後輩6-13(花宮葵視点)
この話は生徒会室で会話した日の葵視点となります。
「ごめん、葵。今日の昼は用事あるから一緒にご飯食べられない」
「全然、大丈夫だよ」
麗ちゃんが授業中にスマホで連絡してきたので私も返信をする。
いつも一緒に食べているのに珍しいな。前みたいに仕事関係の用事でもあるのかな。
今日は弁当を忘れてしまって、購買で買うつもりだったからまあ丁度良いかな。購買でパンでも買って一人で屋上で食べよう。
購買に向かうと生徒会室の前に麗ちゃんが立っていた。やっぱり麗ちゃんはただそこにいるだけでも目立つな。
そういえば、用事があると言っていたけど生徒会に用だったんだ。
なんか今麗ちゃんに会うと、後をつけてきた感じになりそうだし、引き返そうかな。
でもあそこを通らないと購買に行くのにちょっと時間がかかるんだよね。
少しの間悩んで引き返そうと思っていたら伊澤さんが慌てて来て生徒会室の鍵を開けた。
二人で何の用なんだろう。
見ちゃいけないのはわかるけどどうしても気になる。
二人で誰もいない部屋で話すことなんて、告白くらいしかない気がするけどもしそうならどっちが告白するんだろう。
でも麗ちゃんは前に一回だけ恋ばなをした時に、普通に男の子が好きだと言っていた。
しかも麗ちゃんほどではないけど伊澤さんも結構告白されている気がするけど全部断っているみたいだし、そういう話をするために集まった訳ではないのかな。
ますます気になってしまい、悪いと思いつつ生徒会室のドアの前で聞き耳をたてる。
どうやら、話を聞いているとただの生徒会の勧誘のようだ。
勝手に聞いておいてあれだけどちょっと拍子抜けだな。
これ以上話を聞くのも悪いし、さっさと購買に行こうと思っていたら信じられない言葉が聞こえてきた。
「まあ男の子は先輩しかいないですもんね」
えっ、今のは冗談だよね?でも伊澤さんも普通に話を続けているしどういうことなんだろう。
私が混乱しているうちに、モデルの話になっていた。
話を聞いた感じだと、伊澤さんも麗ちゃんと同じでモデルをやっているのかな。まあ伊澤さんもかなり美人だしやっていても不思議じゃないよね。そう考えるとやっぱりさっきの話は冗談か私の聞き間違いかな?
いや、ちょっと待って。SNSで麗ちゃんと写ってた新しいモデルって男の子だったよね。じゃあ、やっぱり…
急いでスマホで麗ちゃんのSNSを見て確認しようとしたら生徒会室のドアが開き麗ちゃんが唖然としたような顔で硬直している。
この反応が全てを物語っていた。
私も突然のことで動揺したけど、生徒会室に入れてもらい、少しだけ落ち着いてきた。
冷静になってきたらあることを思い出してしまった。
先輩が男ってことは男の人と2ヶ月くらい同じ寮に暮らしてたってことだ。
素っぴんや寝起き見られてたって最悪なんですけど!?
ばらすのは可愛そうだけど流石に男の人と同じ寮で一緒に住むのは恥ずかしいしばらすしかないよね。
そう思っていると麗ちゃんが悪いことを考えてそうな顔でこちらに近づいてきて、伊澤さんが学校を退学になることで伊澤先生もこの学校からいなくなるという現実を突き付けてきた。
そんなことは絶対に嫌だ。
だって伊澤先生は私の恩人だから。
いつも読んでくださりありがとうございます。
話の進みが遅くなるので同時系列の他視点はなるべく入れないつもりで話を進めていますが、次の話に繋げる中で絶対に花宮視点でも書きたかったので入れさせて頂きました。
進みの遅さは投稿頻度でカバーしますので暖かい目で見て頂けると幸いです。
この話が面白い、続きが気になると思って頂けたら評価やブックマークをしていただけると嬉しいです!