後輩6-18
今回の話しは東雲視点の話になります。
一ノ瀬家に戻り、麗様の部屋でいつも通り麗様とお話をする時間になった。
「麗様、今日もお仕事お疲れ様です」
「ええ、今日の撮影はかなり順調だったし、仕事よりも終わったあとの服選びの方が大変だったわね」
「大変と言っているわりには凄く楽しそうでしたけどね。本気すぎて伊澤様も店員さんも若干引いてましたよ」
「仕方がないじゃない。プライベートで男の子のコーディネートをすることがないからついつい楽しんじゃったのよ」
「でも、伊澤さんはそういう感じが苦手だと思いますけど」
「え、そうなの?」
「十川さんのことを話しているときに一緒にいて落ち着くと言っていたじゃないですか。多分そういう落ち着く人のほうが好きだと思います。十川さんはあれだけの美貌をお持ちなのに容姿よりもそちらの方を褒めていましたし」
麗様はベッドに突っ伏してしばらく何かを考えて起き上がった。
「東雲、私って一緒にいて落ち着く?」
本当にかわいいな。この主人は。
なんでこんなに可愛いのに容姿以外は自信がないのだろうか。もうちょっとだけからかって見ようかな。
「私の意見だけ言わせてもらえれば落ち着きますよ。でも伊澤様からみたらどうでしょうか」
「初対面で男だと気付き、調査会社も使い、裏どりして逃がさないようにするって、落ち着くというよりも一緒にいたら寝首をかいてきそうな人ですよね」
「しょうがないでしょ。どうしても伊澤先輩をモデルに起用したかったんだから」
「その、強引さがきついんだと思います」
やばい、いじめすぎた。
今にも泣きそうなのにものすごく睨み付けている。
「でも伊澤様は努力をしている人が好きだと前に車で送り迎えをした時に言っていましたよ。そちらの方の好みには麗様は当てはまっていると思いますよ」
「そうよね。私が恋愛対象外なんてことあるわけない」
ちょっと麗様の機嫌が戻って良かった。
今のうちに話し変えてしまおう。
「そういえば、伊澤様が柔道黒帯っていうのは驚きましたね」
「ええ、それはびっくりしたわ。背も男の子としては高くないし。まあムキムキではないけどしなやかで動きやすそうな筋肉だとは思ってはいたけど」
「裸見たことあるんですか」
伊澤さんは撮影の時はちゃんと更衣室で着替える人だった気がするけど
「え?体の動きを見れば服を着ていてもわかるでしょう?」
「そんなことがわかるのは麗様くらいですよ」
よし、大分機嫌が戻った。この感じだったら今日一番聞きたかったことを聞いても大丈夫かな。
「そういえば、伊澤様はあの学校にいるうちは彼女は作らないと言っていましたね」
「ええ、言っていたわね。私も少し驚いたけど、優しい伊澤先輩らしい考えかたね」
「たしかに、そうですね。でも迷惑はかかりますけど、男と知っていて付き合う分には女の子側も覚悟はできてると思いますけど」
「ええ、私もそれを言おうとは思ったのだけどそれだったら十川先輩も覚悟はできているでしょう?それを言ったら伊澤先輩と彼女がくっつくお手伝いをしてしまいそうな気がしたから黙っていたわ」
「そんなに十川さんに取られるのが嫌なら告白したらどうですか?麗様くらい可愛ければ普通の男の子ならすぐにオッケーしそうですが」
「あなたさっき顔より内面みたいな話しをしていなかった?伊澤先輩は普通じゃないのよ。何か良いアイディアはない?」
「付き合ってくれないと男だとばらしますよとかどうでしょうか?」
「結局、脅しじゃない」
今みたいに素の麗様を見せればいくら優様でもおちると思うけど絶対怒るから、それは言わないでおこう。
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