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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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184/211

中盤

 4回。

「同じところ?」

 田所は初回に打たれたところをまた要求してきた。意図が読めない。案の定…。

 またライト前ヒット。焼き直しのようだ。


 と、ここでタイム。交代か?確かに相手の打順が一回りしたし…。

「ファースト菅くん」

 山形から菅か?

 …このタイミングってことは…。袋井を見る。軽く右腕を振る。

 なるほど。


 二番がまた送る構え。やはりロースコア対決と読んだらしい。またワンナウトをもらう。ただし今度は厳しいコース。だがうまく転がされた。


 勝負どころだ。

 申告敬遠を田所は選択。実は想定していたことだ。

 4番はやや紅潮した雰囲気。そりゃ塁を埋めるためじゃないのに自分勝負されたらな。

 さあ、ここだ。


 当然ファーストランナーはスチールをしてくる。チーム一の俊足はデータに入っていた。

 4番は先ほどよりやや後ろに構え、オープン気味。

 ファースト、サードはベース近くに移動しラインを締めて長打を防ぐシフト…からのクイックターン牽制。

 ちょっとしたトリックプレーだった。

 大前監督が事前に準備しており、そのために山形から菅への交代。仕掛けるぞと全員に知らせたのだった。

 万が一がはまってランナーは牽制死。

 その後は田所の要求通りで内野ゴロに打ち取った。


 ベンチに帰ると山形が「ナイスプレー」と大きな声。たいしたやつだ。


 その裏。一番からで突如動きが変わる。一球ごとにセーフティの構え。一、二番とスリーバント失敗に終わったが三番の児島が絶妙にライン際に決め、初めてのヒット、ランナーとなった。四番は

 レフト東原。三つ振ったが文字通りの三振。

 ここまで()()通りだ。


 5回の表を3人で切り抜けた。

 勝負の5番黄田からだ。

 なんとなく嫌な感じをバッテリーは受けたのだろう。フルカウントとして決め球に得意のカーブ。

 しかもゾーン勝負だ。

 ピッチャーの腕の振りから予測して、黄田は右中間を割り三塁に到達した。

 どうする?監督も袋井も動かない。

 仕方ない。なんとか転がすか…とセーフティのサインが投手のモーションより少しだけ早く出た。


 …んな、無茶な。

 雰囲気からスクイズはないだろうとアウトローにストレート。仕方ない、三塁前へ。

 黄田はほんの少しサードを牽制して帰塁。俺もセーフになった。

 アウトカウントこそ違え、表と同じシチュエーション。投手の癖はまだ分からない。

 沢村の、今度はあからさまなスクイズの構えから警戒したバッテリーはカウントを悪くし、結局四球を与えた。

 残った宝くじは1枚。

 圧力を感じたのか、魅入られたようにストレートは田所の一番のスポット、真ん中低めに入り…。

 打球はフェンスを越えた。

 やはり山形は大きな声を次の菅に送っていた。


 試合は4対0となったが、投手戦に戻る。

 6回を終え、俺の球数は80を数えた。

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