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文化祭編8-2

「なるほどね。今まで伊澤ちゃんが生徒会選挙に出た理由がわからなかったけどやっと謎が解けたわ。でもこのメンバーは男だって全員知っていてみんな秘密にしているってことよね。みんな冗談でハーレムって言ってるけど本当にそうなってない?」


誤魔化し切れないと悟り、この学校に来た理由や生徒会に入った理由などを神崎さんに全て話したがあらぬ誤解を生んでしまったようだ。


「それを言ってしまうと、この学校の誰を選んでも女の子なので絶対そうなりますよ」


「そういう意味で言ったんじゃないけどね」


神崎さんは呆れたように呟き、一ノ瀬さんと、神無が溜め息をついた。

この話をこれ以上、続けたくなかったので無理やり話を変えようかな。


「そういえば、神無。生徒会の劇を宣伝する用のパンフレットとポスターを作ってもらってもいい?」


「うん、いいよ」


「じゃあ十川さんは2週間くらいでパンフとポスターを作って。セリフは各自覚えて1週間後に合わせましょうか。劇だけじゃなくて、他の文化祭の準備もあるから」


いつの間にか元気を取り戻した雪さんが仕切り始めた。やっぱり雪さんはへこんでいるよりこっちのほうが似合うな。

全員が頷き、とりあえず劇についてはまとまった気がする。


そこから数週間経ち、文化祭が近づくにつれて学校全体が準備で盛り上がりをみせていた。


僕たちのクラスの出し物は喫茶店でケーキとドリンクのセットを売るらしい。

ケーキは手作りでドリンクも紅茶だけで10種類以上ある。

文化祭ってもっと簡単に作れる、たこ焼きとか焼きそばとかを作るんじゃないの?

料理は得意だから 調理班に行きたかったんだけど、神無と僕はほぼ強制的に接客班に回されてしまった。

接客班は当日までほとんどやることがないので、今は装飾班の会田さんのお手伝いをしている。


「僕と神無は生徒会の劇の本番の時間は同じタイミングで抜けるんだけど同じ接客班でいいのかな?」


「別に問題ないと思うよ。どうせ本番の時間にこっちに来る人なんていないし」


たしかに、そうかもしれない。

神無が作ったポスターのデキが良すぎることもあり、生徒会の劇の期待度は異常なほど高まってしまっていた。当日はかなりの人が集まると思う。


まあ、ミスコンの二人がヒロインの劇というだけで見たい人は多いと思う。僕だって出役ではなく客席でみたいくらいだ。


「しかも、劇のラストは決まってないんでしょ?すごく面白そうじゃない。もちろん私も見に行くよ」


「あーラストが決まっていないこともみんな知っているんだもんね」


「うん、ポスターにも書いてあったし、前生徒会長が放送で宣伝していたからね。伊澤ちゃんがどっちを選ぶのかはみんなが注目してるよ」


「劇の中の話だしそんなに注目しないでほしいんだけど」


「まあ、それもそうなんだけど面白そうじゃない」



そんなくだらないことを会田さんと話ながら文化祭の準備をしていると一ノ瀬さんが僕達の教室に来た。

前に神無を呼び出していたけれど今日もそうかな?


ドアの前で神無と話していたと思ったら二人でこちらに来た。


「今日も生徒会室で話すの?」


前と同じで鍵を受け取りに来たと思って生徒会室の鍵を出す。


「いえ、今日は違います」


何かを決心したかのように二人同時に口を開いた。


「伊澤先輩、好きです」「優、付き合って」


僕だけじゃなくて周りの生徒も聞き間違いを疑って僕たちのほうを見た。


「返事は劇の時にください。今日はこれだけ言いに来たので私は帰りますね」


「私も今日は帰る」


二人はそれだけ言って教室から出ていった。


あまりの出来事に全員が沈黙していたが徐々に騒がれ始めた。


「やっぱり伊澤ハーレムだった」

「美女二人を手込めに…」

「どっちを選ぶんだろう?」


全然状況は整理できてないけどひとまずここから逃げるしかない。二人のファンに何をされるかわからないし。


「僕も今日は帰ろうかな」

「流石に逃がさないよ」


教室から逃げようとして立ち上がるが会田さんに肩をがっしり掴まれてしまった。


そのあと、クラス全員に詰問され、どちらを選ぶのかを聞かれたが、何も答える事はできなかった。

当然だが女装して学校に通っている今の状況で彼女を作るなんて僕には考えられないから。

お読み頂きありがとうございます。次回は一ノ瀬麗視点での8章のプロローグから8-2までの話しになります。


この話が面白い、続きが気になると思っていただけたら是非、ブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。


短編(1話完結)の小説も投稿したので是非そちらも見ていただけると嬉しいです!

短編のほうの小説タイトルは『ネナベの私とネカマの君が現実世界で会ってしまっているのは間違っている。』です!


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