生徒会長編5-11
僕の演説が終わり、最後の立候補者の縦ロールちゃんこと蓮川さんの演説がおこなわれる。
蓮川さんの公約は地域のゴミ拾い、ボランティアなど対外的な活動がメインで僕の演説とは真逆とも言えるものだった。
言っている内容は素晴らしく話し方も上手いのだが、僕以外のほとんどの人が彼女と似たような公約を既に言っていたのであまり生徒には響かず熱心に聞いている人は少ないようだった。
蓮川さんの演説が終わりこれですべでの立候補者の演説が終了した。
「では紙を配りますので記入をお願いします。生徒会選挙の紙の他にミスコンの紙も一緒に配るのでそちらも記入をお願いします」
生徒会長が書き方やルールなどを説明している間に先生方や生徒会の役員が紙を配っている。
立候補者と推薦人は選挙の投票をしてはいけないことになっているので僕と神無はミスコンの用紙だけ受けとる。
ミスコンの用紙を受けとると学年ごとに一名ずつ名前を書くようになっていて、自分の学年のところは必ず記入しなければいけなく、他学年のところは自由記入となっていた。
とりあえず寮生の名前を書いておけばいいだろう。1年には花宮さん、2年には神無、3年には生徒会長の名前を記入する。
選挙の方は10分程で集計が終わり、すぐに結果発表がされる。
「では、生徒会長選挙の結果を発表いたします。獲得票数の割合が30%を越えている人が複数いる場合は決戦投票となりますが今回は一名のみだったので決戦投票は行わずに決定となりました。
次期生徒会長は得票数250票で2年2組伊澤優さんです」
「よっしゃあ」
思わず素で喜んでしまい、男言葉がでてしまった。
でもこれで生徒会長との約束は守れたし、とりあえず一安心だな。生徒会長の業務は大変だろうけど今は素直に喜ぼう。
マイクを渡されたので、ありがとうございます、頑張りますとだけ言って再度生徒会長にマイクを返す。
気が抜けていたのかほとんど言葉にはなっていなかったが嬉しさが伝わったらしく、体育館は割れんばかりの拍手が響いた。
「伊澤さん、おめでとうございます。生徒会の役員については伝統通り、生徒会長が指名できる権利を持っていますので来週の生徒総会の時に新生徒会長の伊澤さんから発表していただきます。これにて生徒会選挙を終了します。ここからの司会は岡先生にお任せ致します」
完全に忘れていたがほかの役員は僕が決めるのか。なってもらえる人を探すのはかなり大変そうだな。
生徒会選挙は生徒会長が司会をおこなっていたが、ミスコンの司会は先生がおこなうらしく担任の岡先生がやっていた。
「これから、ミスコンをはじめます」
体育館中に歓声がおこる。
生徒会選挙の100倍盛り上がってるな。まあ選挙は遊びじゃなくて真剣な感じがあったから盛り上がりづらいししょうがないか。ミスコンっていってもただの人気投票らしいのでみんな気楽な気分で盛り上がれるのだろう。
「まずは1年生から発表します。200票獲得で一ノ瀬 麗さんです」
生徒会選挙とは違い、演説も何もしていないのに200票も入るって何物なんだ。全校生徒が360人だから上級生にもかなり知られているってことだよな。
名前を呼ばれて登壇した女の子は濡羽色の髪にモデルか女優のような整った顔立ちをしているがどこかつまらなそうな顔をしていた。
お読みいただきありがとうございました。
明日も投稿予定なので楽しみにしていただけると嬉しいです。