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クリスチャンなんで

放課後。

山門さんから集合のかかった坂上さんと坂田さんに連行されて、千種は下校していった。朝の迫力はどこ行った。

「物事には順番があるんだよ」と山門さん。

俺に番号がふられてませんように。

山門総背番号制に反対。俺はNoと言える日本人だ。


すぐに帰ろうかとすると、廊下で泉田先生に会う。

「帰る前に室内プールを見学して行ったら」

今日の内容を短く雑談してると、先生から意外な提案をされた。

「この学校に室内プールあるんですか?」

「去年までの寄付額がかなり多くて、整備の一環らしいよ」

「将来この学校に就職したら給料いいですかね」

「さてどうなるかな」

呵々と笑って先生は職員室の方へ行った。


せっかくだし見ておくかと校舎から外れたプールへと向かう。教室の窓から見ていた時も感じたけど、グラウンドも広くきれいに整備されている。

グラウンドの縁をまわり、室内プール棟へと着いた。できたばかりらしくて、いかにも新しい。

「見学ったってどうすればいいのやら」

責任者を探すにも誰一人いないし、とりあえず誰か探すか…と後を振り返ると

「覗きとかサイテー」

と痴漢扱いな声が響いた。

「失礼だな。見るなら堂々と見るわ」

キョドったら負けな気がして思ってもいない虚勢を張る。

「あ…」と痴漢志望?の女子がいた。

「和田くん?」

ん?その名前。

「さあ?僕は泉田だけど?」

「嘘。和田幸平よね、あなた」

「ダレノコトダカワカラナイヨー」

「…冗談が下手なんだね」

カタコト星人って弱いな。


逃げるか?いや何もしてないのに逃走したらますます怪しいよな。仕方ない。

「俺は早名だけど」

ちゃんと向き合うかと目の前の女子を眺めやる。

名前知らないやつだよな。

顔も……あれ?見覚えがあるような。

いや……やっぱりないような。


ふふっと彼女は微笑んだ。

「なんでもいいや。願いって1日で叶ったらなんかお礼しなきゃいけなかったっけ?」

「神様に?あいにくクリスチャンなんで日本の神様には縁がないんだ」

「縁なんて言う人は日本人っぽいけど」

「そう言われるとそんな気がしてきたぞ」

「素直なんだね。4個メチャンピオン」

ん?

「水泳してるの?」

「結構傷つくんだけど」

「ごめん」

「橋本結菜」

「え?」

「はしもと ゆな」

あー。中学の時の背泳ぎの県優勝者か。確か2日前の選手権で3位になった、最弱王の俺なんかよりよっぽどほんとの実力者だ。その金髪どこかで見覚えがあるはずだ。

「ってなんで、ここに?」

「なんでって…ここの生徒だもの」

絶句して言葉が出ずにいると。

「あれ届いた?」

「あれ?」

「またね」

「もしかして…」

「良かった、届いたんだ」

そう言って微笑んだ彼女は俺と同型の携帯をヒラヒラと振った。



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