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60 外交についての話し合い

 セルバージュ家に挨拶に行ってから数日が経過したある日、セレネティア王国の外交官がうちの町にやってきた。竜神の森のリオと貿易するため、細かな取り決めなどを協議するためである。特に問題となるのが関税の話し合いである。前々から、予定されていたことだけれど、いざとなると緊張するものである。


 これからはうちの主な輸出品に鉄製品が増えるだろう。その製品をセレネティア王国に輸出する場合、関税がかかる。通常、国内に入れたくない物品は関税を高くする。


 俺はセレネティア王国の外交官達を屋敷に招待した。会談する場所は家の会議室である。外交官と会談する場所としては少し寂しい気もするが我慢してほしい。

 さて、実際に外交官と対面した時、相手方の中には国王様もいた。なんで国王様がいるの、暇なの? これでは首脳会談みたいではないか。いや、べつに竜神の森に住む人々の代表ではないけれど。対して、こちら側のメンバーは、俺、シルフィー、エリエット、セルバージュ家のモエリアが列席している。

 国王様は、今回の戦争で相手国に迷惑料を請求したらしい。


「レネア王国から迷惑料として100億ゴールド受け取りました。アレクシス様、リオの町の運営のためにお使いください。」


 驚いたことに、その全額を俺に譲ると言う。普通はありえないと思うのだが。


「そんなお金受け取れませんよ。。そのお金はセレネティア王国に差し出されたものでしょう?」

「しかし、我が国としてもリオの町だけでは、今回依頼の報酬としては十分ではないと考えておりまして。。恥ずかしながら、リオの町には産業がありません。リオの町を切り離すことで、我が国が支援金を払わなくて済むようになったのです。むしろ、報酬ではなく我が国の負債を押し付けたみたいで、申し訳ないのです。」


 確かに、言われてみるとそのとおりである。正直なところ、リオの町長に就任してから出費が激しい。俺はこの金を半分だけ受け取ることにした。


「わかりました。それでは、リオの産業を立ち上げるための資金として、半額の50億を受け取りましょう。残りはセレネティア王国が受け取ってください。」

「あの、全額でもよろしいのですが・・・?」

「いいえ、半額で結構です。その代わりと言っては何ですが、セレネティア王国とリオの町との間で、自由貿易させてください。つまり、関税をかけないという事でお願いしたいのです。」


 国王様は、しばらく外交官たちと相談して結論を出した。


「もともと、リオの町は我が国の領土でしたので、関税がなければ今までと何ら変わらずに商売ができます。商人たちにとっても良い提案だと思われます。わかりました、そのように協定を結びましょう。」


 今現在は関税をかけていない。しかし、この交渉の後に関税をかける可能性もあった。なので、混乱を未然に防ぐことができたと思う。

 続けて別の外交官が話し始める。


「今回は、もうひとつ交渉の議題があります。我々、セレネティア王国と竜神の森との間で不可侵条約を結びたいと思います。いかがでしょうか?」


 なるほど、俺としては悪くない。しかし、この外交官誤解していないだろうか? 竜神の森とは国名ではないのだが。竜神の森とは、単なる地名である。そこに竜神族の村というひとつの村があった。そこに、リオという独立した町が増えただけである。今後、竜神族の村とリオがまとまってひとつの国として宣言をする可能性はあるかもしれない。しかし、他国から国家として承認されるかは不明である。


「えーと、誤解されているかもしれませんが、竜神の森と言うのは地名であって、国ではありませんよ。」

「え・・・。」

「今の現状は、もともとあった竜神族の村に新たにリオの町が増えただけで、それぞれ町と村は独立していて国としてまとまっているわけでもありませんし。」

「しかし、周辺国からみるとですね、すでに竜神の森という領土があり、竜神族という民族が住んでいて、その民族により実効的支配されています。これはもう国として承認されるべき条件をクリアしており、すでに周辺国からは国として認められているのですが。。」


 そんなこと言われても困る。


「もちろん、私はセレネティア王国とは懇意にしてもらっているので、戦争を起こすなど微塵も考えませんが、竜神族の村は私が支配するところではありませんので、その条約は私の一存で締結させることはできません。」

「そ、そんなぁ・・・。」

「それに、もし仮に女神様が私に『セレネティア王国を滅ぼせ』と神託を下せば、私はセレネティア王国を滅ぼさなければならないですし・・・。やはり、約束はできません。申し訳ございません。」


 俺は、軽く頭を下げた。俺の返事を聞いて、セレネティア側の全員が青ざめた。。

 いや、俺自身はセレネティア王国が好きですよ。でも、約束となると安易にできないよね。。


 話し合いはまだまだ続く。自由貿易協定を結ぶための書類作ったり、それにサインをしたりした。途中、シルフィーが作る昼食をみんなで美味しくいただいたりして、結局、一日中協議をしていた。

 今後のリオの産業についての話や、セレネティア王国から石炭や石灰石を輸入することも話した。実際に、輸出できる品質の鉄が工場で生産できるようになると、セレネティア王国に試供品としていろいろと送るつもりである。おそらく、一番の貿易相手国になるだろうから。


 お金の受け取りについては、王国側にアイテムボックス持ちがいて、そのまま地下室にお金を出してくれた。持ち逃げされたりしないのかなと思ったが、その男は奴隷だった。きっと、逃げたりしないように奴隷を使っているのだろう。


 それと、国王様にはセルバージュ家の叔父についての調査も依頼した。リオの町でどのような仕事をしていたのか、不正はなかったのか、人間関係のつながりなど調べてもらうつもりだ。あと、念のために前町長についても不正がなかったのか調べてほしい旨を伝えた。不正があった場合の処罰は、任せることにした。


 日がだいぶ傾いてきた頃、外交官たちとの協議は終了した。彼らはリオの町で一泊宿を取り、翌日帰路につくらしい。本来であれば、夜から歓迎パーティを開くべきなのだろうが、今この町にそんな余裕はない。申し訳ないがそのまま帰ってもらう。シルフィーの料理で昼食をもてなしたのだから、俺としては十分ではないかと思っている。



 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 翌日、俺たちはいつもの家族会議を始めていた。


「おつかれさまです。今日の予定はシルフィーとニーナを連れて竜神族の村に向かいます。向こうで家族の代表が集まって会議があるのですが、可能であればそれに出席したいと思っています。念のために、この屋敷には常時結界を張ってありますが、出かける際は十分に注意してください。クレア、家の警護よろしくお願いします。」

「はい、ご主人様。お任せください。」

 クレアは自信をもって返事をする。


「予定では、2-3日村に滞在するつもりです。」


 今日は竜神族の村へ行く予定だ。ゴンドラを使っていつものメンバーで移動する。ニーナを置いていくと拗ねるからだ。最近、シルフィーと二人っきりになれなくて、少し寂しい。

 早速、シルフィーにゴンドラを出してもらうと、ベルトに金具を固定し出発の準備を整える。今日の天気は快晴だ。風もないし安全に飛行は可能だろう。俺の飛翔魔法は周囲が何故か無風になる。ゴンドラも揺れることがないし風も感じないのだ。飛んでいる間は、何か風を防ぐような結界のようなものが周囲に張られているのかもしれない。

 俺は、垂直にゆっくりと上空に上昇していくと、スーパーマンのように両手を前に出して高速で前方へ飛び始めた。かなり高速で飛んでいるが、風もないしゴンドラも風の抵抗を全く受けないので揺れもしない。竜神族の村までは数分で到着した。


 竜神族の村につくと、一番に見えてくるのが丘に立っている大きな木だ。二年前に俺が植えたあの不思議な木が、いまでは巨木としてその存在感を主張している。たった二年でこれほど大きく育つとは俺も想像すらしていなかった。それも、いまでもどんどん大きく育ち続けているのだ。


 俺は、ゆっくりと実家の前に降りていった。


三年前に木を植えた

二年前に変更しました。

2019/04/09



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