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死んでまでいじめられた僕は乙女ゲームの主人公になってイケメンたちを攻略する  作者: ナイユ
ゼツボールートまたは永遠に逆ハーレムルート
48/49

ルート48 時は経ち先生たちに会いに行き、僕は相変わらず愛されている

 


「姫」

「姫さん」

「姫ちゃん」


 ライトとアースとルビーが僕に声をかけてきた。


「三人とも姫って呼ぶのやめてよ」


 あの後、ウォーマの部下になった彼らはずっと僕の側にいて、僕を守ってくれている。


「まさか魔王の下で働く事になるとはね」

「一応俺たち勇者だったはずなんだけどね」

「しょうがないじゃない。ソプラノちゃんとずっといるには、この方法しかなかったんだから」


 薄暗いダンジョン内を黒の衣服に身を包み、綺麗な顔をした男たち三人が通る。

 途中ゴーレムやスケルトンがいたので会釈した。


「僕も知らなかった。魔王ルートに行くと不老不死になるなんて」


 三人の会話に僕も入る。


「ごめんね、ソプラノちゃん」


 すると、どこかから現れたウォーマが申し訳なさそうに美声を発した。

 相変わらずこれでもかというくらいスタイルが良く、びっくりするくらい整った顔立ちだ。

 そんな彼に僕はぎゅうと抱き着き、微笑む。


「ううん、ウォーマとずっといられて僕、嬉しいよ」


 魔王ルートに行き僕は不老不死になった。そして、そんな僕と居るためにウォーマの部下になった三人も同じく不老不死となってしまった。ウォーマが死ぬ時がもしあれば、その時、僕らも一緒に死ぬらしい。ウォーマは強すぎて死ぬ事なんかなさそうだけど。


「そういえば今日魔法の先生のとこ行くんだったよね」


 僕はふと今日の予定を思い出し、口に出す。


「そーじゃん、そーじゃん。うっわ。なっつかし」

「会うの、10年ぶりくらいじゃねーの」

「元気にしてるかな」


 三人はそれぞれ嬉しそうに言った。



 ダンジョン奥深くから抜け出た僕らは、久しぶりに学園へと足を運んだ。

 時を経たため、少しだけ建物の雰囲気が変わった気がする校内を進み、職員室へと入る。

 少し長めの青い髪をした先生が出迎えてくれた。


「あら、皆さん。ちっとも年取りませんね。まるで怪盗先生みたい」

「先生こそ変わらないじゃないですか!」


 僕は先生に言った。


 不老不死になった僕らと違い人間であるはずなのに、先生は相変わらず若々しい。

 ほんの少し大人の色気が増したかなという程度だ。


「あ、ウォーマ!! 久しぶり」


 先生の側にいたウォーマのお兄さんがこちらに手を振っていた。


「げ、兄さん……」


 魔法の先生に会うという事で姿を消していたウォーマだったが、ウォーマのお兄さんにはすっかりばれてしまっていた。

 なにやらウォーマとお兄さんが、魔法の先生から離れたところで会話を始めたので、僕もついて行った。


「まだダンジョンに戻ってこないの、兄さん」

「もうちょいあいつと過ごしたら戻るよ」


 そう言ってウォーマのお兄さんは、魔法の先生へちらりと視線をやる。魔法の先生はイケメン三人組に囲まれており、話に花を咲かせているようだ。


「お兄さん、ウォーマが寂しがってましたよ」


 いたずら心で僕はそんな事を言ってみる。まぁ、寂しそうにしてたのは本当だし。


「ちょ、ソプラノちゃん!」

「そうなの!? じゃあ、今度また顔出しに戻ろうかな~」


 まいったという顔をするウォーマを挟んで僕らはあははと笑った。



「でも、ソプラノちゃん相変わらず可愛いね~」

「え、あ、あの、ありがとうございます」


 慌てた僕にウォーマのお兄さんは微笑みかけ、僕の髪をとりキスをしてきた。


(わぁ、ちょっとちょっと)


 相変わらずなウォーマのお兄さんに動揺していると、左右から音が響いた。


 ゴン

 ゴゴン


 見ると、お兄さんの右頭をウォーマが叩いて、左側をルビーが拳をグーにして殴っていた。


「全く油断も隙もねぇな」

「ホントホント」


 そう言って、ライトとアースが僕の体にぴっとりと触りながら、ウォーマのお兄さんを睨んでいた。


 そうこうしていると、魔法の先生まで僕たちの方へとやってきた。


「あらあら、相変わらずソプラノさんはモテていますね」


 そうして、魔法の先生は僕の耳に顔を近づけ、こっそりと囁いた。


「さすが魅力999の持ち主ですね」


 チュッ


(わーお)


 耳元だけど魔法の先生にキスされてしまった。

 どういう事なのと僕はふわふわとした気持ちで固まっていると、先生はにっこりとした笑みで僕に言った。


「実は、私もソプラノさんの事、昔から結構気に入っているんですよ」





「なんなの、アイツ等! 許せねぇんだけど!」


 ルビーがダンジョンへの帰り道に憤っていた。

 バキバキと足元の枯葉や小枝を踏みつける。


「先生たち油断も隙もねぇな」

「まさか魔法の先生まで露骨に出てくるとは思わなかったな」


 ライトとアースも苛立たし気に、長い脚をいつもより乱暴に振り出していた。


「絶対ソプラノちゃんが卒業したから、本性出してきたんだよ。あいつ!! むかつく~!!!」


 ルビーがまだ怒って吠えている。血管ブチ切れそうだな。


「ソプラノちゃん……俺これ以上ヤキモチ妬いたら胃が溶けるかもしれない」

「う、ウォーマ……ごめんなさい」


 ウォーマは胃をおさえ、青ざめている。

 僕とウォーマは相変わらず仲がいいけれど、今でも三人組がちょっかいを出してくるので、こうしてよくウォーマがダメージを受けているのをみる。


 そんな時、こっそりとウォーマが三人組に気づかれないように僕にグッと近づいた。

 僕に近づけられたウォーマの顔は、奇跡のように整っている。

 そんな彼の唇が動いている。


「ソプラノちゃん、今日俺の部屋に来ない? 大事な話があるんだ」


 そうして、ウォーマの顔が少し離れる。

 ウォーマの頬は赤く染まっていて、僕もつられて頬が熱くなった。


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― 新着の感想 ―
[一言] そうか~ 3人組はウォーマの部下になったんですね! 意外な展開でした! しかも魔王ルートいくと不老不死になるとか! ずっとみんなで楽しくやっていけますね(*´ω`*) 3人組のソプラノちゃん…
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