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ルート25 耳元に口を寄せ息を吹きかけるように歌う

 


「そうそう、その調子です。上手ですよ、ソプラノさん」


 僕が先生の耳元にキスするような形になると、先生は満足そうに笑った。



「殺すぞエロ教師」

「ふざけんなよ! ソプラノに何させてんだよ!」

「校長に言いつけて退職させてやる」


 三人が顔を歪めて先生に抗議する。



「黙りなさい。君たちは弱いくせに、口ばかり達者で困りますね」


 先生が三人をいなしている間に、僕は先生に支持された通りに行動する。


 先生の耳ぎりぎりに唇を寄せ、僕はごく小さな声で歌った。


「そう、上手です、ソプラノさん。きちんとコントロールできていますね!」


 僕を褒めた後、先生は再び『ファイヤ』と口にし魔法を使った。


 魔法館はさっきよりも少し強い炎で焼き尽くされる。



「説明の続きをしますよ? いいですか皆さん、こうしてソプラノさんの歌で底上げされた魔法を使うと、威力が増すのはわかりますね?」


 三人はいまだに先生を睨みつけていたが、話は聞いているようだ。

 先生はそれを確認すると僕に言った。


「はい、ソプラノさんありがとう。もういいですよ」


 僕は頷いて先生から離れる。



「次! ソプラノさんの支援なしに私の力だけで魔法を発動させます」


 先生が手を前に出した。すると、威力がわずかに落ち、初めの魔法と同じくらいの炎が現れた。


「何も考えずに使うとこう。一番初めに見せた素の魔法力と変わりません」


 そうして、先生は僕の方に顔を向けた。


「ですが――。今度は、ソプラノさんの支援で威力が増した感覚を思い出しながら魔法を使ってみます」


 そうして、先生が魔法を放つ。今度は僕が支援魔法をかけた時と同じように威力が増加していた。

 辺りが強大な炎で焼き尽くされる。


 メラメラとした炎が僕らの瞳に映った。


(……魔法館すごいな。これだけの魔法によく耐えてるよ)




 パンっと先生が手をたたいた。魔法が消え、何事もなかったかのように辺りが静まる。


「これで私の実践は終わりです。何か質問はありますか?」


 先生はどこからか漫画を取り出し読み始める。



「ソプラノちゃんを近くに寄せすぎ。ムカつく」

「それな」

「本当それ。……何か理由はあるんですか?」


 三人のブツブツとした声に先生は答えた。


「もちろんあります。ソプラノさんの支援魔法は強大です」


 先生がそこで区切るとライトが「いいことじゃねぇの?」と言い、他の二人も肯定した。

 僕は褒められた事でムズムズとした。


(そんなたいしたものでもないけどな)



「今回の目的は、頭打ちになった力を伸ばす事です。君たちが20の力なのに、ソプラノさんの助けを借りて30の力を使ったとしても、それを再現できますか?」


 三人が黙り込み神妙な顔をした。


「ですから、今回はソプラノさんにわずかな声量で歌ってもらう事で、細やかな調節をしてもらいました」


 先生にちょいちょいと漫画を持っていない方の指先で呼ばれる。



「ソプラノさん、ライト君の近くでさっきと同じことをしてもらえますか?」

「は、はい」


 僕と先生の言葉に金髪長身ライトはぎょっとした顔をした。


「は? ちょっと、いいよ別に」


 ライトは困惑気に言うが、先生は気にせず指示を出す。


「二人とも座ってください」


 僕が従ってライトの近くに座り込むと、ライトもしぶしぶとした様子で僕の隣に座った。




「では、ソプラノさん、やってみてください」


 僕はライトの耳に指先をそっとかける。ライトの髪は結んであるので耳を触りやすい。若干耳が赤くなっているのが見える。


 僕はライトの耳へ息を吹きかけるように歌を歌う。


「ちょっーー」


 ライトが真っ赤になって、流し目で僕を見る。


 ライトはくすぐったくて辛いのかもしれないが、僕も自分の力を調節するのに必死だ。

 ほんの少しだけ力を上げさせる事を意識して歌い続ける。



「ライト君、照れてないで光の魔法を使って」


 先生の言葉にライトは「あーくそっ」と苦しそうに呻いた。


 辺りが光る。


 僕が支援魔法を使っているせいで、ライトの通常の光魔法より少し力が強い。


「ソプラノさん、ストップ。離れていいですよ」


 僕は触れた時と同じように、そっとライトの耳に近づけていた顔と指先を離した。


 ライトは安心したような、心残りのあるような微妙な顔をした。



「次。ライト君。今の感覚を忘れずにもう一度魔法を使って」


 先生がそう言いライトはまた光魔法を使う。


 だが、先ほどのような威力はない。上手くいかないのか苦しそうにしている。


 僕は心配になりながらライトを見守っていると、彼がこちらを見た。


 僕の姿が彼の瞳に映ったように思えた瞬間、光が強まった。


「あ」


 ライトが言った。



 先生はその様子を見てにんまりと笑った。


「いいですね! ライト君。20の限界、超えられたようですね」


 先生が『ステータスオープン、ライト君』と言い、宙に文字が浮かんだ。




【ライト】LV21

 『魔力95』

 『知力91』

 『体力116』

 『特殊スキル 光』



 どんなに頑張っても20で微動だにしなかったレベルが一つ上がっていた。




 ライトが力強く片腕を上げた。満面の笑みだ。


「あー、やべ! すげぇ嬉しい!!」


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― 新着の感想 ―
[一言] でも、まぁ…現実でやったらたしかにセクハラ((((
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