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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

僕は、君を愛してる

作者: 砂上楼閣

僕は今、心の底から愛した女性と繋がっている。


鼓動が、温もりが、彼女の命そのものを感じさせてくれた。


「……して?」


君の艶やかな唇から漏れ出た声が、鼓膜を震わせる。


好きだと、耳元で囁いた。


ゆっくりと君の手が僕の体をまさぐり上がってくる。


そして、僕と君とを繋ぐ場所を、震える手でそっと握る。


「どう…?」


段々と浅く早くなる呼気が、僕の耳元をくすぐった。


その問いかけに、好きだよと返す。


語彙が少ないとか、単純だと言われても、それしか出てこない。


滴る滴が床に小さな水溜まりをいくつも作る。


ぴちゃりと、生々しい音を立てて、染みが広がっていく。


「君が好きだ」


シンプルでチープな、けれどそれ以上には表せない好意を伝える。


互いの吐き出す息すら感じられる至近距離。


君の瞳が細かく揺れ、うっすらと瞳が潤むのが見えた。


信じられない、この期に及んで彼女の顔には困惑が浮かんでいた。


僕は君に突き立つものをゆっくりと、より深くに、根元まで押し込んだ。


痛みに喘ぐ君の表情が、震える身体が、繋がり伝わる鼓動が、全てが愛おしい。


「どう、して…?」


三度目の問い。


「君が好きだから」


僕は手元を小刻みに動かしながら、その都度変化する彼女の表情を目に焼き付ける。


僕は君の笑顔が好きだ。


けれど、苦悶の表情を浮かべた君も、とても魅力的だよ。


「……どうして…!」


四度目の問いかけ。


どうやら僕の好きだという答えでは、満足してもらえないようだ。


こんなに君を想って、大切な場所を深くまで貫いて繋がっているのに。


「僕は君を……愛してる」


好きよりも、愛してるの方が、言葉にするのが恥ずかしい。


けれど、彼女が納得して、満足してくれるなら…


僕は君に愛を囁く。




僕と彼女を繋ぐナイフを、今度はゆっくりと引き抜きながら。




彼女の心臓を貫いていた刃からはまだ、熱いくらいの温もりを感じられた。


「愛してるよ、◼️◼️…」


貫いていたモノは、君の体液で蠱惑的に濡れている。


段々と姿を現す刃は、君の色に染まっていた。


どこまでも赤くて、君のものだと思うと、とてもとても、綺麗で、愛おしい。


「なら、なんで…。私だってあなたのこと…」


愛してたのに、と。


弱々しく呟く彼女に、僕は答えた。




「僕は君が好きだ。愛してる。だけど…」


君がこんな僕を好きで、愛してくれてるなんて、僕自身が信じられないから。




だから君をころす。


ナイフを一気に引き抜き、吹き出した彼女の鮮血を全身で浴びる。


全身に感じる君の命、温もりを忘れないように、君を抱きしめた。


僕の中に、君のぬくもりが宿るのを感じる。


これで君は僕のもの、僕だけのもの。


好きで、好きで、大好きな君を、ずっと、ずっと僕だけのものにしたかった。


これで、君の愛を心から信じ続けることができる。


僕は、君を愛してる。


君も、僕を愛してる。


これで2人の愛は永遠のものだ…

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