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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第11章:秋のできごと

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黒髪の嫁

「ゆうべはおたのしみでしたね」

 行朝さんがね。

 …久しぶりに遊佐選手の話、俺の高校野球の話と話題が尽きなくて、運転があるからと寝かせるのに苦労したよ。


 誰だ、部屋割りしたの。

 と千種を睨むと

「あたし知らないよ」

 すかさず

「あら、人妻が良かった?」

 と千紗さん。

 …いろいろすんません。


 いつもより少し早い時間の朝食はバイキング。

「今回どうしてもって和田さんからお話いただいたの最近なのよ」

 と裏側の事情を千紗さんが教えてくれた。

「どうしても華さんが美也子さんに会いたくて仕方なくなったそうよ」

 美也子が離れて1ヶ月少し。

 それは…そうなんだろうな。


 駅で千種と俺は車を降りた。

 千紗さんの用事の間は手持ち無沙汰になるから

「デートしてらっしゃい」

 と提案があったからだ。

 そう言えば、らしいことは夏休み以降全くしていない。野球に水泳、それぞれに忙しい。

 すれ違い夫婦か、俺らは。

 …いやまあ毎晩俺の隣で寝てるけどさ。

 らしいことも全然してないな。

「どうしていやらしいこと考えるの」

 千種は不満気に言う。考えを読まれることにも慣れてきた。耳打ちで

「また今度ね」

 こう…むず痒くなるようなこんな感じをなんて呼ぶのか、誰か教えてください。


 実はこの後30分だけ俺も用事があった。

 相原コーチだ。

 朝予定を千紗さんから聞いてダメ元で連絡したら、少しだけ時間が取れると言う。

 ぜひ、とお願いした。


「幸平、久しぶりだな」

 明るい声でコーチは挨拶してくれた。駅中の喫茶店で待ち合わせをしたこの人は、変わらない。


 ご無沙汰してます、と返すと

「なんだ、嫁か?」

 と軽い冗談。

「嫁です」

 と千種。

「橋本の真ん中の娘さんだろ。黒髪に戻したんだ」

 堂々と勘違いした。

「…えーと、そうじゃなくて」

「ち ぐ さです。嫁の」

 なぜ威嚇するかな…。


 柳に風のコーチは気にせず

「あー申し訳ない。あまりお似合いだからさ」

 千種は機嫌を直したようで

「同い年で私は水泳()のマネージャーをしています」

 と自己紹介をした。

「あーあの…」

 と、言いかけたコーチの携帯が鳴り

「ごめん。すぐ戻るから」

 周りに気を使い、電話をするため店を出ていった。


「ときどき勘違いする人なんだ」

 となぜか言い訳がましく千種に言う。

「結菜もあの人から見たら、幸平にお似合いってことかしら」


 全然機嫌直してなかった。


風評被害は結菜ちゃん。

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