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氷雨と大牙……紅琉奈の怒り3

 獣の群れに対して、必死に逃げようとする雷動達、氷雨は考える前に、自身の両頬を両手で(はた)く。


「本当に……大牙と出会ってから、面倒くさい! 悩むことすら、馬鹿馬鹿しいぞ! 紅琉奈、奴等を助けるぞ!」


 予想外に発せられた氷雨の言葉に紅琉奈は、頷きはしなかった。


「無意味だ、何故、敵を助ける? 奴等を助ける必要かある……理解できない」


「大牙なら……本気で奴等を助けに行くだろう、理由なんか、後で考えればいいんだ、お前が大牙の半身なら、確りと働きな!」


 苛立ちを露にしながらも、再度、般若の面を作り、被る紅琉奈。


「さっき“面倒くさい”と、言っていたが、氷雨方が、ずっと面倒くさい奴だ!」


 紅琉奈はそう呟くと、不本意ながらに、獣の群れの中心に向けて移動する。


 前に急ぐ獣の群れを中心から、斬り開き、前方と後方に分断する。


 その間に、氷雨が襲われている雷動達を助ける為に、襲い掛かる獣達を切り払っていく。


 紅琉奈の存在を危険だと判断した、一部の獣達は即座に逃げ出し、残った獣達も、威嚇を行うも、動けない状況になっていた。


 しかし、紅琉奈は容赦なく、獣に向けて歩きだす。


「退け……ワタシは、お前達を出来れば、殺したくない……」


 獣達は言葉を理解するように更に散っていく。


 氷雨の方も、獣を数頭、軽く蹴散らすと諦めたように駆け出していく。


 あっという間の出来事であり、雷動達も、恐怖で怯えており、その後、駆け付けた他の雷動達の姿を確認し、氷雨と紅琉奈はその場を後にした。


 夕暮れになり、臨時の結界から雷国の外に向かう。


 野宿の用意を済ませると、氷雨は、紅琉奈に語り掛ける。


「すまなかったな……お前は、間違ってない……雷国は、狂っているんだ……無鬼すら、道具とされる、本来の傀動の役目を忘れ、力を蓄える国となっている」


 焚き火を前に座る紅琉奈。


「何がしたいんだ、氷雨の考えが理解出来ない……奴等を生かして、何の特がある?」


「奴等が死んでも、なにも変わらないさ、だが、生きている事で、恐怖は伝染する、人は他者の恐怖に同調するからな」


 そんな話があっさりと終わり、雷国、一日目で、紅琉奈は無鬼を五体を討伐し鬼水晶を手にする、更に鬼斬り刀、八本を体内に吸収する事となったのだ。


 氷雨と紅琉奈の一日が終わろうとしていた最中、水国、修山の奥にある樹海……


 大牙と五郎は、闇に紛れて、奇襲する心眼の夜夢に気の休まらぬ時間を迎えていた。


 夜夢が提示した、最初の条件は、大牙と五郎による、協力からの一撃を入れる事であり、単体の攻撃を禁止すると言うものであった。

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