1-8 共に歩むは心の友で
1-8 共に歩むは心の友で
室内を眩く照らす光が収まった後には一本の剣を手に持ち佇むケイトがいた。その手に握られていたのは質実剛健とも、無骨とも言える頑丈そうな一本の長剣だった。
「いいんじゃないかな?とても似合うよケイト」
「顔が派手な割にはいい趣味しているじゃねえか」
ジェスタとゲンに褒められて満更でもなさそうなケイトは剣をまじまじと見つめるていた。その時ずっとケイトの肩に乗っていた木の妖精がフヨフヨと剣の方に近寄りだした。
「危ないよ妖精ちゃん!」
ケイトは慌てて妖精を掴もうとするもするりと手の内から逃げ出してしまう。
「好きにさせてあげなさい」
ジェスタがそう言うや否や、眩い光を妖精が放ったかと思うとケイトが持つ剣に光が巻き付いていく。光はしばらく続き光が収まった後には妖精の姿はどこにも居らず、剣には派手では無いがどこか女性らしさを感じさせる美しい装飾が施された鞘が装着されていた。
「・・・これはどう言うことでしょうかボス」
「あの子は君の剣と一つになり君と共にいることを望んだ。そう言うことだよ」
「名前、つけてあげた方がいいですよね?」
「ケイトが必要と感じるならそうしてあげなさい。全ては必然だよ」
そう言うとジェスタはゲンさんと共に応接室に戻っていった。取り残されたケイトは剣を抱き抱えながら名前をどうしようか考え始めていた。
一方その頃、ジェスタ帰還の報告を受けた長官は。
怒っていた。
すぐさま報告に来て話を聞きたかったのに、設備課にまず顔をだしに行ったことに対してと言う超個人的な理由で怒っていた。単に一番最初に会いたかったのに会いに来なかったことに対して怒っていた。なぜなら惚れているから。超大好きだから。
それを知っているため秘書は怒っていた。なぜ早く会いに来ないのかと。機嫌が悪くて仕事に支障が出るじゃないかと。それはそれはもうジェスタに怒っていた。
ジェスタが迷宮から帰ったことで少し世界が動き出すことになるのだがそれは少し先のお話。