表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アタシを弱くさせる男  作者: mimuka
4/33

4

「そうは言っても…キミ、ずいぶんと落ち込んでいるじゃないか」


「自分のバカさ加減に呆れているだけです」


「まあまあ。まずはキミもシャワーを浴びてくるといい。スッキリするよ」


「そう…ですね」


ベッドのシーツを体に巻いて、とぼとぼとシャワールームに向かった。


彼が先に使っていたせいか、ほのかにあたたかくて、そして良い匂いがした。


あの人の匂い…とぼんやり思ったところで、理性が襲ってきた!


いけないいけない!


たった一晩の相手なら、今までもいなかったワケじゃない。


こういう相手には深入りはダメ。


気持ちを切り替えて、シャワーを浴びることにした。


体を全て洗い終えた後、湯船に体を沈めると、深いため息が出た。


「ふ~」


…思い返してみると、彼は何だかあんまり動揺していないように見えた。


もしかして…こういうこと、前にもあったんだろうか?


確かに歳にしては顔立ちは整っているし、仕事もできる。性格は…ちょっと人を食ったところがあるけれど、そこが魅力的だと思える人もいるだろう。


…でも一番の問題はそこじゃない。


あの人は…結婚していなかったっけ?


と言うか、恋人は?


何せ20も歳の差があると、プライベートなことはほとんど情報が入ってこない。


しかもライバルだと、知りたくもないという気持ちがある。


敵を知るより、己のことの方が大事だと思ってきたからだ。


でもそれもちょっと失敗だったかもしれない。


もし女性の影を少しでも知っていれば、こんな失態はしなかったかもしれないのだ。


「はあ…」


もう、どうしよう?


泣きたい気持ちを抑えながら、アタシは湯船に全身浸かった。


長くおフロに入ったのは、その間に彼が部屋を出て行ってくれることを望んだからだ。


でもバスローブを羽織って部屋に戻ると…。


「やあ、長かったね」


…いたし。


しかもスーツを着て、メガネをかけて、髪も整えて、いつもの見慣れた姿だ。


「白神課長…。部屋を先に出てくださいと言ったじゃないですか」


「うん、でもキミがあんまりにひどく落ち込んでいたからさ。心配で」


窓際に置かれたイスに座り、テーブルに新聞を広げて見ながら言われても、説得力がない。


やっぱり喰えない人だ。


「…昨夜のことは、アタシが全面的に悪かったです。反省しています」


「そんなに深く考えることないのに」


「考えますっ! しっ白神課長に奥さんや恋人がいたら、余計にです」


「そんなのいないから、安心していいよ」


と手をヒラヒラ振ってきた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ