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アタシを弱くさせる男  作者: mimuka
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3

「うっ…」


「しかもそのままわたしをベッドに押し倒した」


「うぐぐっ…」


「そして服を脱ぎ出し、わたしの服も脱がせて…」


「わーっ! もういいです! ゴメンなさい、すみません!」


アタシは耐え切れなくなって、布団に顔を埋めた。


どーせそんなことだろうと思いました!


…体の奥にあるダルさは、とてもお酒のせいにはできない。


それにこの妙にスッキリした感覚も、覚えがある。


たまったモノが、スッキリしたんだ。してしまったんだ。


シクシク…。


「…って言うか、何で反撃しないんですか? 白神課長」


思わず恨みがましくなってしまう。


いくら酔っ払っていたとは言え、男性の力であれば容易く動きを封じられただろうに…。


するとキョトンとした顔をされた。


「そりゃあキミ、据え膳を喰わない男なんていないだろう?」


あっさり認めた!? 自分の下心を。


「20歳も年下の魅力的なキミに迫られちゃあね」


…そうだった。アタシとこの人は20歳も違ったんだった。


今、アタシは28歳。


この歳で、しかも女で営業課の課長になれたのは、アタシだけだった。


そのぐらい成績が良かっただけのこと。


他の営業課の課長は男性ばかりで、やっかみは多かったけど、彼だけはまともに話をしてくれた。


まあ社交辞令的な話ばかりだったけど…少なくとも体を許すほど仲は良くなかったはずだ。


しかも恋愛感情なんて一切なかった!


アタシは独身で恋人もいなかったけど、彼に片想いなんてしていなかったのに…。


…お酒のせいかな? それとも浮かれた気分のせい?


よりにもよって、ライバルと寝ちゃうなんて…大失態!


「そんなに落ち込まれると、こっちも落ち込むんだけどな」


そう言いながらタオルで頭を拭く。


しかしそう言われても、結局誘ったのはアタシの方だし、誘いに乗った彼を恨みたい気持ちはあるけど、でもやっぱり悪いのはアタシだ。


彼は据え膳と言ったが、女であるアタシに恥をかかせない為だったかもしれない。


女から誘ったのに、断ったら後に恨まれると思ったのかも…。


「あの、白神課長」


「うん」


「その、本当にすみませんでした。ホテル代はアタシが払いますので、お先にどうぞ」


いくら会社から離れた所にあるホテルとは言え、知り合いがいない可能性は低い。


一緒にホテルに出たところを見られたら、もう会社にはいられない。


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