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リビングデッド ~生活保護を悪用してお気楽な無敵生活~  作者: nandemoE
オムニバスパート

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老害頑固ジジィ(3)

・無敵の家

・相続放棄


 数日後、いつものように強引に備前宅に上がり込んだ加奈子が当たり前のように昼食をともにしているときのこと。


「はあぁ……うめぇ。どうしてパパの作ったカレーはアタシの作ったカレーと全然違うんだろう……?」


 加奈子が提供されたカレーを一口食べて感嘆をもらした。


「小娘はどうせただ炒めて煮て、カレールーを入れてるだけだろ?」


「パパは違うの?」


「一口でカレーって言っても、そのときの気分で作り方も材料も違うからな」


「どうやるの?」


「例えば今日のは無水調理をしている。玉ねぎやトマトを多めに入れて、密封した鍋の中に野菜からにじみ出た水分を閉じ込めるんだ。また気分によってはクミン、コリアンダー、ターメリック、カイエンペッパー等のスパイスを組み合わせて作ることもある」


「なにその呪文詠唱みたいな材料」


「スパイスな。最初は油を熱するときにクミンシードだけでも入れてみろ。それだけでも違いがわかるはずだ」


「うーん……よくわからんから、パパに教えてもらいながらやる~……」


「ったく……ま、いきなりスパイスを並べられてもわけがわからんだろうし、最初くらいは教えてやる。だがあとは自分で勉強し、研究しろ。わかったな」


「うん。アタシ、いつかきっとカレーマスターにもなってみせるよ!」


「またわけのわからん肩書を作りやがって……」


 そんなくだらない話をしていると、ふと思い出したように加奈子が言う。


「そうだ! パパ知ってる? こないだの老害頑固ジジィ、自宅で倒れてたらしいよ?」


「死んだのか?」


「ううん? 数日顔を見ないからオバチャンが様子を見に行ったら倒れてて、今は病院なんだって」


「なんだ、生きてたのか」


「残念そうでワロタ」


「だがその先が面白そうな話だな。俺はそういう話がカレーより大好物なんだ」


「だろうと思った。最高のスパイスだと思ってそう」


 加奈子はケラケラと笑った。


「で? どうなったんだ?」


「医療費なんか払えないから、生活保護申請するしかないのに、病院でも俺は申請なんかしねぇって言って、トラブルになったらしいよ?」


「想像にかたくねぇな」


「で、とうとうオバチャンがブチ切れて退院させて、自宅に放り捨てて、そのまま死ねって言ったんだって。ワロリンチョ」


「はは、そりゃいい」


「そしたらね、また倒れるのを待つだけになったジジィもさすがに二回目は怖くなったのか、助けてくれってオバチャンのところに来たみたいで、なんでも言うこと聞くから申請でもなんでも助けてくださいって言わせたらしいよ」


「はは……。たくましそうなオバチャンだと思ってたが、あの老害にそこまで言わせたんじゃあスゲェな……」


「だよね。そんで結局は面倒見のいい、優しいところが出ちゃったんだろうねぇ……アタシが今まで見てきたオバチャン、ろくなのがいなかったから驚いちゃってさぁ……」


「ははは。たしかに小娘が相手にしてきたオバチャンと言えば、更年期サイマー女にヒステリック不倫女、統失ツイフェミ女と、ろくなのがいなかったよな……」


「アタシ、世のなかにはこんなにいい人がいるんだってビックリ!」


「いやぁ……普通はそういうまともな人間のほうが多いはずなんだが……人間ならな」


「アタシ、ダメな動物ばっか見てきたせいか、最近ちょっと自分の目にフィルターかかってたみたいって気づいちゃった!」


「それもCW(ケースワーカー)あるあるだな」


「アタシらの客層ヤバすぎてワロタぁ!」


 備前は苦笑した。


「とにかく、小娘のところに話が来たってことはこないだ聞き取った内容で生活保護の代理申請をするって流れか?」


「ぶっちゃけもうオバチャンに逆らえない状態らしいから、そのままオバチャンが首根っこ掴んでで福祉事務所に連れていけばいい話だとは思うんだけどね~」


「まあ、念には念をってところか」


 そう言って、備前は少し考えるようなそぶりを見せたあと、思い出したように手を打った。


「そうだ小娘。この際その老害頑固ジジィを生贄にして無敵の家ってやつを作ってみないか?」


「む、無敵の家だってぇ!?」


「あぁそうだ」


「老害頑固ジジィを生贄に捧げ、無敵の家を召喚! 的な!?」


「ふざけなくてもいい……で、それがどんな家だかわかるか?」


「ト、トランスフォームしてロケットパンチが打てるとか……? って、いったぁい!」


 加奈子の頭にゲンコツが落ちていた。


「そんな家あるわけねぇだろうが!」


「それじゃあ無敵の家なんて言えないよ! 家だけに……って、いったぁい!」


 備前はため息を一つついて続ける。


「……完全に穴や弱点がないわけではないが、条件次第では税金もかからねぇ。差押えも受けねぇ、家賃もかからねぇ……そういう意味で無敵の家ができるのさ」


「ナニソレホシイ……」


「もちろん、そんな家に住むには相当に図太くなきゃいけないが、あの老害頑固ジジィなら適任だろう?」


「だね! パパそれやってみよ~!」


「作り方はとっても簡単だ。ほかに住む人間のいない、親族名義の持ち家を相続放棄するだけだ」


「相続放棄?」


「死んだ人間の財産は民法の規定によって親族に相続されるだろ? ただ、マイナスの財産も一緒に相続されるから借金だけを押しつけられちゃあたまらねぇ。そういうときは相続自体を拒否できるんだ」


「それが相続放棄ってわけか……じゃあ、プラスの財産だけもらって、借金は相続放棄すればいいんだね?」


「そうはいかん。相続するなら全部、相続放棄をするなら全部を相続放棄するが基本的なルールだ。一応、プラスの財産の範囲内で負債も相続する限定相続ってのもあるがな」


「そっか……じゃあ、相続人は死んだ人に借金がなかったか慎重に判断しなきゃいけないんだね~」


「相続放棄ができるのは相続発生を知った日から三カ月以内。死んだ人間の住所を管轄する家庭裁判所で手続きを行うんだ」


「じゃあ今回のジジィは、先々月に奥さんが亡くなったって言ってたからまだ間に合うね」


「ま、三カ月以内……は原則であって、現実は意外とゆるく受け付けてもらえるぞ」


「どんなふうに?」


「例えば、死んでから数年経ったあとに被相続人が残した税金があるので払ってくださいって相続承継通知という書類が来たとする」


「普通の親族ならお葬式の案内とかで死亡していることは数年前に知ってるよね? つまりは三カ月を経過しちゃってるから、まさか相続放棄ができない……?」


「そこを、その承継通知が来たことで相続発生を知ったと主張すれば、その通知書の日付付近から三カ月以内であれば想像放棄を認めて貰えるケースが多い。ただし、これは同居の親族であった場合は厳しいがな」


「なるほど……でもさ。相続は基本的に全部相続するか全部放棄するかでしょ? 別居の親族でも、すでにそのとき一部の財産を分配して受け取ってましたってときはムリくない?」


「ほかにも一部の負債を払っていた場合も同じ考え方になるんだが……これな、意外と裁判所もゆるいんだよ。貰ってない、払ってない、余計なことは話さない、で意外とすんなり通る」


「ふえ~……それ知らないと真面目に考えて損することもありそう……」


「ま、そんな話とは無縁の人間のほうが圧倒的に多いから別にいいんだがな。俺らと関わるような人間には特に多いんだよ。……相続放棄とは、いわば遺族からの絶縁状だな」


「死んでも家族に拒否られるのワロタ」


「そんな生き方はしたくねぇよな」


 備前は笑った。


「ちなみに、なんで家を相続放棄すると無敵になるの?」


「所有者が不存在となるからだ。固定資産税は所有者に対して課税されるが、相続人全員が相続放棄すりゃあ誰にも課税できねぇんだ……例外はあるが、実質の話な」


「でも、そしたら自分の家じゃなくなっちゃうじゃん?」


「だが、元からそこに住んでいた人間以外にそこを自宅だと主張する奴は実質いないだろ?」


「でも仮にいたら誰も所有権を持ってないんだし、赤の他人と同じ土俵でバトルすることになるかもじゃん……?」


「だから、あのクソジジィの攻撃的な性格が適任だって言っただろ」


「うわ。たしかに……」


 加奈子は顔を引きつらせた。


「でもさ、そんなことしたら借金のカタとかで家を売られちゃったりしないの~?」


「例えば住宅ローン返済中などで抵当権……つまり担保みたいなものがついていると債権者から競売にかけられたり、税金の滞納があると公売にされる可能性はある」


「競売? 公売?」


「裁判所を通じた強制執行や破産者の財産を清算するときに行われるのが競売。官公庁が行うのが公売。入札して一番高い値段をつけた購入希望者に売られる仕組みだよ」


「あーねー。オークションみたいなやつか~」


「民間が行うのが競売、官公庁が行うのが公売。それくらいの認識で問題ねぇ」


「ふぅん……でも、やっぱり売られちゃうんじゃ、無敵の家なんてそううまい話はないよね~」


「だが、そこでマイナス不動産の話が出てくるんだ。買った側が損するような物件を売りに出すのは自由だが、誰も買ってくんなきゃ話は動かねぇだろ? 一方で売る側には管理の手間や金がかかる。つまり売れなそうな物件なら誰も手を出さねぇ状況になるんだ」


「な、なるほどぉ……」


「しかも競売でも公売でも売れたら即退去しなきゃいけないわけじゃない。買った人間と交渉しつつ、新しい住居を探すのでも十分に間に合う。もちろん競売等をしているときも問題なく自宅として住み続けられるぞ」


「つまり、そもそも売れるかどうか微妙なのに、売れたらそのときに動き始めても間に合う……それなら気にせず図太く居座ればいいじゃないってこと?」


「そういった意味でもあの老害頑固ジジィなら最適だ」


「下手したら権利無視で買主に対してもここはワシの家じゃ! とか言って噛みつきそうだしね~」


「地方に行くほどこの条件が成立しやすくなる。あの辺りはいい感じに人口流出が進んでいるし、いい条件が揃ってるからな」


「ガチで無敵の家に無敵のジジィが完成しそうだな~」


「一応補足しておくと、固定資産税にも使用者課税って制度があってな。本当は所有者じゃなくても自治体は実質その土地建物を使用している人間を対象に課税できるようにはなっているんだ」


「え? それじゃあ結局は無敵じゃないじゃん」


「いや? だが現実はそうじゃねぇ。俺がいろんな自治体に聞いてみたところ、そもそも使用者課税を採用していない自治体がほとんどだ」


「な、なんで!?」


「自治体側の視点で考えてみろ。所有者のいねぇ物件の使用者をどうやって特定するんだ? 仮に住民登録台帳から把握できたとして、それだけで漏れなくすべての使用者に課税ができると言い切れるのか? 特定の人間にだけ課税して、一方で課税から漏れてる奴がいる可能性を残すような、そんな不公平な運用を自治体がやってもいいのか……?」


「ダメだよね。行政が差別なんかしちゃ……」


「さらに言うと、家が売りにくいような自治体ほど人的な業務の柔軟性がなくなってくる。つまり、そんな使用者課税みたいな例外的な制度には手が出しにくくなる」


「す、すげ……ルールを整えてあっても、そこを通れなきゃ意味ねぇってところを的確に通過してる感じになるんだぁ……」


「だから最初に言ったろ? 穴や弱点がないわけじゃねぇと。だが、実益を考えればその弱点を突く人間がいないんだから実質無敵ってわけなんだよ」


「抜け道すぎぃ!」


「これなら別に生活保護じゃねぇ一般市民でも固定資産税のかからねぇ生活が可能だ」


「真実はいつもヒドス」


 加奈子はケラケラと笑った。


「ただ、もし相続放棄をするなら生活保護の申請前にやっておけよ?」


「どうして?」


「やはりここでも生活保護は他法他施策優先だ。生活保護申請を先にしてしまうと、そんな状況なのにどうして自分に転がり込んでくる財産を相続放棄するんですか? と問われる可能性がある」


「あ、そっか~。生活保護費を出しつつ家を売りに出させ、売れたら返還金って形で今まで払った保護費を回収するんだね? 年金の訴求受給のときと同じように!」


「そうだ。ほかにもリバースモーゲージ等の活用を打診されるケースもある」


「リバースカードオープン?」


「リバースモーゲージな。家を担保にまとまった金を借りられる制度で、生きてる間はその利息だけを返し、亡くなったあとに家をもって元本を返すって仕組みだ」


「へえー。つまり財産はすべて活用したあとに生活保護を申請しろっていう、いつものお決まりパターンに持ち込まれるわけなんだ~」


「ま、リバースモーゲージはあんまり地方すぎても家に価値がないとみなされて利用できんがな」


「あーねー」


「ただまあ、この持ち家に関する生活保護費の判断は本当にケースバイケースだ。換価して一時しのぎをしても、そのあと借家に住んで生活保護費から家賃を一生払い続けるよりも、持ち家を認めてそのぶんの公費支出を抑えたほうが良いと判断される場合もある」


「住むには十分、売るには不足……その微妙なバランスが大切なんだね」


「そう。そして、そこを顧客の希望どおりに押し通せる能力があれば、俺たちの仕事もはかどるってわけよ」


「いつの間にかアタシたちのやってること仕事扱いになっててワロタ」


 加奈子はケラケラと笑った。


「でも、パパの言いたいことはわかったぞ。先に申請をして生活保護の制限を受ける立場になると融通が効かないことも多いから、福祉事務所が何も口出しする権利がない申請前に可能な限り有利な状況を整えておけってことだ!」


「そう。結局のところ生活保護になってしまえば固定資産税なんぞほかの税金と一緒に税務の部署に執行停止してもらえばいい話だが、今回は老害頑固ジジィにもムカついたことだし、実験台にさせてもらうことにしよう」


「だいさんせー!」


「申請前に可能な限り有利な状況を整える。これは今回のケースに限らず、ほかのケースでもとても重要だ」


「わかったぁ!」


「なかんずく家や車、そういうグレーな部分を手元に残したまま保護を受けたいって奴は多い。言ってみりゃあ、俺たち申請代行の需要ってのは、そういうところを活かしてやれるかどうかってところが大事なんだ。覚えておけよ」


「わかったぁ! アタシ、お家と車の勉強もしとくね~!」


 話に一区切りついたところで備前は首を傾げた。


「そういえば、小娘は自動車の免許って持ってるんだっけか?」


「ううん? 持ってないよ?」


「じゃあ、一応取っておけよ。いざってときに便利だからな。どうせ暇なうえに、養分から吸い上げた余裕があんだろ?」


「そうなんだけどさぁ……生活保護の身分でも教習所に通ったりしていいの……?」


「当たり前だろ。つい最近まで通勤や通院など厳しく用途を限って車の使用を認められていたが、実はこないだ裁判があってな」


「マジ? どんな裁判だったの?」


「通院に限って使用を認められ、走行記録を細かくチェックされていた生活保護者が走行記録の提出を拒んだことで保護を廃止されて争っていたんだ」


「あー、なんとなく理由が推測できる。どうせ通院以外に利用してたから走行距離とかの辻褄が合わなくて怒られる。だから走行記録を提出できなかったんじゃないかな~……」


「真実は知らんがな。ま、結果的に裁判では福祉事務所側が負けたんだよ」


「福祉に関しちゃ自治体って立場が弱いよな~……」


「んで、最近は車の用途を買い物等にも拡充するって、お上からお達しが出たんだ」


「へー。それじゃあこれから福祉事務所はやりにくくなるだろうねー」


「一般国民からしたら恐ろしい話だよ。オンボロ車が飛んできて轢かれても相手は生活保護者様だからな。言っとくが、俺は車検切れ自賠責切れの車を乗り回す奴らをたくさん見てきたからな? ……しかも責任能力なんてねぇから実質的に保障はされん。泣こうが喚こうが死のうが完全なる轢かれ損だぜ」


「生活保護踏み間違い逆走爺|(攻撃力8000)の攻撃! 魔法無効! トラップ無効! 貫通効果! うわっ前から若者がミサーイルッ!」


「フルコンボだな」


「って、死ぬわ!」


「んで、他人が死んでも悪びれねぇような奴ら、と」


「ゲームテーブルを叩き割る効果すら持ってそうなモンスターだな」


 加奈子は頭を抱えた。


「だがまぁ、生活保護者からすれば生活しやすくなる側面もあるからな……小娘もこの際だ、免許を取っておけよ」


「うん……パパが言うならアタシも教習所も通う~」


「よし、素直でいい子だ。そのなんでも学び、なんでも身につける姿勢を忘れるなよ」


「アタシも今回はあんな頑固ジジィみたいになっちゃダメだなってわかったから、素直になるよ~!」


「だが、素直になりすぎて悪い奴に騙されんなよ? あくまでバカを見るのはバカだけだぞ」


「そこはもう悪いパパに騙されてるから平気ぃ~」


「そうか」


 備前宅の昼食は、今日もほのぼのとしていた。





■ 番外編  ちょっと珍しい相続手続き ■


「おい小娘、相続についてはちゃんと勉強したのか?」


「うん! もうバッチリ!」


「そうか。なら確認問題を出してもいいか?」


「まかせとけ!」


「夫A、妻B、子Cの三人が関わるケースで考えよう。夫A名義の土地建物、いわゆる実家があるとする」


「それ以外の親族はいない想定?」


「ああ。その他遺言等も考慮不要だ。そして子Cは独立し別に家庭を持つため、実家は相続したくないと考えている」


「オッケー! 前提はおさえた!」


「まず夫Aが死ぬ。実家には妻Bが居住し続けるため相続上の手続きは行わなかった。そして次にすぐ妻Bが死ぬ。そのときに子Cは妻Bからの相続について放棄を行った。だが次の年、子Cに宛てて実家の固定資産税が来た。なぜだ?」


「それはね〜。民法による法定相続では相続の第一順位は子。妻はいつでも相続権があるから、このケースでは夫A死亡時に妻Bが1/2、子Cも1/2を相続していたことになるからだよ!」


「ほう」


「つまり、最初に夫Aが死んだ時点で実家の1/2を得ていた子Cは所有者の一人として連帯納税義務を負っていた! つまり嫌でも固定資産税を払わなければならない! この先、実家を処分しない限り毎年ね!」


「ふむ……基本的な相続は学んでいるようだな」


「ぃやったぁ!」


「だが、それは中途半端に知識を身につけている奴がハマる落とし穴だったな」


「なぬっ!?」


「本当にバカを見るのはバカだけだな。小娘の中途半端な知識のせいで子Cはずっと固定資産税を払うハメになったぞ」


「は、払わなくてもいいのっ!?」


「そうだ。こういう連続した相続が発生した場合にはな。あとに死んだほうの相続放棄だけすりゃあ複数の相続放棄をしたことにできる再転相続ってルールもあるんだ」


「うっそーん」


「下手したら自治体すら勉強不足で納税義務があるとか言ってくるからな……しかも中途半端な知識のせいで当たり前だと思っているぶん説明すんのがダルい」


「ア、アタシもしっかり勉強したつもりだったから逆にハマった……」


「要はな。自分が知ってることだけがすべてだと思ってると、こういう落とし穴にハマる。これに限らず驕るな小娘」


「そうだね〜。世の中すべてのことを知り尽くした人間なんていないんだから、自分の知識が正しいなんて決めつけは傲慢だったかも〜……」


「田舎の実家を相続したくない奴はゴロゴロいるんだ。これから増えるケースだからよく覚えておけよ」


「うん、わかったぁ!」


 いつもお読みいただきありがとうございます。


 すみません。今回は学習内容を1話に詰め込みすぎちゃって読みにくいかも……

 あとで上手く分散させられるようなところを思いついたら修正するかもです。


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