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リビングデッド ~生活保護を悪用してお気楽な無敵生活~  作者: nandemoE
オムニバスパート

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外国人(3)

・難民申請や外国人絡みの問題は多い


「安岡君。さっきの外国人はもちろん……?」


「ええ、三年経過していますよ? ……図ったかのように」


「真実はいつもヒドス」


「ま、和竜のジジィも若ぇ女に鼻の下伸ばしたんだから自業自得だろうよ。こういうケースは他にも女に逃げられたりと色々面白ぇ」


「強制送還されそうになる妻を引きとめようと必死にロミオとジュリエットしてる生活保護者とか笑えますもんね」


「入管に、お前生活保護者だし養う能力ねーだろって相手にされねーの笑うよな」


「それで必死に働き口探そうとするんだけど、生活保護の中年なんて誰も必要としてないって壁にブチ当たる……それを本人は至って真面目に妻のために足掻いてるのが見苦しすぎて見ていられないんですよね」


「しかも、愛し合ってると思ってンのはロミオだけって現実が傍から見て喜劇なんだよな」


「これで一本、異色のラブコメ小説が書けますよね……バッドエンドですけど」


 備前と安岡は同業者トークで理解し合ったように笑いながら雑談を展開した。


「そ、そんなに外国人絡みのケースって良く見るんだぁ……」


 加奈子は二人の会話を聞きながら呆然とこぼした。


「どっかに日本人男性と繋ぐ仲介役のブローカーでもいるんじゃないかって思うくらい多いですよね~」


「狙ったように底辺男性ばっかと結びつけてんかんな……ま、世の中知らないほうがいいこともあるってことだな」


「ひえぇ~。そんなんで30歳も離れたオッサンと……って、アタシで言えばパパとくっつくみたいなもんか~……」


「は? 気持ち悪ぃこと言ってんじゃねぇよ」


「全力拒絶されてワロタ」


 加奈子はさほど気にした様子もなくケラケラと笑っていた。


「で、安岡君。次は相手の男のほうなんだが、さっき自分の親族と偽って他人を入国させたと言っていたね」


「そうなんです。不正に入国した者とともに一度は捕まりました。でも、そこからなんらかの事情を勘案されたらしく、俺にもよくわからないんですが、現在はマリアのところに解き放たれているんです……備前さん、こんなことってありえるんでしょうか?」


「詳しい事情がわからないんじゃあなぁ……」


「マリア自身に聞いても、まず本人が良く理解していないから説明が要領を得なくて全然わからないんですよ。六カ月がどうとか、本人としては真面目に説明しようとしてくれてるのはわかるんですけど……」


「……さすがにそれだけじゃわからんな。だが、なんとなく難民申請をしているような気がするな」


「「難民申請?」」


「聞いたことはあるだろ? 紛争地域などから海外に逃げる奴がいることくらい。日本も難民の受入国になっているんだぞ」


「いや、男の祖国に紛争なんかなかったと思いますが……」


「だが、家族が人質とか物騒なことを言ったんだろ? 帰国したら自分も迫害される可能性があるとか、認められるかは別として、その男からしたら申請理由にはなるんだろうな」


「そーなのパパ?」


「言っておくが、もっとくだらない理由で難民申請している奴なんかゴロゴロいるからな? ビザの期限が切れただけで難民申請とか、フザケんじゃねぇって話だ」


「なんでそんなこと……もしや日本で生活保護を貰いたくて申請してんのか~?」


「んー、まぁそういうのもいるかもしれんが、実はそういうのは少数派だ。なんせ難民申請ってのはそう簡単には通らないからな」


「そーなの?」


「直近じゃ年間約1万4000件の申請で、通ったのは300人程度だ……ただ、この数字は最近になって急に申請数が伸びただけで、少し前は年間数千件で、通ったのは10件程度だったと記憶しているんだがな……」


「ほぼ通らないんだね……? もしかして難民申請って意味ない?」


「いや、ある。実は多くのケースでは、その難民申請自体が目的なんだ」


「申請自体が?」


「あぁ。なんたって申請すれば認定か却下か審査をするだろう。ということは時間がかかる。その間、日本に滞在できるってことになる」


「うわ。マジかよ、日本に滞在するために通る見込みがなくても難民申請してるってこと!?」


「そういうことだ。最近になってようやく3回目以降の難民申請で強制送還できるようになったんだが、それ以前はずっと却下からの申請でループ居座りが可能だったんだ」


「ずっと俺のターン! ……って、ぶっ壊れてんだろ~」


「まぁ生活費やなんだは自分でなんとかするしかねぇが、ホレ。どこの国とは言わねぇが一族が一族を呼び込んで集団化し、地域住人とトラブルになってたりするケースを最近良く聞くようになっただろ」


「あ~……」


「そんな規模になっちまったら何かあっても仲間を庇ったり隠したりで手に負えねぇ……おそらく、これから難民申請回数によって強制送還される側の抵抗が表面化すんぞ」


「やっば……」


「ま、それもこれも、ちょっと好き勝手しすぎた外国人対策がようやく動きだしたってところだな」


「ぜ、善良な外国人が可哀想だなぁ……」


「なぁに、善良なら問題はねぇんだよ。善良ならな」


「ト、トゲがあるぅ……」


「生活保護や難民に限らず、外国人の税金等の納付状況を知っている人間からしたら……なぁ? 安岡君?」


「な、なんで俺に言うんですか……? い、言いませんよそんなこと」


「税金って、住民税とかだっけ?」


「ほかにも所得税、車や国保……そういえば消費税も問題だったよな。外国人観光客が消費税の免税制度を利用して購入した物品をちゃんと自分で使おうと国外に持ち出すなら適性にルールの趣旨が活きるんだが、なんとほとんどの商品は外国人観光客が国内に滞在しているうちに転売されているという法の抜け穴が問題になってるんだ」


「免税制度を使って安く買った物を売り捌いてるってこと……?」


「ま、これについては対策がされそうだがな……とにかく、外国人と金の問題はメチャクチャ多いんだ」


「うへぇ……」


「笹石さんの言った住民税なんてまだいいですよ。ビザの更新に納税証明の添付を求められるので、それを理由に納税する外国人もいますから」


「じゃ、じゃあそれ以外の税金は……?」


「小娘はなんでさっきの消費税免税の問題なんかが起きると思う? お前、海外旅行に行ったらその国の税金までキッチリ払いたいとか思うのか?」


「ヤダ」


「その逆もまた然りってことだろ。ま、この先はおそらくほかの税金関係も徐々に滞在許可などに影響してくるように変化していくと思うぜ?」


「へぇ~」


 加奈子は感心したように深く頷いた。


「ま、このように外国人に関係する問題は難しい。強制送還当日に飛行機で暴れて搭乗拒否されるなんてやり方で抵抗した奴もいるらしいからな……だが、それが決して外国人だけの問題じゃねぇってことも知っておかなきゃならねぇ」


「底辺日本男性が若い外国人女性を呼び込むとかね」


「そうだな。日本側も脇が甘いから付け入る隙を与えてるってことを覚えておけよ若者」


「はぁい」


 加奈子は元気良く手を上げて返事をした。


 そんな様子を安岡は驚いたような顔で見ていた。


「備前さん、いつもこんなふうに笹石さんを育てていらっしゃったんですね……素直に感心せざるを得ませんでした」


「そうだろう、そうだろう」


「でも、大体は悪いことだけどね~。マジ・ブラックじゃん」


「小娘は黙れ」


 と備前が拳を振り上げると。


「備前さん、あんまりゲンコツしたら笹石さんがかわいそうですよ」


 安岡が止めたので備前はやむなく拳を下ろす。すると頭を抱えるように防御姿勢を取っていた加奈子が今度は得意になって言う。


「ナイス安岡さん! へっへーんだ! トゥーンはトゥーンでしか攻撃できまセーン!」


「意味がよくわからんがムカつくからゲンコツだ」


「いったぁい! ……結局ゲンコツされたぁ。ブラック・ホゴシャンが物理攻撃かよぉ~」


 そんな二人の様子を見て安岡は笑った。


「なんかお二人を見ていると、本当の親子のように見えてきましたよ」


「おいおい勘弁してくれよ安岡君。俺の子供たちをこんなバカ娘と比べてもらっちゃ困るよ」


「そりゃあ備前さんのお子さんなら優秀でしょうけど、最近は笹石さんを見ていると思うんですよね~……もしかしたらすごい人になるんじゃないか……って」


 安岡の言葉を聞いて加奈子はとても嬉しそうな顔をした。


「うわっ! ねぇ聞いたパパ! アタシすごくなりそうだって!」


「何言ってんだ小娘が。んなもん根拠のねぇお世辞だよ」


「え!? ……そうだったの安岡さん?」


「はい。ただのお世辞でした」


 淡々と澄ました顔で答える安岡を見て加奈子は顔を赤くした。


「んもー! 酷いじゃん! アタシただのバカみたいじゃん!」


「バカだろ」


「ムキー!」


「ははは、その叫び、サルだったか」


「フガー!」


 などと加奈子が大声で叫んでいると。


「あの~……庁舎管理の者ですが、先ほどこちらの窓口で外国人の方が騒いでいると通報がありまして……」


 そう言って現れるスーツ姿の男性が備前たちのすぐうしろに立っていた。


 オブザーバーごっこの騒ぎを聞いてやって来た庁舎管理担当が、今の加奈子の叫びを聞いて近寄ってきた構図である。


「あ、この人です。すぐに摘み出してください」


 備前はとっさに加奈子を指差す。


「ノー! ミーじゃありまセーン!」


 加奈子は頭を抱え、カタコト日本語のような口調で叫んでいた。




■■今日のオマケ■■


 帰り道で加奈子が備前に尋ねた。


「でもさぁ。外国人の日本での滞在って、実際大変なところもあるよね。滞在できても保障はないんだしさ……実際はどうなの? いくら生活保護が適用されないとはいえ、今にも死にそうな人だったら放っておくことができるの?」


「じゃあ聞くが小娘。お前は人間を永遠に生かしておくことができるのか?」


「え、無理」


「人が死ぬのは犯罪か? 悪いことか?」


「いや、それが普通だけど……」


「なら死なせておけばいいだろ。なんで人を死なせてはいけないみたいな話をしてんだ」


「いや、助けようとするかどうかは……」


「まぁたしかに緊急的な対応は可能だ。だがそんなことはいい。大体、観光じゃなく滞在してる奴らは入国時に国内での生活を保障する人間を立てて入国してんだよ」


「そーなんだ」


「だから生活費がなかろうが、医療費がなかろうが、そんなもんは保障した奴個人に払わせればいいだろ。なんで関係のない国民に負担させようとするんだ」


「たしかに」


「そりゃ現実には保障した奴が消えたり連絡取れないケースはザラだ。だがな、それはそいつを信じた、またはリスク承知で入国した奴の責任だろ」


「出た! バカをみるのはバカだけだって言うつもりだな!」


「人間はな、万策尽きたら大人しくそこで死ねばいい。それが自然だ」


「やめないで! 相手のライフはまだゼロよ!」


「嫌だっつーんなら国に帰らせておきゃあいい。リリースだ」


「なんか墓地送りみたいに聞こえるなぁ……」


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