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ルート4 ルビーが僕の事を大好きらしいが怖くて涙目になった



「疲れた~~」


 帰って来て早々僕はベッドにダイブする。

 授業初日というだけでも気疲れするというのに、赤髪イケメンルビーの相手が辛かった。



「お疲れさま、ソプラノちゃん頑張ったね」


 ウォーマがベッドの上で白くて丸いフワフワの体を弾ませる。


「ありがとう、ウォーマ。早く君とベッドで寝たくて仕方なかったよ」


 ゴロンと横になりウォーマの方へ顔を向ける。



「え、えーー!! なんだかその言い方恥ずかしいよ、ソプラノちゃん」


 ウォーマの白い体に赤みがかかる。


「あはは、何照れてるの。ウォーマ」



「だけど、ルビーって男の子、ソプラノちゃんの事すごく好きみたいだね」


「うーん、まぁ、たまたまルビーの女の子の好みと僕の性格が一致してるからね」


 僕はベッドに仰向けになってウォーマを両手で抱える。赤ちゃんを高い高いしてるみたいな格好だ。

 ウォーマはぬいぐるみみたいに軽いけど、温かくて安心する。



「ウォーマ、何か攻略のヒントみたいなのないの? この世界ゲームなんだろうけどステータス画面っぽいのがないから手ごたえが掴みにくいんだ」


「ふむふむ、そっか。そうだねぇ。ちょっと待っててね。相手の好感度を映像化できるから」


 ウォーマは白くて丸い体を左右にキュキュッと軽く揺らした。

 その姿を見て僕はものすごく癒された。


「はい!」


 ウォーマがそう言った瞬間だった。


 僕のベッドの側に赤髪イケメンのルビーが立っていた。



「ひぃ!!!」


 動揺しすぎて思わずウォーマを力一杯抱きしめてしまった。


「な、なにこれ。なんで、ルビーが僕の家にいるの」


 僕がぶつぶつと呟くと、ウォーマはフフッと笑った。


「違うよ、ソプラノちゃん。これはルビー本人じゃないよ。ルビー本人の気持ちを映像化しただけだよ」


「う、ううん? よくわからないよ。というか、映像なのこれ。ルビー本人がここにいるみたいで怖いんだけど」



 僕はベッドに腰掛けつつ、ルビー本人のように見える映像を眺める。


「ルビーはソプラノちゃんをどう思っていますか?」


 ウォーマが映像に向かってそう問いかけた。


 するとルビーの映像は、顔を真っ赤にしてこちらを熱っぽく見つめてきた。


「ひ、ひぃぃぃ!!!」


 僕はもう涙目になりつつ必死にウォーマにしがみつく。



 そしてなんと、ルビーの映像は喋ったのだ。


「好きだ! 結婚したい。あの大人しそうな性格がたまらない。早く抱きたい!! でも大事にしたいんだ」


 映像なのにルビーの熱い吐息が顔にかかった気がした。


「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 僕は恐怖で叫んでしまった。もうパニックだ。


「け、消して。ウォーマお願い消して、この映像」


「う、うん」


 ウォーマはそんな僕にびっくりした様子で、戸惑いながらも消してくれた。




「は、はぁぁぁ。怖かった~~。なんなのあれ。リアル過ぎだよ。もっと数値化して今は三割程度の好感度とかそういうデータがわかるものだと思ってたよ」


「ごめんねソプラノちゃん。なるべくわかりやすいようにリアルになってるんだ」


 ウォーマがしゅんと丸いフワフワの体を傾ける。


「ううん、こっちこそごめんねウォーマ。せっかく僕のために映像見せてくれたのに文句言っちゃって」


「ふふっ、でもあの様子ならルビーはもうほっといてもよさそうだね」


 ウォーマがいたずらっぽく笑う。


「かなぁ、前の世界では一番僕をいじめてくる面倒な相手だったんだけどね。ある意味今の状態も面倒だけども」


「他の二人の好みは前の世界ではどうだったの?」


 僕はウォーマの問いにふむ、と考える。



「うーん、確か金髪ポニーテールの長身イケメン、この世界ではライトって子ね。ライトは、自分と同じようにスポーツできる活発な子が好きだった気がするよ」


 そう、僕とは正反対なタイプの性格の女の子が好きだったはず。だから攻略は難しそうだ。



「それで、もう一人の茶髪でたれ目イケメンのアースって名前の子ね。アースは、よくわからないんだよね。あんまり好みのタイプ言ったり彼女の話をしたりしなかったなぁ」


 そうなのだ。恋愛関係だけでなく自分の事も積極的に語るタイプじゃなかった。飄々として何を考えているのかわからない性格だから、これまた攻略は難しいだろう。




「ふむふむ」

 ウォーマは真剣にうなずいて聞いてくれる。



「でもそういう事を言うタイプじゃないってだけで、女の子にはルビーの次にモテるくらい人気あったけどね」



 そう、前の世界では明らかに赤髪イケメンがモテていた。


 なんでも器用にこなし、リーダーシップがあり、必ず皆の中心にいた。強気な性格が顔に表れた大きいけれど鋭い瞳。いじわるそうに笑う表情。


 僕は怖かったけど女の子たちにはびっくりするくらいモテていた。



 茶髪でたれ目気味のイケメンは少しだけ中性的だ。のんびりした雰囲気と優しそうな顔立ちに女の子は心奪われていた。

 飄々としたどこかミステリアスなところも人気の一つだった。



「ライトはモテなかったの?」


「そんな事はないと思うけど、さばさばしてるから恋愛対象ってよりは友達みたいな感じで女の子と接してた気がする」


 小顔のためただでさえ高い身長が余計高く見える金髪イケメン。

 セミロングより少し長めの髪をポニーテールにしている。


 女の子たちとも遊ぶ方だったが、甘い雰囲気はなく男友達のように女の子にも接していた。そのためルックスの割にはモテてはいなかったように思う。

 その代わり女友達は多かった記憶がある。



「アースもだけど、ライトは攻略できるか不安だなぁ。僕、運動苦手だし」


 僕がうーんと悩み始めるとフワフワウォーマも隣で同じように考え込む素振りをみせた。


 ――さて、どうやって彼らをおとしていこうか。


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