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氷雨と大牙……外海の悪夢1

 豪雪の推測は二つ……


 一つ目は、逃げる際に鬼により、全滅してしまっている。


 二つ目は、敢えて報せを行わず、島にいる氷雨達を見捨てる為。


 豪雪は、どちらにしても、引き返した調査船の発見を最優先に考えて行動を開始する。


 そして、話は最後に出会った三体の鬼についての内容になる。


 豪雪が討ち取った鬼は間違いなく呪鬼(じゅき)であり、島鬼(とうき)が力を更に手に入れた物であると豪雪は語った。


 簡単に討ち取れた理由は、呪鬼の油断と、槍に塗られた毒が効果を最大に発揮した結果であり、島が出来たばかりで、力が弱まっていたからだろう、とも口にした。


 話は二体の鬼についてに変わる。


「あれはな、レアな鬼だ……自身が倒した相手の姿に変化する奴でな、仇討ちのつもりが、返り討ちなんてのが実際に起こりやがる」


 氷雨すら知らぬ鬼の存在に大牙達は驚きを露にするが、豪雪はすぐに、行方不明の調査船の探査を開始する。


 他の島に巣食う鬼については、島鬼が居なくなった時点で、永くは生きられない事実を語る。


 島鬼が基礎となり、島独自の鬼を生み出す、島鬼が居なくなれば島の鬼は数日で死滅する。


 島の調査での、真の目的は其所にあり、傀動達は、命を賭けて調査を行うのだと豪雪が告げる。


 氷雨達は海岸に移動すると、十隻を越える大船団に驚きを露にする。


「すごい数だな?」


 氷雨が素直にそう口にすると、豪雪は豪快に笑いながら喋り出す。


「そうだろ、そうだろ! ガハハ。コイツが俺達の船団だ。炎国大船団よ! まあ、外海の為の船団だがな」


 豪雪は直ぐに半数以上の船に島の周囲を包囲させ、船と船の間に鉄線で編んだ網を沈めて、繋ぐように手慣れた様子で指示を出し、空に対しても、弓と槍を即座に放てるように甲板に用意させる。


 そして、氷雨達を乗せる別船団が用意される。


「悪いな、俺は島の鬼が沈黙するまで、離れられない。俺の部下達には、調査船が見つからない場合は、港に帰還するように伝えてある。また、炎国で会おうじゃねぇか」


「嗚呼、今回は助かった感謝する」


 氷雨が豪雪に頭を下げると、皆も頭を下げる。


「ガハハ、気にすんな。三将の一角、水将を預かる身だからな、俺は自身の役目を果たしたまでよ!」 


 船は、豪雪達の本隊から離れて、調査船を捜索する事となる。


 数時間の捜索で見つかった調査船は、マストが折れ、舵も破壊されている状態で発見される。


 船員達は口にしなかったが、船体には砲撃された痕跡があり、調査船は鬼以外の何かと戦闘になったのだろうと、誰もが理解した。


 氷雨達は生存者がいないかを確認するも、船内は酷い状況であった。


 そんな最中、大牙と五郎が調査船の乗組員と傀動の数がおかしい事に気づく。


「五郎、あのさ」


「呼び捨てかよ、で? なんだ、今、考え事してんだ」


「人数がおかしくない?」


「大牙、お前もそう思うか! 傀動の数が明らかにおかしいよな」


 大牙と五郎は、最初に乗っていた傀動達の存在が無いことに気づき、違和感を感じていたのだ。


 鬼との戦闘であっても、影も形も残らない等という事は有り得ないのだ。


 それは即ち、傀動達が何らかの形で調査船から、離れたか連れ去られた事を意味していた。


 調査船から、亡骸を船に移すと、更に周囲の捜索が開始される。

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