ルート38 ダークエルフの様子までおかしくなり僕はウォーマといちゃいちゃしながら魅力999について学ぶ
「おかしい。この程度の攻撃で、なぜスライムも蝙蝠も状態異常にかかっているんだ」
三人の魔法攻撃を受けながら、平然と腕を組みダークエルフは考え込んでいた。
「くっそ。人型のモンスターだと俺らのダメージたいして入ってないのわかりやすいな」
「表情も仕草も余裕あり過ぎでしょ、腹立つね」
「どうやら見た目だけじゃなくて本当に強いみてぇだな」
ルビーもアースもライトも今までとは違い緊張した面持ちで魔法を放っている。
ダークエルフはそんな三人の事は露ほども気にせず、僕の方へ近づいてきた。
「……もしかしてあなたですか?」
優美な足さばきで一歩一歩とダークエルフが迫ってくる。
(え、何)
僕はびっくりしてしまい、つい自己防衛のためか体が勝手に魔法を使い始めた。
僕の歌声を聞くとダークエルフは一瞬目を開く。
「やはり……うっ」
ダークエルフは呻いた。
「ああ、凄いですね」
ついに僕の目の前にたどり着いたダークエルフは、僕の腰に手をかけて自分の方へと寄せた。
「ひぇっ」
僕は驚いて情けない声を上げてしまう。
「ソプラノちゃんを触んなよ!!」
ルビーが叫ぶようにそう言った。他の二人もダークエルフに何かを言っている。
ダークエルフが僕の顎に手をかけ持ち上げる。
(あ、駄目。キスされる――)
僕はなんとか身を捻ろうとするが、ダークエルフは両手で僕の顔をしっとりと包み込んでくる。
(誰か助けて――)
三人組がダークエルフに掴みかかるのが見えたが、エルフは気にもしていない。
(嫌――)
ダァァァン!!
何の音だろうか。僕はサッと目を彷徨わせる。
見ると人型になったウォーマが顔の色を無くして片手でダークエルフの顔を掴んでいた。
様子がおかしかったダークエルフに正気が戻ってくる。
「……っ。申し訳ございません!! ウォーマ様」
ダークエルフはウォーマに膝まづき頭を垂れた。
「二度はないぞ。失せろ」
ウォーマが重低音でそう言うと、ダークエルフは顔をグッと引き締め「はい」と言いダンジョンの奥へと優美な姿を隠していった。
「なんだったんだ? アイツ」
「わかんね。急に叫んでどこかへ行っちまうし」
「誰かと会話してた気がするけど……相手の姿は見えないね」
三人がそれぞれ疑問を感じつつ僕の方へと近寄ってきた。
「すぐに助けられなくてごめんね、ソプラノさん」
「わりぃな。俺にもっと力があれば」
「……」
アースとライトが僕に気遣って声をかけてくれた。
ルビーは何を思っているのか、珍しく口を結んで黙り込んでいた。
【ソプラノ】LV34
『魔力180』
『知力186』
『体力131』
『特殊スキル 歌』
『魅力999』
僕はいつものようにウォーマに抱き着きながら、ベッドの上に転がっていた。
「ウォーマ、ちゅーして」
ウォーマの体に手を回しながら僕はおねだりした。
「ん、ソプラノちゃん。もっと強く俺の体掴んで」
んー。と二人でキスを楽しんだ。
「ウォーマ、どうしたの? 僕のレベルなんか見て。恥ずかしいよ」
「ソプラノちゃん今日でだいぶレベル上がったねー」
「うん、だねぇ」
僕はウォーマに後ろから抱っこされているような姿勢になった後、宙に浮かんだ文字を眺める。
「ソプラノちゃん頑張ったねぇ、よしよーし」
ウォーマが後ろから頭を優しく撫でてくれる。
僕はそれにキャッキャッと喜ぶ。
「そういえば、なんで僕の魔法で魔物の皆おかしくなっちゃったんだろう」
僕はウォーマに自分の頭をすり寄せながら聞いてみた。
「この『魅力999』の力だろうね」
「えー、あ、そういえば魔法の先生がステータス見るときはそれ出ないんだよね。なんでだろう」
「多分、気を使ってくれたんじゃないかな。普通の生徒が持ってるステータスじゃないし。周りの反応を気にして隠してくれたんだと思うよ」
「そうなんだ」
そっか~。僕のために隠してくれてたんだ。
(先生ありがとう)
「で、魔物がおかしくなったことだけど」
「うん」
「『魅力999』のせいで魅了の効果が攻撃についちゃってるみたいだね」
「み、魅了」
「うん、普通はスキルを取って発動する力だけど、ソプラノちゃんは魅力が999もあるから自動で効果が付与されてるね」
「ん、んー?」
わかったような、わからないような。
「ソプラノちゃんが攻撃すると、ソプラノちゃんの魅力にやられて皆倒れちゃうって事」
「えぇ。あ、でも、そっか。スライム君はすぐ消えちゃったからわからないけど、蝙蝠――吸血鬼さんも、ダークエルフさんも顔赤いし変だった気がする」
僕は自分の顔の横にあるウォーマの腕を両手でぎゅうと掴む。
自分の足を抱えて足先だけをウォーマの太腿の間に入れた。
「こーら、ソプラノちゃん、もぞもぞしてどうしたの」
優しく甘い声でウォーマが笑った。
「モンスターの皆に悪い事しちゃったね」
「ソプラノちゃんが気にすることはないよ、俺もこうなる事を予想できなかったし」
またウォーマが僕の頭を撫でてくれた。
「しかし、ダークエルフの奴には悪いことしたなぁ」
ウォーマの声に僕はクルリと体を回転させた。
ウォーマが気まずそうに目を伏せているのが見えた。
「悪い事?」
「アイツがソプラノちゃんにキスしようとしたから、頭に血が上って叱り過ぎた」
(……)
僕は無言で手を伸ばして、よしよしとウォーマの髪を撫でた。
「ふふ、ありがとうっ、ソプラノちゃん!」
ウォーマが勢いをつけて僕の体を抱きしめてきた。
「ソプラノちゃん、ちゅー」
「ちゅー」
僕とウォーマはお互いの体をよしよししながら、いちゃいちゃとした。




