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後輩6-1

放課後になり一ノ瀬さんと会う場所に向かう。


下駄箱に手紙が入っていて、そこには校舎裏に来て下さいと書かれていた。そこは雪さんがvtuber活動をしているのを聞いてしまった場所であまり僕にとっては良い思い出がない場所だ。

僕が校舎裏に着くとすでに一ノ瀬さんがいた。


「伊澤先輩、時間を作ってくださってありがとうございます。昨日話してもよかったんですけどやっぱり証拠を掴んでからのほうがいいと思って今日にしました」


証拠?なんのことだろう。20ページくらいあるレポートみたいな物を持ってるけどこの事かな。


「伊澤先輩って男性ですよね?」


あまりに当然のように言ってくるので思わずそうだよと言いそうになる。


なんでもいいから誤魔化さなければ。


「た、確かに自分の事を僕って言ったり口調も男っぽいけど女の子だよ」


「一応、うちの会社専属の調査会社に頼んで裏も取っておきました」


手にもっていた資料を僕に渡してくる。証拠ってこれのことか。確かに家族構成や僕の転校前の高校や中学なども調べられている。前の高校が男子校なので言い逃れのしようがない。


そもそも一ノ瀬さんはなんでこんなことを調べようと思ったんだ。確かに僕の個人情報を調べれば男と簡単にばれるがきっかけがないと調べようとも思わないはずだ。


生徒会長の時は裸を見られるという分かりやすい原因があった。

でも今回は何が原因なのか全く心当たりがない。


「な、なんで僕が男ってわかったの?」

「歩き方です」

「は?」

「歩き方です」


僕は女子校に入る前に、母さんに女性らしい仕草や立ち振舞いを叩き込まれている。歩き方でばれるはずがない。


「伊澤先輩の仕草は完璧です。でも普通の女の子よりも女らしすぎるんです」


「どういうこと?」


「私は仕事で女装をしているモデルの人をたまに見るんですけどあなたはその人達に近いです。意識して女の子の仕草をやりすぎるせいで普通の女の子よりも女らしさが出て違和感が出てしまうんです」


なるほど、さすが本物のモデルだ。僕の付け焼き刃の女性っぽい歩き方なんて簡単にばれていたのか。それでも昨日あったばかりで生徒会選挙で登壇しただけでバレるなんて考えもしなかった。


天野さんの時はなんとかなったがそれは向こうにとって得になることがあったからだ。

それが一ノ瀬さんには全くない。日本有数の大企業の社長令嬢で本人もモデルとしてすでに活躍している。ミスコンの賞品も断っていたし、そんな人に出せる交換条件なんて何があるというんだろう。


「さて、ここからが本題です。私はあなたの人生にさほど興味がないのですが、このままばらされると困りますよね?」


「実は今、高校生のジェンダーレス男子のモデルを探していまして、なってくれませんか?なってくれるなら私は誰にも言わないです」


「ばらさないでくれるなら何でもやるけど、僕がモデルなんてできるの?しかもジェンダーレス?」


彼女は何かのスイッチが入ったように目を輝かせて話し出した。


「間違いなくできます。ジェンダーレス男子というのは、性別にとらわれない格好を好んだり、化粧やカラコンなどもする中性的な人の事を指します。

モデルの業界は綺麗な人や可愛い人など色々な美貌を持った人はいますけど男の子で伊澤先輩ほど綺麗な人は見たことがないです。

美人が多いこの学校でも5本の指に入るほどですし、男子でありながら女子校に通っていて、ほとんど誰にもばれないほどの女子力、中性的な顔、女の子も嫉妬する程の肌の綺麗さ。

しかも化粧もご自身でやっているんですよね?他のジェンダーレス男子の人は女性よりはやはり化粧は下手です。上手い人も何人かはいますが、自分の色や個性を強く出す人が多いので、伊澤先輩のように女の子の様な化粧をできる人はいません。まさに伊澤先輩はジェンダーレス男子のモデルになるべくして生まれた人です」


早口と圧が強過ぎてあまり理解することはできなかったが今までの人生で間違いなく一番褒められたということはわかった。

読んでくださりありがとうございます。


新章に入ってキリが良いのでためしにタイトル変更してみました。


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