表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高良フェノミナン/phenomenon〜キイロバナのまわりに咲く  作者: ライターとキャメル
第9章:美也子の帰還、それぞれの助走

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

142/209

橋本結菜を巡る冒険

 ◆♠大杉光太郎の受難

 先日橋本先輩からいきなりメッセージが届いた。あの金髪の綺麗な人だ。

「さーちゃんとまーちゃんが来る〜」

 涙付きの短文。

 さて…どんな暗号なんだろう?


「まーちゃんは由麻さんですか?」

 姉から橋本さんは友達が少ないと聞いた。姉も俺と同じで少ないはずだけど。

「そーなの」

 また涙付きだ。

 では謎のさーちゃんとは…同じ姉妹で先にあるから橋本さんより年上…だろうか?

「さーちゃんはお姉さん?」

「うん。よくわかったね」

「…それくらいは最初から説明してください。お願いします」

「そんなこと言わなくてもいいじゃない」

 添付された涙の数が増えた。


 どことなく、この人は気持ちを誰かに話すのが苦手なんだろうなと思い、いっぱい吐き出してくれたら恩返しになるのかなと光太郎はその後付き合った。


 ◆♡大杉美樹の推理

「光太郎、お母さんの検査の日だけど」

 晩御飯の準備中に私が弟に話しかけると、急にビクッとしてこっちを向き、慌てて携帯を背中に隠した。

 ?

 彼女ができたんだろうか。今までそんな気配がまるでなかったから…もしそうなら千種と幸平くんみたいに…幸せな恋をしてほしい。

 だから…相手を見極めないと。

 義務だよね、姉として。

 間違って…ないよね?

 ね、光太郎。


 ◆♡橋本さくらの悔恨

 やっと日本に着いた。太平洋は広いな。

 これから由麻を迎えに行って、そのまま母の入院する山国へ向かう。

 いきなり難しい病名と引っ越しを母から告げられて、驚く間もなく私は日本に戻ることにした。

 一時ではなく留学を取りやめて。

 由麻はまだ中学生だし、結菜は…あの子は優しいけれどまだ反抗期で…でもずいぶん素直になったって母は言ってたし…なによりあの北玲さんが近々競技復帰するって聞いたから…私はあの人に近づきたい。

 私の血に日本は半分しか流れていないけど、なによりアイデンティティは日本人そのものなんだから。

 目標とする人が近くにいるアメリカならと留学したけれど、やはり子供の頃から見てきた巨星(スター)は別だ。

 結菜は母に冷たく当たっていたけど、それが解消されるなら私もそこにいたい。そして今度こそ心をみんなで通わせるのだ。アメリカにいたらそれは不可能だから、日本に帰る。

 もしかしたら結菜には恨まれてるかも。

 それなら誠心誠意謝ろう。


 私も…少し「逃げ出した」意識がある。

 一番大きな決断を、姉妹で一番優しい結菜にさせてごめん。


 今度は…逃げないよ。


 ◆♡橋本由麻の将来

 さくら姉が来る。会うのはいつ以来だろう。

 あたしはずいぶんと記録を伸ばしたから(なーちゃんより早くなった)、さくら姉に褒めてもらえるかな。

 お母さんはみんなが揃うのをすごく楽しみにしている。

 もうすぐ会える。

 …そうだ、あの光太郎くんと言っただろうか、彼にも知らせよう。来年はたぶん同級生になるんだし。

 今度引っ越してそっちに行くんだよって教えたらびっくりするだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ