生徒会長編5-5
生徒会長と密談をしてから一週間が経ち色々な所から、ミスコンや生徒会選挙の話題が聞こえてきた。
今週末には選挙ポスターの張り出し、GW明けには放送での演説、5月中旬には選挙があるから盛り上がるのも当然だろう。
生徒会長との契約のためには、なんとしてでも生徒会選挙に勝たないといけないので、準備は全力で取り組まなければいけない。無駄に時間を使っている暇はないな。
まずは過去の情報を知る必要があるかな。生徒会長からはある程度聞いてはいるが他の人の客観的な意見も欲しいし前の席の会田さんに聞いてみようかな。
「会田さん、去年の選挙ってどんな感じだったの?」
「うーん、どんなって聞かれると難しいけど現生徒会長の圧勝って感じかな。生徒会選挙の演説なんてだいたいみんな同じような感じだけど天野さんのだけは別格だったよ。それに彼女の推薦人の神崎先輩もかなり演説がうまかったし」
配信の上手さからしても、彼女の演説が上手いのは容易に想像がつく。
選挙に当選するには本人の演説の上手さが必須なのは当然だが、立候補者の性格や人柄を客観的に説明するためには推薦人がかなり重要になる。
特に僕の場合は転校してきてからまだ日が浅いしほとんど知られてないだろうから、そこの重要さは他の人よりも高くなるだろう。
本当は生徒会長に頼むのが一番良さそうだが三年生に頼むのは規定違反のためできない。
そうなると誰に頼むのが良いんだろう。なるべく僕のことを知っている人のほうがいいよな。
毎日一緒に学校に行っているのもあり、一番仲が良いのは神無だけどめんどくさいって言って断られそうだ。
まあとりあえず聞いてみるか、駄目だったら会田さんか五條さんに頼もう。
神無の方を見ると自分の席でチョコを食べていた。口が小さいからなのか、リスみたいに頬張って食べていてめちゃくちゃ可愛い。
朝に学校行くときに話してもいいけど、明日まで放置すると忘れそうだし、今が話しかけるチャンスかな。珍しく神無の周りに人もいないし。
「神無。今いい?」
こくっと頷きながらチョコをモグモグしているので、食べ終わるまで待ってから話を切り出す。
「僕、生徒会選挙に出るんだけど推薦人になってくれないかな」
「いいよ」
「だよね、他の人探すよ。っていいの?」
「うん、優は特別」
神無なら断りそうだと思っていたが、なぜかオッケーされた。
特別って僕のことが好きなんじゃないか?
「今日の朝、雪に頼まれたから。優に推薦人を頼まれたら引き受けてあげてって」
勘違いだった。一瞬死にたくなったが手伝ってくれるだけでもありがたい。
ありがとう、生徒会長。
僕が言う前にすでに根回しをしてくれているとは本当に仕事ができるな。
「ありがとう。さっそくだけど今日選挙のポスター作るから手伝ってもらっても良い?」
「二人だけでやるなら良い」
やっぱり僕のこと好きなんじゃないか?どうせまた勘違いだとは思うがついついそう思ってしまう。
放課後になり、神無と教室で作業を始める。
神無に声をかける前にすでにポスターの構想は考えていたので、下書きを簡単に書いて神無に見せる。まあ書くことって名前と公約だけだし、他は自分の写真を貼るくらいなので、誰が作っても同じだとは思うけどね。
「全然駄目」
「え、でもこんな感じじゃないの」
「やっぱりついて来て」
いつも通り神無の表情からは何を考えているかはわからなかったが、僕のセンスに呆れていることだけはなんとなくわかった。
神無は急に立ち上がり、僕の手を取って教室を出た。
お読みいただきありがとうございます。
木曜日に出したかったのに、どこで分割するかを迷っていたら12時を越えてました…
ということで、次の話もほぼ書き終わっているので今日はもう一本投稿します!(多分19時頃)
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