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氷雨と大牙……鬼と武士の一騎討ち2

 閻樹の提案により、紅琉奈と利庵が一騎討ちを行う事となる。


 大牙を奪われまいと殺気だつ紅琉奈。


 主である炎王、閻樹の命令を確実にこなそうとする利庵。


 両者が広場に移動すると数名の結界使いが、広場を覆うように結界を作り出す。


 慌てる大牙に氷雨が訳を話す。


 結界がなければ、本気で戦えぬ者もいるからだと、外への被害を気にしていては、本当の戦いは出来ないと氷雨は大牙に伝える。


 只ならぬ雰囲気に、五郎の頬を嫌な汗が流れ落ちる。


「氷雨さん、本当に大丈夫なんですか? この結界、雷国のそれよりもかなり強力なもんですよ」


「わかっている、其ほどに、紅琉奈を警戒しているか、もしくは……利庵をそれだけ強大な力の持ち主か、その二択じゃな」


 氷雨はそう語ると、用意された観覧席(長椅子)に腰掛ける。


 夜夢が心配そうに氷雨へと声をかける。


「あの、氷雨様、もすもですが、紅琉奈が負けったりしたら、本当に大牙を渡すんですか」


「その時は……なんとかするしかないが、紅琉奈と利庵とやらが、本気でぶつかるなら、それを見届けようと思ってな」


「見届ける……氷雨様、もすもの時、オラは大牙を助けっけど、許してつかぁさい」


 夜夢の言葉を不思議そうに聞く氷雨。


「お前も女だなぁ、実に愉快、大牙は、とんだ女たらしよな」


 そうこうしている間に、閻樹が氷雨の横に腰掛ける。


 茶と菓子が運ばれ、氷雨もそれを口にする。


「相変わらず、不思議な味の茶だな、渋味がなく、甘ったるい……菓子もだが、緑茶と煎餅はないのか?」


「本当に変わらぬなぁ、六国の外より来た珍しい物なのだが?」


和外(わがい)の菓子は、甘過ぎて敵わん、それよりも、紅琉奈が暴れれば、被害は高くつくが、覚悟しておけよ?」


「ふふ、いいよるな、利庵は妾の配下武将の中で一番の手練れぞ? なんなら、妾の管理する秘蔵酒を賭けても構わん」


「のった! ならば、私の秘蔵酒も賭けようじゃないか! 約束を違えるなよ」


「この閻樹、友に嘘は言わぬぞ! どちらにしても祝杯になるじゃろうてな」


 勝利を確信したように笑う両者の姿があり、夜夢と五郎は只ならぬ雰囲気に必死に耐えていく。


 そして、大牙を賭けた紅琉奈と利庵の戦いが幕をあける。


 最初に動いたのは、紅琉奈であり、両手を刃に変化させると利庵に向けて、飛び掛かる。


「速攻か、だが、甘い!」


 紅琉奈の動きに合わせて、後方に回避する利庵。


 しかし、激しい斬撃が休みなく繰り出されると、利庵も距離をとる為に速度をあげる。


 そんな利庵の動きに紅琉奈が一度、動きを止める。


「鬼ごっこがしたいなら、餓鬼とやれ……」


 紅琉奈からの挑発に利庵が腰に着けていた二本の鬼斬り刀を抜く。


「ならば、鬼を交代しよう、行くぞッ!」


 利庵の激しい攻撃が開始されると、紅琉奈は片手を盾に変化させる、更に刀であった片手を斧のように変化させる。


 盾で守り、斧での牽制を行う紅琉奈の応戦に利庵は戸惑いを見せる。


 紅琉奈が下から、斧を振り上げ、利庵の刀を弾くと、利庵は再度、距離をとる。


 激しい攻防でありながらも、紅琉奈が優勢である事実は誰の目にも明らかであった。


 そんな時、閻樹が利庵に声を掛ける。


「十分に実力はわかった。利庵よ、本気で相手をしてよいぞ。負けることは赦さん! よいな!」


「御意、畏まりました」


 利庵の雰囲気が一瞬で変化すると、紅琉奈も同様に瞳を輝かせ、本気で相手をすると言わんばかりに両手を刃に戻す。

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