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氷雨と大牙……樹海に住みし心眼

 しかし、決闘を承諾されたとして、五人と言う人数に五郎は、難を示した。


「あと一人をどうするんだ? 師匠も含めて、人数不足では、戦いになりませんぞ?」


 氷雨はクスクスと笑い、三人を連れて、山の先にある、更に深い樹海へと向かっていく。


「本来なら、此処で修行して貰う日が来る筈だったが……予定は狂うものだ、まあ、結果が同じなら、問題ないがな」


 樹海の入り口を前にした瞬間、紅琉奈が危険を全身に感じたのだろう、目を見開き、構えをとる。


「大牙、先に何かいる……かなり、強い!」


 紅琉奈が強いと口にする姿に、大牙と五郎の表情が険しく変わる。


 そんな最中、樹海の中に入っていく氷雨、樹海の内と外には異なる結界が作られており、樹海の内部は、光の無い暗闇の空間が広がっている。


「氷雨、此処って本当に来る必要があったの……正直、不気味で気味悪いよ」


「うむ……オレも同意だ。結界を何重にも使い、光を完全に遮っている……普通じゃあり得ないぞ」


 大牙と五郎の会話が終わった瞬間、紅琉奈が前に出る。


「何かいる!」


 紅琉奈の反応の早さに感心する氷雨、そして、暗闇の先からは、杖をついた、十代の少女が姿を現した。


「誰だぁ……此処はオラが、氷雨様から任されてる管轄だでぇ、盗人なら、(けえ)りよ? なんもねぇかんな、ん? まさか、氷雨様!」


 訛りのある喋り方で、そう告げ、驚く少女。


 少女の額から眼に掛けて、黒い布が巻かれており、杖を使い、周囲を調べる様子から、盲目であろうことが、皆、予想できた。


 しかし、氷雨が声を掛けた瞬間、変化は起こった。


「久しいな、心眼よ。変わりなく過ごしておるか?」


「はいぃ、変わりなぐ、過ごしております。それより、なして……鬼を連れて、来られますたか? すかも、かなり変わった鬼でねぇですか?」


 氷雨は心眼と呼ばれる少女に、大牙、紅琉奈、五郎との出会いを話し、更に雷国の雷動一派との決闘について語った。


「話しは簡単だ。コイツ等、二人を強くしてくれ、心眼、頼めるか? 因みに紅琉奈は、強さは問題ないから、私が直接、相手をする」


「問題ねぇですよ、只……この御二人の心が心配(すんぱい)なんですが、よろしいんですか?」


「構わぬ、此くらいで、駄目になるなら、試合はおろか、鬼との戦いでも、同様に死ぬだろう、そうなるなら、今、楽にしてやるのも、優しさだ」


 大牙と五郎の不安が最高に達する最中、心眼に案内され、樹海の奥に存在する湖へと移動する。


「さあ、修行を始めっと、本来なら、もう少~し、強くなってから、やるような修行なんだっけんど、死んでくれるなよぅ」


 心眼が杖で地面を軽く叩くと、次の瞬間には、心眼の姿が、湖の中心に移動する。


「いくど」


 更に心眼が杖を、湖の水面を叩くと、大牙と五郎の足元から次々に土の人形が姿を現し、二人を攻撃していく。


「掴またったら、終わりだ! しっかり頑張ってけれ!」


 心眼の姿が、再度、湖から消えると、次は木の上に姿を現す。


 更に杖で、木を叩くと次は、水の人形達が姿を現す。


 大牙と五郎が慌てる最中、心眼が首を左右に振る。


「お前らは、でめだなぁ……可哀想だが、早めに終わらせて貰うよぉ!」

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