夜国の梟と巨城の王……6
話の内容を聞き、手がぐっと拳になる大変、誰が聞いてもいい気持ちのしない話である。
しかし、それ以外の方法は効果がなかった。
動物を入れるも、その特徴を有した別の鬼が作られ、島鬼事態に変化はなく、成人男性を入れるも、同様に島鬼が変化する事はなかった。
炎国からは、島鬼は島鬼に興味を示す者に興味を示すと言われていたが、島鬼に興味を示す存在など、夜国には、存在していなかったのだ。
そんな夜国で「赤子ならばどうか?」と、恐ろしい声が上がる、しかし、それ以外の方法はすべて、光を見ずに終わっていた。
戦場に赤子を連れていく……余りに気の触れた事実に苦悩する者もいたが、その選択が、結果として、島鬼を容易く討ち取る事となる。
しかし、それによる、強い罪悪感を感じる者も少なくなかった。
夜国に新たな法が夜王により、制定される。
それは、夜国に生きる武士は五体の島鬼
を討ち取らねばならない。
即ち、五人の赤子を犠牲にせねばならないと、言う事実が法として制定されたのだ。
残酷な法を受け入れられない者も多くいたが、それ以上に多くの武士達が討伐に参加する道を選ぶ結果となったのは、五回の島鬼討伐が成功すれば、莫大な富と地位が保証される事にあった。
多くの罪人の子が犠牲となるも、その非人道的決断の先に、島鬼の完全な殲滅が成功する事となる。
犠牲無き勝利はないと知る夜国の国民達、慰霊碑を建て、犠牲となった魂を供養した。
そんな話が続くと、我慢の限界を迎えた大牙が声を発した。
「ふざけんなよ! 命をなんだと思ってるんだ!」
当然の怒りだろう、命を使い勝利を獲る事への不快感、大牙は赦せないと強く感じながら、そう怒鳴ったのだ。
そんな大牙の言葉に対して、静夜は確りと頷き、返答をする。
「ならば、聞くが……島鬼が大量に島を創り、更にそんな島から次第に増えた鬼が上陸する、鬼流となり襲い掛かる……民が多く犠牲となる……お前なら、どうする?」
どうする……そんな質問に、大牙が静かにうつ向く。
「だろうな、誰も答えなど、わからない……正解など存在しない、だが、確実に成果を上げねば犠牲のみが生まれる世界になる」
そんな会話が静かに終わり、そして、会話が違う内容に変わる。
雷国に攻めいる際の内容になり、詳しい話が知らされる。
話が進み、雷国への攻撃が開始されたと同時に水国に対して、炎国から攻撃が開始される事が決定している事実を知らされる。
炎国の王──閻樹は、夜国が、島鬼を全滅した事実を知り、本来であれば、参加する必要がなかった今回の奇襲殲滅作戦に参加する道を承諾したのだ。
その報酬として、閻樹が求めたのは、島鬼の殲滅に協力する事を約束させたのだ。
雷国と水国が同盟をとった事から、炎国と夜国が同盟となる形になっていた。
そして、四ヵ国が敵対する最中、勝敗を確実にわける風国にも、話を持ち込もうと夜国は考えていた。
その為、風国と繋がりのある氷雨と百仮を夜国に招いた事実を静夜は語った。