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デート9-4

「いや、今のは違うの。劇で付き合ったのは事実だけどその前から実は両思いだったの。優が女子校に通ってるから答えを渋っていただけで。あっ」


「早苗、ちょっと黙ってろ」


母さんはもうテンパりすぎて、何を言っているのかもわかっていないだろうが、それ全部言っちゃってるから。頼むからもう何も話さないでくれ。そして父さん止めてくれるのはありがたいが止めるのが遅いよ。


「智和をぶん殴って記憶を奪うか」


もう誤魔化しようが無いからなのか、父さんが物騒なことを僕以外に聞こえないくらいの小さい声で呟いた。


「いや、流石にそれは」


「冗談だ」


「優、神無ちゃん。ごめんなさい」


母さんが青ざめながら僕たちに謝っている。完全に母さんが悪いがそもそも智和さんにだけ隠してるのもおかしいし、いずれ説明しなければいけなかったことなのかもしれない。


「智和さん。少し長くなりますが話を聞いて頂けますか」


「おう、話せ」


それから僕は十川家に挨拶に行った時には付き合っていなかったこと、女装して堀江学園に通っていること、文化祭の時に神無と付き合い始めたことなど今までのことを全て話した。

そんなことを話してしまえば、通報されるか神無と別れろといわれるのは確実なのに嘘をつくことはできなかった。


「なるほどな」


僕が全て話し終えると神無のお父さんは神音さんの方を見た。


「そうね」


突然神音さんが相づちをうったが一人言?いや、神音さんには智和さんが何を考えているかわかるから、声に出さなくても伝えられるのか。こちらからは何を話しているかわからないから恐ろしい。


「それは私が答えなくてもわかっているでしょう?」


神音さんがまた一言話すと、今度は神無の方を見て無言の空気が流れる。


「紹介したかったから」


「あの時から好きだったから紹介した」


突然恥ずかしいし、照れることを神無が言った。一体どんな会話をしているんだろう。


しばらく智和さんが無言で上を向いて何かを考えていると突然神音さんが店員を呼び出した。


「すみません、10分ほど3人で話せる場所を貸していただけますか。席料は別途お支払いしますので」


「はい、かしこまりました」


店員さんを呼んで別室をもう1つ貸しきらせてもらっているみたいだ。


「ちょっと私と智和さんと武司さんで離したいので、席外します。早苗さんと優と神無はちょっと待っていてください」


え、僕じゃなくてなんで父さんなの?


神音さんは僕にウィンクをしてすぐに、母さんに小声で話かけた。


何を言ったかは聞こえなかったが、母さんは少し元気を取り戻したように見える。


「神音ちゃん、ありがとう。お願い」


「ええ、任せてください」


それだけ言い残して、神音さんと智和さんは別室に行った。


「父さん…俺も行きたいんだけど」

「神音さんがお前じゃなくて俺を呼んだのは何か意味があるだろうし俺が行く。心配すんな、多分なんとかなる」


適当なことを言って父さんも別室に行った。



「神無、やっぱり僕も行った方が…」

「いや、お母さんに任せる。大丈夫」


僕の問題なのに神音さんに任せてしまって本当に良いのだろうか。


「良い。これは優だけの問題じゃない」


たしかに僕は何でも自分だけで片付ける癖が付いてしまっている。もっと周りを頼っても良いのかもしれない。


「うん。ありがとう。今は神音さんに頼るよ」


「うん」


それから10分ほどで三人は戻ってきた。神音さんが神無に何かを伝えたと思ったら、急に神無が僕のほうを振り向いた。


「もう大丈夫」


「え、大丈夫って?」


「別れずに済んだ」


「良かった」


智和さんが僕に近づき、覚悟を決めたような顔つきで僕に話しかける。


「優、神無に今聞いたと思うがとりあえずお前と神無の交際は今まで通り認める。だが学校でばれて問題になったら破局だ。だから絶対にバレるな」


僕としてはそもそもばれたら終わりなのは変わらない。よりばれないように気が引き締められたくらいだ。神音さんが上手く説得してくれたのが目に見えるくらいの好条件だった。


「はい、ありがとうございます」


僕は神無のお父さんと神音さんに深くお辞儀をする。

顔を上げると神無が抱きついてきた。


「優、私もばれないように手伝う」


「うん、ありがとう。一緒に頑張ろうか」


「うん、ずっと一緒」


神無を強く抱きしめ、絶対にばれないように学校生活を送ることを決意した。



これからも僕の女子校での生活は続いていく。

神無にも、他の女の子にも振り回されそうだけどなんとか学校生活を送って行ける気がする。

お読み頂きありがとうございます。

明日、デート編の神音視点を出します。



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