表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇カラ光  作者: 斬戸零也
第一章 出会いは案外辛辣で
6/13

ある夜・天候→雨 建造物内 伍

「そんな保証、どこにも無いわ。あなたのその能力なら、何も汚さないで私を殺せてしまうでしょう?」


 青年の長台詞の間に気を取り直していた女性は、そう言い放つ。今度はその手に銃を持っていないが、代わりに、彼女の肩から、もう一対の腕が伸びていた。

 その腕の先についている手は両方とも、親指と人差し指以外を曲げ、その人差し指の先は青年にまっすぐ向いている。

 簡単に言えば、銃を撃つジェスチャーをしている。

 その指先は、空気の流れが変化しているようで、歪んで見えた。


 「(多分、この人は亜人だな。更に言えばアンリミデッド…亜人の中でも第一順位にいる種類。身体変化と能力行使を同時にやってるのが何よりの証拠。第三順位のブランクテッドとか第四順位のクリープテッドはよく見かけたけど、アンリミデッドは初めて見るな。)」


「保証…というより、そうしないって言い張れる根拠ならありますよ。この娘です」


 未だ青年のパーカーの裾を握っている少女の頭を、ポンポンと優しく叩く。当の少女は、体を強張らせていた。


「この部屋にいた女の子です。名前は、知ってますよね?僕が言うのもなんですが、この娘に嫌な物を見せたくないんです。これじゃあ、保証になりませんか?」


 女性は考え込む。それでも、追加された一組の腕の狙いはブレずに、青年の方を向いていた。

 不意に手銃が下がり、女性は一つ、ため息をついた。


「分かったわ。それを保証ってことにしといてあげる。取り敢えず、信じるわ」


 女性の声と共に、敵意の無いのを示すように、追加されていた一組の腕が元に戻っていく。

 それを見て、青年はかなりホッとした表情をしている。少女は、とても嬉しそうな顔だった。


「でも、勿論いろいろな事はやってもらうわ。何せ居候状態(いそうろうじょうたい)ですもの、家事くらいは当然ね」


「当然です、住まわせてもらうんですから」


 と言った。その横で、少女は急に改まった風に姿勢を整えて、


「これからまた宜しくお願いします、内海芽(うちうみめい)さんっ」


 それでも、元気いっぱいな声でそう言った。また名前を呼ばれた女性は、表情を少し綻ばせて、「うん。よろしくね」と言った。そして、女性はすっと立ち上がった。


 「さぁ、もうここに用は無いでしょう?早く取れるものをとって行きましょう。金庫室までは案内するわ」


 青年は少女の手をとって立たせた。

 グゥーーー


「「「………」」」


「今の、誰のよ?」


「私じゃないですよ?」


「私でもないわ。じゃあ誰よ?」


「………すみません、僕です。お腹空いてて…」


 青年を除いた二人は、溜息をついた。

読んで頂いた通り、綾斗と芽さんの出会いです。

もし、ここで出会いがなかったら、全く違う話になっていく事でしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ