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高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第9章:美也子の帰還、それぞれの助走

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三姉妹邂逅

 さて。

 広いはずの千種邸のリビングが手狭に感じる人数。

 机を挟んで橋本三姉妹が向かい合う。

 初めて見る金髪のさくらさん。そしてさくらさんの横に座る銀髪の幼いイメージの…あの子が由麻さんだろうか。

 かたや橋本(結菜)は一人下を向いている。

 さくらさんは黙ってお茶を飲み、由麻ちゃんは気まずそうに視線を両者に向けている。


 俺は…いつものように千種に右腕をとられて傍観者だ。そしてなぜか先生と美也子がいる。


 10分経過。

 この異種にらめっこ戦はいつ終わるんだろうか。


 仕方ない。

 いつだって場を支配するのは女王様がふさわしい。


 …だから俺は美也子に話しかける。

「いつの間にそんなに早くなった?」

「先輩があたしを捨てたから」

 捨ててから…じゃないんだ。

 ぶっ込むよね、さすが美也子。


 由麻ちゃんが嫌そうに俺を見る。

「和田さんってそんな人だったんですか?」

 結菜が(この場だけはややこしいから結菜と呼ぼう)かぶせる。

「あたしもやり捨てされた…」

 さくらさんが反応する。

「結菜、この人に…?」

 由麻ちゃんがさらに嫌そうに

「でも左の人、大事そうにしてるよ」


「あたしが今の愛人なの」

 なあ…千種……。


 さすがに教育者のはしくれに足を突っ込み始めた先生が収集をはかる。


「えーと…依田玲です。さくらさん、お久しぶり」

「本当にお久しぶりです。玲さん。ご結婚されたんですね」

「…縁があって。それでこの子が夫の…えーと…妹の美也子さん、です」

「雑魚先輩には指一本触れられてませーん」

 どんな挨拶だ?美也子。


 少し場が和んだ。それを合図に三姉妹は口を開く。まずさくらさんが結菜に今回苦労をかけたと詫び、その言葉に動揺した結菜が大袈裟に謝り返す珍しい場面だ。

 そして由麻ちゃんが俺たちに向かって自己紹介をした。俺も()()幸平として今はいること(和田幸平を3人も知っているのだ)、隣は婚約者の千種…本人はもう嫁と訂正していたけど(この点だけはほんとブレないな)…であることを告げた。


「ほんとに一人にしてごめんね、結菜」

「もういいよ。アメリカで頑張ってるんだし」

「それさあ。日本に帰ってこようと思って」

「え…?どこに住むの?」

「ここ」

「冗談は幸平くんだけにして」

「本気だけど?」

「大学とかどうするの」

「ここから通えるところ知らない?」

「急にそんなこと言われても…」


「来年高良大学が開校するよね」

 先生が名案?を出した。

「だけど水泳…」

「玲先生の教室に行きたいのよね」

 えー…と結菜は顔を顰めた。

 三女の由麻ちゃんも水泳教室に所属予定と聞く。

 橋本三姉妹がひとつに揃うことになるらしい。


 それにしても…。結菜や大杉たちの練習に時間まで暇だからと中学の放課後に参加した美也子が…まさかインターハイ入賞の児島みさ先輩を煽るほど平泳ぎが早いとは、まるで俺は予想できていなかった。

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