1-7新たな友は強敵と書くべきで
1-7新たな友は強敵と書くべきで
今回の迷宮探索で珍しいものが手に入った。通称「願いの塊」と呼ばれる超高密度の魔力の塊である。
迷宮内の魔物は発生型と変異型があると言われているが、共通するのは迷宮内の魔力によって体内に魔石を生じさせることである。魔石に蓄えられている魔力を用い迷宮外では考えられないほどの強さを発揮する。
そしてごく稀に魔石を生成できず魔力を魔力の塊のまま体内に持ち続ける特殊な個体が存在する。討伐後にその個体から獲得できるものが願いの塊と呼ばれる超高密度魔力塊である。
迷宮庁設備棟の地下には魔境が存在する。昼夜問わず何かの爆発音や、叩く音が聞こえ、奇怪な笑い声や嗚咽が聞こえることもしばしばであるという。
「やあゲンちゃん!!帰ってきたよ!!」
ジェスタは室長室と書かれたドアを開け放つなりそう叫んだ。タバコを蒸しながら書類とにらめっこしていたドワーフの青年はちらと目線を上げるなり顎で応接セットのソファを指し示した。
「うるさいんですよジェスタ班長。ちーっと待っててくれませんかね?」
「うちの班長がすいませんデェイキュー室長」
ケイトが謝りながらジェスタをソファに押し込んだ。
「何ゲンちゃん?忙しいの?出直そうか?」
ソファから顔をひょっこりと見せて室長に問いかけた。
「なに、この書類で今日は終わりですからね。少し待っててくださいよ・・・はいおしまい」
書類に目を通し再審査と書かれたボックスにその書類を投げ出すとデェイキューは椅子から立ち上がった。
「中層まで行ったらしいなジェスタ。何か面白いものでも見つかったか?」
デェイキューは新しいタバコに火をつけながらソファに座った。
「いろいろあったがね、願いの塊を手に入れることができたから持ってきたよ」
ジェスタはそういうとニヤリと笑った。その様子を見るなりデェイキューは立ち上がり奥のラボへの扉を指さした。
「非常に興味深いですねぇ。いろいろ記録しながらやりましょう」
デェイキューもジェスタに向けてニヤリと笑った。
記録装置の用意ができるとその中心にジェスタは魔法陣を展開した。室内が眩く光るとその中心に大きな人のサイズほどもある魔力の塊が出現した。
「・・・このサイズが減衰もなしになんて相変わらず非常識だな貴様」
デェイキューは顔を引きつらせながら煙をはいた。
「さあケイト、この願いの塊を君にプレゼントしよう!」
振り向きながら素晴らしい笑顔でケイトに向かってサムズアップした。
「いや、これ国宝級じゃないんですかボス?え?ドッキリ?」
盛大に顔面を引きつらせながらケイトは周囲を確認する。
「・・・こいつはこういうやつだよケイト。早くしろ、魔力の拡散が始まるからな」
早くしろとでも言いたげにデェイキューは顎をしゃくった。
「めちゃくちゃじゃないですかボスも室長も。いややりますよ!腹括りますとも!」
そういうとケイトは願いの塊の前に立ち腕をまくり上げた。
「いいかケイト、純粋な願いだ。それが君に一番必要なものを導き出してくれる」
ジェスタはそういうと優しく微笑んだ。
ケイトは願った。強く強く。深く深く集中し心を澄まして願いの塊に手を差し込んだ。
その瞬間に室内は閃光に包まれた。