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クソだと思ったら前の家の子にしちゃうよ

「君が葉くんの弟さんか」

「はい、早名幸平です」

「目の強さがよく似てる」

「姉は美人ですけど」

「顔なんか棺桶に入った時の周りの評価だけで充分だ」

禅宗の師匠さんですかね?

「えーとそれで僕に?」

「ああ。葉くんから頼まれてな。弟を受験させるからえこひいきしろと」

「え?」

「ひいきもなにもトップだから文句なしだったが。せめて私が担任して面倒みるなら多少のひいきになるだろ」

「おまけに君が土壇場で入学式を欠席すると連絡して来たから、代わりを頼める人が見つからなくて」

「そもそも総代って聞いていませんでしたよ」「保護者に連絡したがね」

そういうことね。めんどくさいことを放置する悪癖が姉ちゃんにはある。俺が駄々をこねるとでも思ったんだろう。得心して続きを促す。

「それで早名さんが代わったとお聞きしましたけど」

「その千種くんに交換条件を出されてな。君と同じクラスにするなら総代を務めてもいいと。明日が入学式と言う日に」

千種は他所を向いて知らん顔。

「そんなことがあったんですか」

「なにより喜美子さんの孫だ。葉くんの弟でもあるし」

「はあ」

どういうことかと視線で千種に尋ねると、さあとばかりに千種は視線をずらす。

たった一晩でアイコンタクトできるようになったよ、やったね姉ちゃん、クソ。

「私が案内するからHRまでここで待ってなさい」

それより堂々とひいきを口にしていいんですか?


「失礼します」

と千種は出ていった。先生は千種が出ていったのをちらっと確認して

「さて葉くんから伝言を預かってる。クソなんて思ったら前の家の子にしちゃうよと伝えてくれと。きっと苦々しい顔をしてますよと言っていたが」

時間差で姉が怖くなる。

「本題はここから。あたしの母校はあたしの自慢。あたしと同じ根を生やしなさいだと」

「ね?根っこのことですか?」

「そう。意味はよくわからんが、伝言だから確かに伝えたよ。年だから職員室を出たら忘れてしまう」

深々と俺は先生に頭を下げた。そこで初めて先生は泉田と名乗った。


HRで俺は控え目に他県の出身、昨日は私用で欠席したこと、趣味は読書とロードワークであると自己紹介した。昨日のことは過去だからと特に触れなかった。千種以外の生徒たちはあまり興味なさげだけど一応拍手をしてくれた。俺は泉田先生の案内で教壇から一番遠い席に着く。隣は千種。前は……山門さん?

泉田先生。席順はひいきですか?


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