表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただ貴方だけの鎮魂歌を  作者: 白本つづり
CASE.1 松原 楓
4/4

CASE.1-3 依頼完了

松原楓が事務所を訪れて数週間が経過した。

松原本人は訪れてから2日後、天寿症により永遠の眠りについた。その事はテレビやニュースでも大きく話題となり、ワイドショーは連日松原の生前の話や出演した作品の話でもちきりとなり、また葬儀が親近者のみで執り行われたことや、お別れの会を49日の後行うことなど、世間の話題にはこと欠かさなかった。


「しかし、いくら有名人だからといって、ここまで大きく取り上げるかな?外国の大統領とかが亡くなった時も2日3日でもうニュースの中心から居なくなるっていうのに」


事務所で瑞戸がコーヒーをすすりながら、自身のパソコンでネットのニュースを漁り呟く。松原のニュースは数週間経過し、もうすぐ49日になろうかというところではあるが、他に有名人の訃報を含め大きなニュースが無かったことから、未だにトップニュース扱いで特集が組まれていたりする。


「著名な人間で初めて出た天寿症での死者、というのもあるんだろうな。松原に続く患者もいないし、視聴率を上げるためによりセンシティブに報道している印象はあるが」


炬坂もコーヒーを飲みながら、パソコンに向かって作業をしている。松原からの依頼で、数日後に控えているお別れの会で曲を流して欲しい、という事だったため、現在はその曲の仕上げに入っているところだ。


「しかし、今までより納期まで長いからといって、依頼人の要望を聞きすぎた感はあるな……。ここまで生み出すのに時間がかかるとは思わなかった」


「確かに、いつもならズババーって仕上げるのに、今回は随分と時間かかってますね。あの要望を聞いたら確かにそうなってしまいますけど」


「まあ、より良いものを作るには必要なことだ。これまでもそうだったが、納期いっぱいまで曲と向き合うのが、俺のポリシーだからな」


「その分お金も弾んでくれましたしね」


「それは言うな」と炬坂は苦笑すると、カチカチッ、とダブルクリック。その後に大きな伸び。


「……っと、これでブラッシュアップも完了、と。『差し入れ』に苦慮はしたが、なんとか完成したな」


「お疲れ様です。こちらもお別れの会の主催との打ち合わせが終わりました。手筈通り行われる予定です」


「助かる」


そう言うと、炬坂は残っていたコーヒーを全て飲み干した。後はお別れの会当日を待つばかり。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ