アンチスーパーマン
なぜか感じる行朝さんの圧力をかわして千種邸を後にする。
「後で隣近所にも挨拶しないとね」
「そうだなあ。嫁とか悪い冗談を言わないなら一緒にお願いできないかな」
「ん。どの家かどんなお菓子が好きか知ってるからまかせて」
「…手土産いるよな?」
「少なくても早名って家は親戚みたいなものだからね。それに幸平のおばあちゃん、早名の名家だよ?」
「金田一探偵?」
「ミステリーにはまだ早いかも。その辺また教えてあげる」
できれば15才にとって近所付き合いよりは学校生活を優先したいものだ。
平坦な道を千種と歩くこと10分。学校が近くになるにつれて周りも同じ制服の人たちが増えてきた。
「地元の人が多いんだっけ?」
「ん、小学校から同じ中学までが半分以上いたけど高校は1/10に減った感じ。最高市が合併で無駄に大きくなって、川向こうの最内は最内校が今年できたから。反対方向の町の学校にも通う人多いし。高高は学科が多いのと私学に変わったから、遠くから来る人も増えたみたい」
公立から民間に払い下げられた(語弊があるけど)こともなにかあるんだろうか。
付属大学ができたり(普通逆なんじゃないな?)、なぜかこの町人口が増えてるんだよね。
「おはよ、千種」
「おはよう〜」
3人の友達と合流したようだ。なら単独行しないといけないかな。
「おはよ。?えーとごめん誰だっけ。初めてのような気がするねっ」
その中の小柄なやけに色っぽい少女が話しかけてきた。
「あ、親戚の早名くん」
「え、千種の親戚?一言も聞いてないけど」
「こいつ初登校だから」
おまえとも昨日が初対面だけどね。
それでと千種は友達に伝える。この人に恋をしたと。
3人は絶句して立ち止まる。
「難攻不落の要塞が…」
「生涯処女の聖母が…」
「絶対零度の極北が…」
「また、それ?」
額に手を当てて千種は頭痛の素振り。
「「「こんな人に恋?」」」
なんかものすごい言葉のヤリが空から降ってきたんですけど。
俺…不死身のスーパーマンにはなれそうにない。