表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

雪解け

作者: あらひ

ねぇ大丈夫?

なんで泣いてるの?


あの二人が綺麗で眩しくて泣いちゃったんだ


君の両親だったのか

仲が良いんだね


彼女と奴が幸せそうに生きてる


そんなに泣いたらお顔とけちゃうよ

でもねー泣きたいときには目一杯泣くのがいいんだって

おとーさんが言ってた


それは俺が奴に言った言葉

彼女の訃報が届いたとき


奴はそれでも泣かなかった


俺の前では



訃報を聞いて俺も涙を浮かべていたから




二人でがむしゃらに働いた


張り詰めた糸が切れないように

立太子の儀をおえて

奴はいなくなった

俺を支える人をありったけ増やして


その代わり奴はいない

私は泣かなかった

重責を背負い

前を向かなきゃならなかったから

私は探さなかった

奴は戻ってこないから

見つけても糸の切れた奴を

俺の親友を説得できる気がしなかったから


今度は彼の訃報を私一人で聞いた

泣けなかった

泣いていいんだと言ってくれるはずの奴がいないから


そこから暫くは記憶がない

世界にあの二人がいないのが信じられなかった

どこかで信じていた糸がきれてしまったから

ふと彼女が好きだった金木犀の香りがした

顔を上げたらモノクロの世界の中に私一人だった

それでも私には責務がある

モノクロの世界を支える責務が


立太子から十年たった


おしどり夫婦の美味しいパン屋の話しを聞いた

今はほとんど街にでていない

もう街に出れる機会もなくなる

最後にいいかと思って街に出た

そこかしこに三人の思い出があった

変わってしまった店もある

それでも三人で過ごした思い出は残っている

その中に一人だけだとという哀しさを受け止められなくなってきた頃パン屋を見つけた



やっとやっと泣けた

目が溶けるほど

あいつらに知らせるのは今度にしよう



今は心配してくれる可愛いお嬢さんにだけ




ジャンル迷子です。

ローファンタジーにいれていいものか童話なのか…?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ