ルート41 ウォーマのお兄さんと目標まであと少しのステータス
「ソプラノちゃんって可愛いね。あの三人に発情されたのもわかるなぁ」
「ちょ、せ、先生」
怪盗先生に手首を掴まれ、ちゅーと手の甲に口付けられた。
「兄さん!!」
人型に変化してるウォーマが怒りをあらわに、怪盗先生から僕の手を奪った。
登校日だったので学校は昼前には終わり、なぜか怪盗先生が僕の家でジュースを飲んでいる。
「あ、ソプラノちゃんこれ美味しいね、ありがとう」
「いえ、よければお菓子も買ったのがあるので、嫌いじゃなければ」
「あ、ホントに! 悪いね、ありがとう」
ニコニコとテーブルを囲んで怪盗先生が楽し気に座っている。
「兄さん本出してたんだね、知らなかった」
「まね、ペンネームだし知らないだろうね。結構売れたんだけどね」
「ふーん」
ウォーマがなんだかいつもより無愛想に怪盗先生と話している。
「ウォーマ、人の姿になってて大丈夫なのか。まだ力戻りきってないんだろ」
先生でありウォーマのお兄さんでもある人物が、少しだけ心配するようにウォーマに言った。
「別に、少しなら大丈夫だよ。……力もだいぶ戻ってきてるし」
「じゃあ、もうダンジョンに戻るのか」
怪盗先生は僕の用意したお菓子に手を出し始めた。
ウォーマはあまりお菓子を食べる方ではないので手を付けず、僕の隣に座り先生の様子を見ている。
「戻らないといけないけど、勇者たちのレベルを上げなきゃいけないんだよ」
「お前も面倒な役目をしてるねぇ」
パキとハート型のポテトチップスに似たお菓子を、怪盗先生がくわえる。
「兄さんは気楽そうだね」
「まぁ、俺はお前みたいに強くないし」
怪盗先生は皮肉っぽく言った。でもウォーマを見る目元はとても優し気だ。
「勇者たちのレベル上げ手伝おうか?」
「別にいいよ、兄さんが関わるとややこしくなるし」
はははと怪盗先生が笑った。
「今何レべくらいなの、あいつら」
「30レべくらい。カンストまでとは言わないけど50超えてもらわないといけないんだけどね。ペース的には悪くはないんだけど」
ふーんと怪盗先生は言った後、綺麗に身支度を整えた。
僕とウォーマは玄関で先生を見送る。
「じゃあ、そろそろ帰るわ。久々にウォーマと話せて兄ちゃん嬉しかったよ」
「はいはい」
口調はぶっきら棒だが、ウォーマは少し照れたような顔をしていた。
「ソプラノちゃんも家あげてくれてありがとうね。お菓子も美味しかった」
「あ、はい。その、ウォーマのお兄さんに会えて、僕も嬉しかったです」
僕の言葉に怪盗先生はとても優しく包み込むような笑みをした。
「うん! ウォーマをよろしくね。モテるようだけど、あんまりウォーマを泣かせないであげてね」
怪盗先生の声に僕はどう反応していいかわからず、黙ってしまった。
「あはは! 可愛いなぁ。こういうトコロがいいのかもね。俺も好きよ。君みたいな子」
「さ・よ・う・な・ら」
大人っぽく爽やかに笑う怪盗先生を、ウォーマが家から閉め出してしまった。
「ウォーマ、さん」
「ん、ソプラノちゃん何も言わないで」
静かになった玄関でウォーマに声をかけると、ぎゅうとウォーマに抱きしめられた。
「イエス!! 俺が一番倒したよ! ソプラノちゃん」
夏休みを利用してレベル上げに励み始めた三人組+僕。
一時間ごとにモンスターを一番多く倒した人に、僕が抱き着く事になっていた。
(まぁ、倒すと言っても魔物たちは、倒されてるふりしてるだけなんだけど)
モンスターたちは器用にある程度のダメージが入ると、ダンジョンの奥へと姿を消していた。
魔物たちに後で聞いたところ、奥では休憩したり治療したりしているそうだ。
(でもだいぶレベル上がってきたなぁ)
【ルビー】LV46
『魔力247』
『知力223』
『体力230』
『特殊スキル 炎』
【ライト】LV45
『魔力200』
『知力225』
『体力250』
『特殊スキル 光』
【アース】LV45
『魔力224』
『知力241』
『体力210』
『特殊スキル 地/鍵開け』
三人ともレベル上げの休憩がてらステータスを見ていた。
ルビーだけ1レベル多いが、三人とも似たような成長っぷりだった。
ちなみに。
【ソプラノ】LV42
『魔力220』
『知力241』
『体力169』
『特殊スキル 歌』
『魅力999』
魅力のステータスを見られないように、三人組が話に盛り上がっている時にコッソリと見た。
僕の『魅力999』のせいでつく魅了攻撃への対策として、わざわざ魔物たちは裏で魅了無効化の術をかけているらしい。申し訳なくてダンジョンに遊びに行った時に謝ったが、皆にっこり笑ってかまわない、むしろ僕のレベル上げに貢献出来て嬉しいと言っていた。
(今度なにか魔物たちにお土産持っていこう)
思い返すとモンスターには良くしてもらってばかりなので、そう思った。
「ソプラノちゃん! ぎゅってして!」
ルビーに抱き着くのを忘れて、物思いにふけっていた僕。それに焦れたルビーが僕の前で両手を広げて立っていた。




