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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第10章:三馬鹿、三人娘、三姉妹

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坂上麻里

 キントキがさらりと幸平への気持ちを話すとヒメもマロもため息を吐いた。

「またとんでもない男に恋したね」

「恋じゃなくて、友達になりたい…だよ」

「そこんとこはうちは分からないけどさあ…幸平くんの一番友達になりたいわけ?」

「一番じゃないよ」

 ヒメの会話にマロも続く。


「どっちにしたって千種だよ」

「分かってるもん」

「あんた結菜とも仲いいでしょ」

 三人とも橋本結菜が幸平への気持ちを隠さないことを知ってる。


「最近やっと結菜が落ち着いてきたのに今度はあんたかい」

「だから友達だけだって…」

「あんたはちゃんと()()()の。美樹ちゃんも結菜もどっか突き抜けてるでしょ?ああ言う人は滅多にいないじゃない。だからあんたは普通でいいの」

「どうしたらいいのよ」

「どうしようもなくなるまでは今まで通りにしてな」

「そんなことしてたら、マロみたいに…」


 今それを言うかとヒメは表情を変える。

 分かりやすくマロは紅潮してなんとか言葉を絞り出す。

「わたしみたいに…なに?」

 失言だったとキントキはマロに謝る。

「ごめん。今みたいな言い方は失礼だよね」

 この素直さがヒメをしてちゃんと正しいと言わせる理由だ。


「…いまさらだけどさあ。確かに剛にこじらせちゃってるのが自分でもどうしようもないけど」

 マロ…坂上麻里(さかのうえまり)が幼馴染の山形剛に初恋のまま微妙な距離感でいるのをキントキもヒメも知っている。

 山形は沢村みたいなナカジマだから(?)、麻里の気持ちを知っていても、そのまま放置してるようだ。家同士でも仲が良い上、二人で遊びに行くこともよくある。


 麻里は大杉、玲より小さいがそれでも児島姉妹のさゆりくらいは背が高い。髪は肩まであってその日によって髪形を変える洒落っ気だってある。

 朝一緒に登校する山形もきちんと「似合ってる」とか「可愛い」とは言ってくれるのだ。

 だけと…付き合うとか好きだとか、麻里が一番ほしい言葉だけ未だに言ってくれない。


 キントキはふと疑問が浮かぶ。

「山形くん、なんで野球部なんだろうね」

 あれだけの長身でバスケ部のセンターだ。野球する必要あるのかしら?


「剛に千種の話をしてた時かなあ…。幸平くんの話になってさ、成績もすごいし、水泳もすごかったみたい…って話したらさ、しばらく考えこんでた時期があって」

 幼馴染をナチュラルに煽る言動じゃないか…とヒメは心でツッコむ。


「それからすぐ野球()やるって言い出して」

(手に取るように分かりやすいねっ)

「おまえがいるから水泳は遠慮してやるって」

(美人揃いの中に入るのを心配させないくらい優しいよっ)

「甲子園でホームランうってやるから楽しみにしてろってのも言ってたかな」

(甲子園に行ける前提なのがアホっぽいけど、いい男だよねっ)


「ほんとなに考えてるか分かんない」

((それはおまえだっ!))


「キントキ」

「ん?なにヒメ」

「あんたは正しいよ」

 どこかの世界に旅立ったマロをちらりとヒメは見て天井を仰いだ。


一番のバカップルは麻里さんと山形くん。

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