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氷雨と大牙……大牙と夜夢に襲い掛かる者……2

 黒雲(こくうん)と共に姿を現した集団、彼等は雷国の傭兵であり、金で動く特殊部隊である、雷国では【雷国刺客衆・黒雷】と呼ばれ、反逆者や雷国に害を及ぼす者を圧倒的武力と実力差で処刑し見せしめにする事で恐れられている。


 そんな黒雷は、雷国の命令で動きだしていた。


 目的は氷雨と紅琉奈であり、本拠地である修山を特定し、強襲からの殲滅を目的に奇襲を実行したのだ。


 黒雷の移動手段である“黒雲”は、雷国の傀動では珍しい型の異能であり、別名を“雲船”と呼ばれている。


 雷国で大きな鬼狩りや、他国への牽制の際に雷動、並びに傀動を輸送する事も可能であり、金で全てを解決する雷国に取って、黒雷の存在は最大の懐刀だ。


 しかし、先の氷雨、紅琉奈の襲撃は雷国に取って最悪の事案であり、放置すれば、雷国内部で不安の反発が起こる事は明らかであった。


 本来は試合まで我慢するつもりであった雷動の上層部は雷国に対して、危険分子の抹殺を理由に水国への圧力を要請したのだ。


 その為、水国は雷国の要求である、捕縛対象に対する保護と力添えを行わぬと言う条件に対して、水国からの条件を受け入れるならば、同意すると返答する。


 1.水国国民に危害を加えぬこと。


 2.雷国の行為に対して、水国は一切の責任を持たない。


 3.三日以内に目的を果たそうが果たすまいが撤退すること。


 4.傀動同士の諍いに水国は介入しない。


 水国は、一切の責任を雷国の物とし、国民に危害が及べば、戦争になりうる、三日以内に立ち去る事とし、その後の傀動同士の問題に一切の関わりを持たないと、条件を出したのだ。


 雷国はそれを受け入れると、即座に黒雷を水国に向かわせたのである。


 しかし、修山の奥にある樹海に居たのは目的対象では無く、大牙と夜夢であり、本来の攻撃対象は既に炎国へと向かっていたのだ。


 夜夢は、即座に状況を理解して戦闘を回避する道を選択する。


 理由は大牙を守りながら、戦って、勝てる相手ではないと即座に理解したからに他ならない。


 夜夢は、気取(けど)られぬように、杖を軽く叩く。


 逃げ道とその際の回避手段を即座に考えていく。


 そんな最中、頭上に停止している巨大な黒雲(雲船)から、声が地上に向けて発せられる。


百姫(ひゃっき)様、銀大(ぎんだい)君、馬黄(まき)ちゃん、直ぐ側で、何かが反応したよ! 気をつけてね!』


「ん? 香南(かなん)がなんか見つけたね……どうやら、鼠がいるようだよ。馬黄、派手に吹き飛ばしな! 銀大は、土埃が舞い上がったら、吹き飛ばしな。いいね!」


「はい姐さん!」

「了解、姐様!」


 夜夢は大牙を抱えて、即座に動き出す、それと同時に、凄まじい雷の塊が周囲に放たれ、大地を抉る、その際に舞い上がる土埃が稲妻の刃で吹き飛ばされる。


 そんな先に姿を現した夜夢と大牙の姿を確認した黒雷の頭領、百姫が不敵に笑みを浮かべる。


「いたね、アタイに付いてきな! いくよ」


 駆け出す百姫に続く、銀大と馬黄。


「姐さん、奴等は捕縛対象じゃ、なさげですが?」


「姐様の考えがわからないの? まったく脳みそまで、かんでんしてんじゃないの?」


 言い争いを始める二人に百姫が語り掛ける。


「いいから、奴等を捕まえるよ! 奴等は関係者だろうさ、誘き寄せる餌になれば良し、ならなくても、労働力として、高く売れれば良しさ! 逃がすんじゃないよ!」



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