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氷雨と大牙……炎国の老将と炎国の王2

 森の中を少し進むと、直ぐに別れ道に差し掛かる。


 別れ道を老将、謙影(けんえい)の案内で進み、本隊の待機する小城に案内されると、其処からは馬車での移動になる。


 八人乗り大型の馬車が用意され、謙影と副官も一緒に馬車に乗る。


 動き出した馬車の前方には護衛部隊が八騎、後方にも十騎程、つけられているが、数を考えれば、治安は安定していると言える。


 なんの危険も無いままに、炎国本土に辿り着いた一行、初めて眼にした炎国の姿に大牙は眼を輝かせる。


 其処には、高い煙筒が街の四方に四つ堂々と聳え立ち、中心には巨大な城がその存在を堂々と示しており、街の市場からは、活気に溢れた商売人や、売り子の声が明るく響く。


 生命力に溢れた街の姿に、氷雨以外の誰もが驚きを露にする最中、馬車は馬車道を進み、中央に向かっていく。


 全ての道が一ヶ所に繋がり、広い坂道が城の門へと続く。


 門まで辿り着くと、門兵が馬車に近付き、先頭の護衛隊長が話をすると、直ぐに巨大な門が開門する。


 城内に入ると馬車を出迎えるように整列した兵士達の姿があり、一人一人が、馬車を見つめながら、軽く頭を下げる様子が窺える。


 馬車から降りると、謙影が一人の人物に話し掛け、話が終わると氷雨達の元に再度、戻り声を掛ける。


「氷雨様、ワシは此にて、国境に戻ります、案内を城内の信頼できる者に頼みましたので、間違えなく炎王様に御逢いできるでしょう」


 会釈をする謙影の姿に、氷雨が頭を下げると、大牙達も慌てて頭を下げる。


「謙影殿、感謝致します」


 謙影が案内に選んだ人物は、城の防衛を任されている三将軍の一人であった。


 三将の一人、利庵(りあん)


 七尺(ななしゃく)(2m)を越える長身の武士が頭を下げる。


 全身を甲冑で覆い、顔を隠すように白塗りの面を着けており、表情は窺えず、更に声は、薬で声を変化させている、全てが謎に包まれた人物と言う印象を与える。


 しかし、城内での信頼は強く、女、武士、兵士に至る全ての者が、利庵(りあん)に挨拶をし、表情は見えなくとも、利庵が挨拶を返せば、皆が笑みを浮かべている。


 利庵の案内で、炎王が待つ、広間に通される。


 広間に入ると、ずらりと並ぶ、家臣の姿があり、皆が下を向き視線を大牙達側に向けている奇妙な光景が其処には存在していた。


 その奥で絹のベールに身を隠し、煙管(キセル)から、煙を吐く者の姿が存在する。


 大牙は、その者の姿に驚きながらも、息を飲んだ。

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