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死んでまでいじめられた僕は乙女ゲームの主人公になってイケメンたちを攻略する  作者: ナイユ
育成ルートまたは逆ハーレムルート ~ダンジョン編~
37/49

ルート37 僕の魔法で魔物たちは倒れ、ルビーはダークエルフに焦った様子だ

 


「ソプラノちゃん!?」

「ソプラノ!?」

「ソプラノさん……凄い……」


 スライムを一発で倒した僕に三人は驚いていた。

 だが一番驚愕しているのは僕だ。


(どうしてこうなった!?)




 スライム相手に倒せないながらもレベル上げをしていたイケメン三人組。


「ソプラノちゃんもレベル上げしてみたら?」


 ルビーの言葉に僕は動揺しつつ、なるべくスライムを攻撃しないように、ほんの少し魔法を使った。


 僕の主な魔法は支援魔法なので、攻撃系の魔法は大したことない。


 ――はずだったのだが。


 ドンガラガッシャン!!


 僕が小さく攻撃魔法の歌を口ずさむと、スライムがダンジョンの外壁まで吹っ飛んだ。

 小さいスライムがたてた派手な音に僕は身を竦ませる。


(えぇ、なんで。スライム君は大丈夫――?)


 一応無事だったようだがスライムは体を引きずり、奥の方へと退場していった。


(な、何が起こったの。ウォーマぁ)


 僕が下を見ると、ウォーマが気まずそうにこちらを見ていた。



「来た! 勇者」

「来た! 戦う」

「来た! 耐える」


 旋回しながら近寄ってきた蝙蝠相手に、三人はスライムの時と同じように戦いだした。


「やっぱおかしいよな、コレ。ダメージは通ってるはずなのに敵が倒せねぇ」


 ライトが訝し気に攻撃を続ける。


「そうだねぇ。蝙蝠だからかライトの光魔法は効いてる様子ではあるんだけど」


 ききぃと鳴く蝙蝠たち。


(うぅ、眩しそう蝙蝠さん。頑張って!!)



「ソプラノちゃん、また歌ってみたら?」


 ルビーがそんな事を言う。

 炎魔法のせいで暑いのかうっすら顔に汗が浮き出ている。


「えぇ」

「せっかくだし一緒にレベル上げしとこうよ。スライムみたいにまた倒せるかもしれないし」


 好意で言ってくれているようだ。


「う、うーん」


(まぁ、さっきのはたまたまスライム君が、調子悪い時に攻撃しちゃったのかも)


 僕はまたなるべく小さな声で歌った。



「ぐっ。うわぁぁぁっ」


 蝙蝠たちの方から声が聞こえてきた。姿が変わり人型に変化し始める。吸血鬼だろうか、黒と赤のマントをしている。

 整ったアイドル顔をした人間の姿になった蝙蝠――吸血鬼たちが色の白い頬をポッと染めて僕を見た。


「可愛い」

「好き」

「またね」


 鋭い牙をのぞかせながら、そう呟きスライムのようにダンジョンの奥へと消えて行ってしまった。



(え、えーなんなの一体)


 僕はウォーマを見る。ウォーマは可愛いおめめを半目にして、蝙蝠たちの消えた方を見ていた。



「ソプラノすげぇな」

「さっきの蝙蝠なんなの? ソプラノちゃんが可愛いのは当然だけど、あいつらが言うとムカつく!」

「わかる、ムカつく。だけどスライムも蝙蝠もソプラノさんの魔法がかなり効いてるよね。どういう事だろう」


(どういう事なのか僕も知りたい)


 三人や僕が困惑していると、ダンジョンの奥から声が響いた。



「何事だ。皆、逃げ帰ってくるとは。ウォーマ様がご覧になったら嘆かれますよ」


 涼やかな声とともに現れたのは浅黒い肌のダークエルフだった。


(あ、カクテルくれた人だ――)


 目が合うとダークエルフは、一瞬艶やかに僕に微笑んだ。が、ダークエルフはウォーマの方を見た後、すぐに三人を睨みつけた。


「今までの敵より強そうだね」

「見た目だけだろ」


 アースとライトがそう言った。


「ソプラノちゃんアイツ見ちゃ駄目」


 突然、ルビーが僕の目を両手で塞いできた。

(わぁ、ちょっと、やめて)


「る、ルビー君! 見えないよ」

「見たら駄目」

「えぇ」


 僕がルビーと言い合っていると、アースやライトの声が聞こえてきた。


「珍しいね、いつも自信満々なルビーが」

「まぁ、あんだけ整ったやつが出てきたら、わからんでもない」


 僕がルビーの手をのけると、ルビーの大きな瞳と目が合った。


「どうしたの、ルビー君」

「あんな黒くて耳が長いエルフより俺の方が百倍カッコいいよね?」

「う、うん?」


 僕は浅黒い肌のダークエルフを見る。スラっとしててウォーマといい勝負ができそうな程、美形だ。


(あー、もしかして自分より綺麗な人が出てきて焦ってるのかなぁ)


 僕は珍しく真剣な目を彷徨わせたルビーを見る。


(うーん、でも)


 僕はダークエルフを見てルビーを見る。ウォーマは一番僕の好きな顔立ちでゆるぎない一位だ。


(まぁ、だけど)


 僕は眉を寄せながらルビーに言った。


「あのエルフさんとルビー君なら、ルビー君の方がタイプではあるよ」


 あんまりルビーを褒めたくないんだけど、このまま絡まれても面倒なので、しょうがなく言った。


 ルビーの目がキラキラと光り、にまにまと口元が緩むのが見える。


(う、うぅ。やっぱり言わなきゃよかったかな)


「「ルビー」」


 僕とルビーが見つめ合っていると、ライトとアースの低い声が聞こえてきた。

 なぜだか不機嫌そうな顔をした二人は、ルビーを捕まえてダークエルフの方へと向かっていった。


(助かったぁ)


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― 新着の感想 ―
[一言] ルビーの弱気な所と単純な所がなんか可愛いですね(笑) ダークエルフさんを見せないように目隠しするって行動が可愛くて萌えます(*´﹃`*) そしてソプラノちゃんの一番がウォーマで良かったです!…
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