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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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183/209

序盤

 軽く一二塁間を破られた。

 先頭打者にライト前ヒット。厳しいコースでもなんなくはじき返される。

 次は…送りバントの構え。


 手堅いな…と思う。

 だけどワンナウトくれるのか。ありがたい。

 ならどうぞとばかり、やや甘めのコースに投げる。成功。お互いに思惑通りに進む。


 三番の鋭い打球はセカンド頭上へ。ジャンプ一番、一条は捕球後セカンドに送球してダブルプレーが成立した。


 裏は一番から。軽く一息。

 三者三振。一息だけかよ。

「バッピより楽だろ?」

 田所の言葉に頷く。休む暇あるもんな。


 2回はプロ注目の4番だ。田所はとりあえず打ち合わせ通りの要求。インコースに速いスライダーだとさ。間違えても当てるほどコントロールは悪くないつもりだ。曲がり過ぎて甘くなる方が怖い。

「え?」

 あの球ごときで後ろに倒れるか?

 かなり頭に血が上ったのか、2球目のシンカーを引っかけてサードゴロ。

 続く5、6番も内野ゴロに仕留めてベンチへ。


「危なかったか?」

「いや。前の試合で当てられたらしい」

「知らんがな」

「今日のおまえのキレは最高だよ。他はともかく、あの4番は今日はもうダメだろうな」

「そんなにうまくいくか?」

 田所はニヤリと笑い言う。

「任せな」


 裏の攻撃。

 4番三振。連続だ。次の黄田は…三つ空振り。

 すれ違うときに黄田は囁く。

「穴だらけだ」

 じゃあなにか、布石かよ。

 ならばと、わざと大振り二つ。確かに変化球で腕が緩むのな。流行に乗りたい俺は三つ目も振り抜いた。下手にファールして、手が痺れたままマウンドに行くのは嫌だった。

「黄田もおまえもどうした?」

 沢村が心配してきた。

「次の打席三つ振ってみたら分かるさ」


 3回。7番にまたインコースのスライダーから入る。ビクッとしたけど見送られた。

 まっ今のが普通の反応だよな。同じコースのシンカーをファールされたあと、アウトローへギリギリ。

 良かった、あそこ取る審判か。もし安定した審判ならロースコアになりそうだった。ならばと8、9番をアウトローを意識させてのインコース勝負。内野ゴロを二つ積み上げる。


 裏は沢村が流行に乗り三振。田所が打席に入るころ、黄田が戻った沢村に尋ねる。

「どうだった?」

「チャンスはもらえそうだ。1回あるか…ないかだろうな」

 わずかな間に宝くじ2枚は三振していた。


 そろそろスタンドがざわめきだす。

 こちらのアウトがすべて三振だからだ。おまけにパーフェクト。

 その方が楽でいい。


 序盤は静かな…そしてあっちが圧倒的な始まりだった。





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