てないな。だいたい今日も…。


「あたしが美樹ん家で作ろうか?」

 えっと驚く美樹。

「光太郎くんだっているし、元さんの退院もう少し先でしょ?」

「でも悪い…」

「狭いアパート二部屋に女4人よ?まだ美樹の家の方が寛げるわ」

 もっともだ。それに千種や幸平くんに勉強も教えてもらえるし(前の家だしね)、と橋本は続け

「美樹はアルバイトだってあるじゃないの」

 と、プール監視のことをあげた。

 他家の経済事情をとやかく言うのは不謹慎とも言えるが、すでに様々なことを千紗さんを含めて話し合っている。いまさら、だ。


 名案な気がしてきた。

 先生のところは?

「お母さんを派遣するよ」

 こちらも、年下の橋本結菜だと先生も気まずいだろう。まだ薫さんの方が気兼ねないような気がする。美也子は…正直どう反応するか分からないが。

 千種を見ると、うんと縦に首を振る。

 どうやら問題ないようだ。


「橋本…見直したぞ」

「どういう目で見てたの?」

 以前よりずっと柔らかい顔で橋本は笑う。


 誰も見ていないが千種は苦笑していた。

 そして橋本は…実に黒い笑いをしていた。


 菓子パンうめー。

堂々と光太郎くんを攻略にかかる結菜ちゃん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ