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デート編9-1

生徒会の劇が終わり、神無と二人で教室に戻るとクラス全員がニヤニヤしながら僕と神無を出迎えた。


「役者は揃ったっすね。ではもう一回見ましょう!」


僕たちのクラスは昼からの営業を中止にしていたこともあり、他のクラスと違って文化祭の閉会式まではかなり時間があった。そのため、いつの間にか録画されていた劇の観賞会、もとい冷やかし会が行われていた。


「帰っていい?」


「駄目っすよ。それに伊澤さんと十川さんは閉会式での生徒会の仕事が残ってるじゃないっすか」


「あ、そうだった。閉会式で話す言葉の確認をしないといけないから生徒会室に行こうかな」


「「「逃がさないよ」」」


近年稀に見るくらいの棒読みで立ち去ろうとすると、神無以外のクラス全員にとめられてしまった。


「神無も恥ずかしいよね?」

「私も優の返事のとこ見る」

「味方がいない…」


結局、クラス全員で僕の告白のシーンを何度も見るという羞恥プレイは閉会式が始まる数10分前まで続いた。閉会式とその他の片付けが終わり一緒に寮に戻る頃には僕のライフはもう0になっていた。


自室に戻り、30分ほどスマホをいじりながらうとうとしていると突然僕のスマホが震えだした。


「はい、もしもし」

「優、昨日ぶりね。それで、どうなったの?」


声だけで母さんのテンションが高い事がわかった。でも何のことを聞かれているのかがよくわからない。


「え、何が?」


「そんなの告白の返事に決まってるじゃない」


「なんでそれ知ってるの?」


「神音ちゃんに教えてもらったのよ」


そういえば、昨日の一般解放の時に神音さんと会っていたな。


「でも神音さんから聞いたんなら、どっちの告白を受けたかも知ってるでしょ」


「いいえ、そこは本当に知らないわ。神音ちゃんに直接優から聞いてと言われたからね」


神音さんは本当に良い人だな。母さんが僕から聞けるように配慮してくれたのか。まあ僕からすると別に僕の口から母さんに言いたい訳ではないけど。


「神無の告白を受けたよ」


「そう、良かったわ~」


「なんか嬉しそうだね。神無を選んでほしかったの?」


「いいえ、優が言い訳をして逃げる選択肢をとらなくて良かったと思っただけよ」


僕はどれだけ周りに逃げると思われていたんだろう。僕自身も直前までは気持ちに嘘をついて、断ろうとしていたから何も言い訳をすることはできないけど。


「うん、僕も本心を言えて良かったと思うよ。そういえば、なんで父さんがあの学校に通ってたことを教えてくれなかったの?本人から聞いてかなり驚いたんだけど。」


これ以上自分の情けない話をしたくなくて露骨に話題を変えることにした。


「あら、あなたが小学生の時に私と誠也さんの馴れ初めを聞かれて、高校の同級生って言ったじゃない」


「そんなの覚えてないよ。その時は母さんが女子校出身なんて知らないし」


「まあそれもそうね。でもたいした問題じゃないからいいでしょ」


「うーん。そうなのかな」


堀江学園の歴史の中でも1位か2位にはいるくらいには大きな問題だと思う。しかも残りのどちらかは今僕が学校に通っていることだと思うので、尚更やばい気がする。


「そういえば、明日休みよね?」


「うん、文化祭の振替で明日、明後日は休みだね」


「じゃあ、明日ご飯行きましょうよ。文化祭の時はゆっくり話せなかったし」


「明日は神無とデート…いや、用事があるから」


「あら、神無ちゃんと一緒なの?まあどうせご飯は夜にするつもりだったしデートが終わった後で良いわよ。その代わり神無ちゃんも一緒に連れてきなさい。私も神無ちゃんとお話ししたいし」


「僕は別に良いけど。神無にも確認してみるね」


「わかったわ。場所と時間はまた後で送るわ」


電話を切り、神無の部屋に向かう。


「神無、今大丈夫?」


「うん、入って」


あれ、そういえば女の子の部屋に入るの初めてかもしれない。


正確には雪さんの部屋には入ったことはあるけどvtuberをやっているということもあり防音室やその他設備が多くあり、一般の女子高生の部屋とは言えない部屋だったのでノーカウントでいいだろう。


「エンジニアの部屋?」

「女の子の部屋…」


だいたいのレイアウトは僕の部屋と同じだが、パソコン周りだけが明らかに違う。


黒で統一されたパソコン周りはゲーミングチェアやマルチディスプレイなど、女子高生の部屋にはあまりないもので構成されている。さらにケーブルなどもきれいに整頓されており、強いこだわりを感じる。


雪さんの仕事の手伝いをしているのは知っていたけど、これほどの環境でやっているとは思ってなかった。


「ひいた?」

「びっくりはしたけどひいてないよ」

「なら良い」


神無の表情は読めないけどなんだかちょっとだけ安心しているように見えた。


「明日のデートなんだけど夜に僕の両親と会ってもらっても大丈夫?」


「うん」


「そっか、ありがとう。せっかくだからデートの予定も今決めていい?」


「うん、これ丁度見てた」


神無が慣れた手つきでパソコンを操作して明日のデートプランを見せてくる。一度で行くには、ほぼ不可能な量のカフェやデートスポットが調べられていた。


「これ寮に戻ってきてからこんなに調べたの?まだ帰ってきてから一時間も経ってないけど」


「楽しみだったから」


神無は僕ではなくパソコンの方を見ていたが、横から見える頬は少しだけ赤く見えた。

お読み頂きありがとうございます!

遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。


次の話は月曜日には出せるようにがんばります。


追記(11/16):今日中に投稿が間に合いそうにないので明日投稿します。

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