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氷雨と大牙……目には目を、鬼には鬼を……1

 互いの合流は、その間に見た全ての情報の共有へと繋がる。


 氷雨達は、大牙達と放れた後に、風を刃のように操る、姿の見えない鬼と戦った事実を語る。


 姿の見えない鬼が、偶然にも、蜘蛛の鬼が作った巣に引っ掛かった事で、相手が蜘蛛に変化した事実と、鬼の個体1つ、1つが六国で確認されていない力を有している事実を苦笑いを交えて語った。


 蜘蛛に関しては、相手の異能を無効化し、更に体から糸を鋼と同等の硬さの糸を放ち、斬撃の軽減をすると言う、傀動に対して生まれたような存在であった。


 氷雨は、調査を続けるか、海岸に戻るかについて、多数決を取る。


 結果は、調査を続行すると言う事に決まり、大牙達が潰してきた小鬼の巣の位置を大体の位置で地面に記す。


 不思議な事に、小鬼の巣は、ある位置を守るように、作り出されており、氷雨はある程度の目星をつけると、位置を確かめる。


「推測で、語りたくはないが、あの辺りか……」


 氷雨が睨むように視線を向けたのは、大牙達が移動する際に避けていた未だに霧が吹き上がっているエリアであった。


 その周りを、小鬼の巣が守るように造られている事実から、島の鬼達にも影響する何かがあると、氷雨は判断した。


「先ずは、(つつ)いてみるとしようじゃないか! どんな鬼が出てくるか!」


 氷雨は即座に動き出すと、最初に蜘蛛の巣に向かう。


 巣には、悶え苦しむように糸に張り付けになった見えない鬼が、糸により、形を露にしている。


 氷雨は、なにも口にしないまま、心臓を一突きにしてから、口を開く。


「こやつは、本当に厄介な存在だった、見えぬだけでなく、気配の消し方も、一流の忍びに引けを取らない実力だった」


 その言葉に大牙と五郎が覚悟を再度決める。


 氷雨を筆頭に夜夢が周囲を把握しながら、目的地とした霧の深いエリアへと進んでいく。


 鬱蒼と生い茂る海藻の森が、自然と乾燥し、刃のように鋭く変化していく。


 無数に小鬼の巣が潜在するのだろう、大量の小鬼達が次々に武器となる草木を握り、鼻を動かす。


 しかし、そうなれば、氷雨達も見つかる前に先手を打ちに掛かる。


 複数の結界を発動し、小鬼を分断する氷雨、それに対して、大量の電撃を放つ五郎。


 水の異能から作られた氷雨の結界に電撃が走り、一気に小鬼達を感電させていく。


 大牙と紅琉奈は、夜夢が探知した小鬼の巣に向かうと、内部に隠れていた本体を討ち取っていく。


 流れるように繰り広げられる攻撃、その一連の流れは、複数の小鬼の巣に対して壊滅的なダメージを与える事になり、生き残った複数の巣の本体が慌てるも、結果的に全滅する事になる。


 そんな、戦闘の最中、三体の蜘蛛()が、氷雨達の元に一斉に集まってくる。


 最悪の状況と言える最中、最初に動いたのは紅琉奈であった。


 自身の手を刃に変化させると、更に細かい鋸歯(のこぎりば)のようなギザギザを作り出す。


 そして、最初の一振りが蜘蛛の体に命中しようとした瞬間、糸が放たれる。


 だが、その糸をあっさりと、紅琉奈は切り裂いて見せたのだ。


 勢いを殺さぬように、回転を加えた斬撃が蜘蛛の体を切り裂き、臓物が飛び散る。


「お前ら、弱いな」


 紅琉奈の口から漏れた言葉に、氷雨達も苦笑いを浮かべる。

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