表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第9章:美也子の帰還、それぞれの助走

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/211

県大会へ

「今日の作戦名は、当たればいいな宝くじ、だ」

 大前監督の言葉に気合ぬけするようにみな笑った。

 野球に欠ける熱は確かに感じるけど、淡々とこなされるアップ。

 どことなくこの地域の風土は職人気質なのだと思う。


 珍しく沢村の乱調から試合は始まった。四球が続きランナーが溜まったところで長打。先制はあちら。

 俺のところにもゴロが来て無難に処理した。守備範囲が狭いだろう山形寄りに守りながら、二遊間側は児島優先でと、試合前に決め事をした。


 裏の攻撃。黄田が粘り四球。俺もまた四球を選んだ。沢村の初球にエンドラン(畳みかける監督のようだ)、内野ゴロとなったが、二、三塁。珍しく柔らかなバットコントロールで田所がレフトの左に落とす。黄田に続いて俺は滑り込む必要もなくホームにもどった。


 味方にエラーが出て失点。裏にすぐに単打、バントと圧をかけなんとか同点にすること二度。俺たたちは8回の表まで5対5と善戦していた。

 裏は黄田から。疲労が見える相手のエースから黄田は右中間に強い打球を放つ。加速するかのようなベースランニングで黄田は三塁を陥れた。


 さて。

 監督はノーサイン。

 いいんかいなと好球を待つと、甘く力のない三球目。

 投手を目標にセンター返し。

 ボールは脇を抜けてセンター前へ。

 通算6打席目でついにヒットとなり、同時に初の勝ち越しとなった。


 再び初球盗塁のサイン。

 本当に攻撃的な采配と思いつつ、2度出塁(四球)で癖の見えた投手のモーションを盗みスチール成功。


 ここで投手が交代したけどコントロールが定まらず、四球。

 畳みかけて再度初球スチールに成功して、塁が空いたので敬遠四球でノーアウト満塁。


 ここで宝くじが当たる。

 山形のバットが美しい軌道を描き、軽々とボールはスタンドインした。宝くじとしては最高の結果の満塁ホームラン。


 最終回は川上が一人を簡単にしとめ、バッテリーごとここで交代となった。ランナー一人を出したものの、東原袋井バッテリーは難なく試合をクローズさせた。


 10対5。

 結果は差がついたけど、どっちに転んでも不思議のない試合だった。


 次は県内4地区の予選準決勝。それに勝てば県大会出場枠8チームに入れる。変則的だけど今ベスト16、次に勝てば県のベスト8まで上がれる位置にいた。


 次の週末2戦(勝てば日曜決勝だ)に向けて練習に励む金曜日、もたらされたのは意外な知らせ。

 新型のインフル罹患者が相手チームに多数でたことによる出場辞退。

 戦わずして俺たちは県大会に進むことが決まった。


この章の最終話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ