生徒会長編5-6
「神無、どこ行くの?」
「パソコン室」
「パソコンで作るの?でも僕そこまで得意じゃないんだけど」
ワードで文章を書くくらいならできるけどパワーポイントやイラストレーターなどはよくわからない。
「私がやる。優は見てて」
神無が自信満々に言っていたのでとりあえず任せることにした。
少しの間見ていると神無は普段見たこともないスピードで次々とポスターを作成していく。
普段はゆっくりしているけど、朝の準備が速かったり、こういう時は俊敏に動いたりするからギャップがすごいな。
僕が手伝う隙など全く無くいつのまにかポスターが完成した。いや、そもそも手伝うと悪化しそうなので何もすることができなかった。
僕の作ろうとしていた小学生レベルのポスターとは比べるのも失礼なほどのポスターができていた。文字のフォントや見せ方、全体のレイアウトなどが素人から見てもきれいにできていて公約や名前が自然に目につく。
神無は30分くらいで作っていたがまじで仕事にできるレベルなんじゃないか。
「すごいね。神無ってこんな才能あったんだ」
「適当にやっただけ。こういうのを他の人に見せるとパソコン部とか美術部に誘われるから、めんどくさくてあまり見せないだけ」
たしかにこのレベルでできるならどこからも引っ張りだこだろう。
なるほど、だから二人でやりたかったのか。誰だ僕に気があるとか言ったやつ。無論僕だった。
まあそうだよな。今の僕と神無は女の子同士だし。いや、男の状態の僕だとしても、こんな美少女に好意を抱かれるなんてことは無いだろうな。
もう勘違いするのはやめよう。これ以上期待すると心が折れる。
何日か経ち廊下にポスターが張り出される。
生徒会長に立候補する全員が出揃っているようだ。
やはり生徒会長の見立てどおり今回も10人いた。
ポスターはどれも完成度が高く、それぞれの良さがわかるようなデキになっていた。
しかし、その中でも僕のポスターもとい神無が作ったポスターは群を抜いていた。
本当に神無がやってくれて良かった。僕が書いていたら別の意味で目立っていたのは必然だっただろう。
僕のセンスでポスターを書いていたら生徒会長からの呼び出しは避けられなかっただろう。
神無にはお礼としてコンビニでチョコでも買ってあげよう。
僕が廊下でポスターを見てると生徒会長が遠くから手招きしているのが見えた。
そういえば、生徒会長には神無に頼むときに助けてもらったお礼をまだしていない。まずはそのお礼をしてからポスターの感想でも聞こう。
「僕が言う前に神無に頼んでくれてありがとうございました」
「ええ、頼んで良かったでしょう。やっぱり彼女はこういうセンスが良いわね」
「ええ、プロ並みですよね。神無があんなに上手いの初めて知りました」
「プロ並みって彼女はれっきとしたプロよ」
「え?」
「私の配信のサムネも作ってもらっているし、私の知り合いのvtuberも何人か彼女に依頼しているのよ。もちろん私も他のvtuberもお金は払っているしプロと言って、何の差し支えもないわ」
そんな人に学校の選挙のポスターをタダで書いてもらっていたのか。
今日の放課後にケーキ屋でも行って高いチョコケーキでも買いにいこうかな。
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