ルート32 レベル21お祝いパーティー ~触られたり談笑したり~
「魔法のセンセ漫画、校長に注意されてんだってヤバくない?」
つーつつ。
そう言いながらルビーの人差し指は、僕の手の甲をつーつーと楽しそうに行ったり来たりしている。
(ん。ルビー、ちょ、く、くすぐったい)
「マジで! ウケるわ。ま、読み過ぎよ。最初隠れて読んでたけど最近普通に読んでるじゃん。ヤバいだろ」
するり。
ライトは伸ばした足先で女の子座りしている僕の太ももをするすると撫でてくる。足が引っ掛かりスカートがめくれる。
(え、ライト、何これわざと? それとも僕の勘違い? たまたま足が当たってるだけ?)
「何しに学校来てるのって感じだよね。遊びに来てるのかな?」
きゅっ
じわじわと僕の指の付け根に自分の指先を入れていたアースが、僕の手に指を絡めたまま握りこんでくる。
(う、うわぁ。アース、これ恋人繋ぎって奴だよね、手の甲からだけど。触り方……変態っぽい)
魔法を教えてもらったというのに、先生に失礼な物言いをしている三人。
(なんでこんな普通に会話しながら僕の事触れるの)
僕は今だテーブルの下で、好き勝手に三人にいじられているままだった。
どうしようと下を向くと、僕の膝の上にいるウォーマが震えているのが分かった。
(こ、これはまずい)
僕は三人から手や足を離そうともぞもぞと体勢を変える。
―――が。
『『『グッ』』』
逃げようとした体を三方向から掴まれてしまった。
(うわぁ)
「そういや、魔法のセンセの友達が凄腕のシーフなんだって」
「前、宝箱の授業した人?」
「や、違うんじゃね。もしかしたら、いつか魔法のセンセと凄腕シーフで組んで授業教えるかもって」
「噂じゃそのシーフ、スゲェイケメンだって」
「嘘くさー」
凄腕のシーフ、前アースが貸してくれた本の著者もそうじゃなかったっけ。
(まぁ違う人だよねぇ、さすがに)
僕は三人から逃げるのを諦め、皆の話に聞き入っていた。
「レベル21になったのはいいけどさ、これからどうしていく?」
「俺も思った。つーかさ、レベル上げってモンスター倒していくイメージだったんだけど。普通に授業か居残り特訓でしか上げてないよな」
「そろそろダンジョン潜りたいよね」
(ダンジョン……)
前にウォーマと一緒に行った場所を思い出す。
(魔物だけど、皆感じよかったな)
「あー!! モンスター倒したい! 魔物殺しまくりたーい!!」
ルビーが僕の腕をキュッと軽く掴んで声を上げた。
「俺が一番殺すし!」
ライトも眉を吊り上げ笑顔で力強く言った。
「魔物って死んだらどうなるんだろ」
アースが僕の手を握ってる方とは逆の手をセクシーに口元に寄せる。
(……うーん、なんだろ。すっきりしない)
ゲームだと普通なんだろうけど、魔物、モンスターたちに愛着が湧いているせいか素直に応援できない。
ちらりとウォーマを見ると、姿形はフワフワで可愛いままなのに剣呑な雰囲気を漂わせていた。
(……ウォーマ)
僕が眉根を寄せて下を向いていると、ルビーが僕の顔を覗き込んでいる気配がした。
「せっかくソプラノちゃん家に来たし、なんか面白い事して遊ぼうぜ」
「面白い事ー?」
「ああ、パーティーグッズも買ってきてたよね。これとかは?」
ルビー、僕のために話題変えてくれたのかな? と思っていたが……。
(な、なんだよコレ)
僕は三人の前で一人、黒のアイマスクをして座り込んでいる。
(どういう状況)
三人がじゃんけんをしている声がする。楽しそうなそれぞれの低い声が響く。
「じゃあ、ソプラノちゃん、俺らが一人ずつソプラノちゃんの前に立つから、誰が誰だか当ててみて~」
「見るのはダメだからな、アイマスクは外すなよ。他は何でもアリって事で触ってもいいぜ」
「俺らがソプラノさんを触る事はないから安心してね」
……。安心できないよ。
(やっぱりパーティー断ればよかった)
僕はアイマスクで視界を制限されたまま、遠い目をした。




