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村人を夜国へ……3

夜があける……朝日が村を照らし出すと同時に村人達が動き出す。

各自で持てるだけの荷物を両手に村の外に停泊する二隻の雲船の前に集まりだしていた。


氷雨と反対派の村人達が揉めた後、代表の村人達に風見が話を行い、村人達の半数を即夜国に移住させる事を決断し村人達に話をつけさせたのだ。

僅かな時間であるにも関わらず、村から移住を理解した村人達が夜のうちに荷造りを済ませ、今に至る。

反対派の妨害も懸念されたが、氷雨との実力差をその身に叩き込まれた者達は素直に指示に従った。


そして、前日の蟠りが残るも反対派を含む400名の村人達が黒雲と白雲に分けて船内に案内されていく。


村人が乗船すると黒雷の頭である百姫が指示を出す。黒雲と白雲が浮上すると天高く飛び上がり、夜国を目指して移動を開始する。


村人達を夜国に移住させる事実を伝える為、夜島、庵時が先んじて夜国の王である静夜のもとへと既に夜中移動を開始していた。風国にて戦力が半数にわけられる結果となっていた。


雲船を見送ると百仮は氷雨を含む面々に対して声を出す。


「今より、我らは、敵陣にて奇襲を開始する……明日の正午まで敵を我らに引き付け、第二陣の脱出が終わり次第、一度この場所に集合とする! その際に敵に終われたならば始末せよ……よいな!」


百仮はそう語ると即座に移動を開始する。作戦等は存在せず派手に敵陣を引っ掻き回す事となる。


大牙、紅琉奈、夜夢……3名

五郎、慶水……2名

楽夜坊、夜公仁……2名

氷雨、百仮……各1名


風見が率いる 羽尾、風連達、風国の反乱軍と残された黒雷の団員と隊長である銀大と馬黄率いる黒雷軍団に分けられ、皆が各自に動き出していく。


村を飛び出した大牙達は、最初に鬼達が捕らえられている檻を目指す。

2時間程、風国の地を駆けた大牙、紅琉奈、夜夢の視界に檻が大量に置かれた広場のような場所が姿を現す、一度身を隠しながら周囲を警戒する。

何日も水浴びをしていないであろう鬼達からは酷い体臭と周囲に飛び散った血液が混ざりあって凄まじい悪臭をはなっている。

そんな檻が並べられた広場の中を巨大な鍋のような物を乗せた台車が進んで行く。3人一組で前と後ろに1人ずつ台車を押す係りと引っ張る係りに分かれており、もう一人が鍋から巨大なお玉で檻の中に向けて食事であろうドロドロの何かを投げ入れていく。


「ッチ……毎日毎日、はぁ、やになるよな」

「ぼやくなよ、鬼に餌をばら撒くだけの仕事なんて楽でいいだろうが」

「まぁな、この臭いさえなければな!」


愚痴を吐きながら鬼の餌をばら撒く3人、他には見張りであろう数名の兵士が入口に4人、見回りで5人の計12人であり、各広場で同じような人数が配備されていた。

飼われている鬼は五十程度であり、何かあれば配備された兵士達だけで対処は難しいのではないかと大牙は考える。


「夜夢、広場から離れた位置に他の部隊が居ないか索敵してくれないか」

「わかった、大牙の考えは何となく分かる」

「なんだ? 周りになんかあるのか?」


大牙と紅琉奈の会話に紅琉奈が首を傾げてみせる。


「紅琉奈、これだけの鬼を一般の兵士だけで何とか出来るとは思えないんだ」

「つまり、隠れてる奴らがいるのか?」

「隠れてるって言うより、何か問題が起きた際に解決する奴らが近くにいる可能性があるって事かな」


大牙の説明を聞いて、紅琉奈は急に立ち上がると大牙の手を握る。

突然の事にあわあわする夜夢を無視するように紅琉奈が口を開く。


「大牙よ! ならば私も敵を探そうッ! 夜夢だけに任せるより2人の方が早いからな! 大牙は待っていてくれ」


止める間もなく、紅琉奈が駆け出していく、その光景に一瞬、大牙と夜夢が呆けてしまうが我にかえった夜夢が慌てて動き出す。


「大牙、ごめん、紅琉奈を追う……まったくもう!」


そうして、2人は大牙を1人その場に残し風国の地を駆け出して行くのであった。


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