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聖女だけど、偽物にされたので隣国を栄えさせて見返します  作者: 陽炎氷柱
第二章

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25.前触れ

 エダは基本的にポーションを卸すだけのために来ていたようで、ケイン村には薬師のための施設がない。だけど私は鑑定という名の診療をしていくため、野ざらしという環境に抵抗があった。

 そこでハンナのように見られたくない人もいるからと村長に相談してみたところ、空き家を快く貸してくれたのだ。ありがたいことに村人が定期的に掃除しに来てくれているので、私は診て帰るだけでいい。



「隣の村の連中が最近、フラウアに王都から避難して来たヤツがいたって言ってたんっすよ」



 運び込まれたポーションやら薬草やらですっかり薬局っぽくなってしまった空き家に移動しながら、門番は世間話の続きをしてくれた。



「フラウアって、この辺りじゃ一番大きい町の?」

「そうっす。娘夫婦がフラウアで宿屋やってる婆が言ってたんで、間違いはないですよ」

「ということは、避難してきた人は宿に泊まったんですか?」

「かなり身なりがいい二人組らしいけど、連泊してるから貴族じゃないだろうって」

「貴族はだいたい地方に屋敷を持ってることから、わざわざ宿に泊まることはないだろう?」



 ミハイルの補足に納得しながら、私はもうこの辺りにまで避難者が来るようになったのかと考える。

 この付近は一応帰らずの森に含まれているので、かなり道が険しいと聞く。栄えている方とはいっても、王都からフラウアに行こうと思えば馬車ではきつい山道を行く羽目になる。

 だから私の予想ではまだ当分は大丈夫だったはずだが、この世界の都会人はなかなかにパッションがあるようだ。



(もしくはこんな山奥に逃げたくなるほど病気が流行っているってところだけど、あんまりこの可能性であってほしくないな)



 顔色を少し悪くした私に怯えていると勘違いしているのか、門番は慌てて励ましてくれた。




「だ、大丈夫ですよ!あの病気は都会のもんにしかかからんって話ですし、この辺りは戦争とも無縁っすから天罰が下ることもないっす!」

「へえ、病気って天罰なんだ?」

『こっちを見るな。そんなわけないってお前も分かってるだろ』

「まあね。天罰なら、あの国はとっくに全滅してなきゃおかしいからね」

『嫌な判断基準だな……』



 ミハイルたちは天罰の話自体は信じていないようだが、それでも病気にかかる理由は知らないようだ。現代であればまず笑い飛ばされる話だが、門番は冗談で言っているわけではなさそうだ。



「それにコハク様もいますし!ほら、見てくださいよ!あいつら、今日コハクさまが来るって聞いて、大したこともないくせに早朝から並んでるんですよ!」

「うわ、ほんとだ。十人はいそう」

『今日はずいぶん多いな。いつもは二、三人くらいだが』



 半分私物化している空き家が近づくにつれ、その前に行列ができているのが目に入る。田舎の診療所よろしくこの空き家の前にはいつもお年寄りが雑談しているが、今日は少し様子が違う気がする。というか、若い人が多い……?



「何かあったんですか?」

「おかしいな、そういう話は聞いてないんっすけど……」

「悩んでいても仕方ないですね。今日はこのまま診察始めようと思います」

「慌ただしくてすいません……じゃあ俺、みんなに言っておきます!」



 もっと人が増えないうちに少しでも進めておきたいので、私は急いでプチ薬局に向かった。

 最近完成した改良版丸薬、さっそく出番が来るかもしれない。




事件前のキレのいいところを探したら短くなってしまった……。

次回から少し長めになる……かもしれない

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