53 坑道の魔物
以前、戦争の描写の中でブレスを吹く場面があったのですが、消してしまったのでここの話で突然前触れもなく水のブレスを吹いていておかしくなっていました。なので、少しブレスについて解説を追加しました。2019/04/14
朝食を済ませると、俺はシルフィーと一緒に森の鉄鉱山入り口まで来た。鉄鉱山の入り口にゆっくりと空から降り立つと、坑道の中は真っ暗になっていた。俺は、シルフィーをゆっくりと地面に降ろして結界を張る。念のために、中に入ると入り口を結界で封鎖する。後から魔物が坑道に侵入するのを防ぐためだ。
坑道を少し進むと等間隔に永続的に稼働するライトを設置していった。電波レーダーで内部を確認するが、電波が乱反射しているのか、詳しい情報はつかめないでいた。しかし、この坑道にある魔力はかなり濃い。中にいる魔物はかなり大きいのかもしれない。
まったく坑道の中で魔物と遭遇しない。おかしいな、ダンジョンのように雑魚の魔物が沢山出てくるのかと思ったが、もう半時間ほど歩いているがまったく気配もない。魔物はいなくなったのかな? 俺は次第に緊張感をなくしていた。しかし、少し坑道の中が広くなったと思うと奥の方に巨大な竜がいた。
俺たちは、まったく未知の相手に一瞬固まった。。目の前には巨大な竜が静かに横たわっている。寝ているのだろうか・・・。確かにここは竜神の森だ。竜がいてもおかしくはない。。しかし、竜を見たのは生まれて初めてだ。この竜は竜神族の誰かが竜になったのか? それとも元から魔物の竜なのか? そもそもこの世界には魔物としての竜もいたのか? 俺はわからない事ばかりで混乱してきた。
見た目は西洋のドラゴンそのものだ。胴体はデカくて太っている。背中には大きな羽がある。東洋のように胴体が細くて蛇のような竜ではない。
しかし、このまま硬直状態でずっといても仕方がない。俺は勇気を出してテレパシーで話しかけてみた。竜なら、人間の言葉を理解していてもおかしくはない。
【こんにちは、そこの竜さん聞こえますでしょうか?】
【ん? 人間か、久しぶりに見たのぅ。何用だ?】
おお、返事が返ってきた。話し合いで解決できるかもしれない。
【いえ、私は竜神族の子です。あなたは竜化の術を行った竜神族の人ですか?】
【む? 竜神の子か。珍しいな。我は古龍のライデンと申す。竜神族ではない。】
古龍? 聞いたこともない種族だ。。
【失礼しました。私は竜神族の子、アレクシスと申します。それで、あなたはここに住んでいるのですか?】
【んー?300年ほど寝ていたのだが。最近人間に起こされたのだ。】
300年も寝ていたのか? スケールがデカい。竜神族より長寿なのだろう。人間がおそらく採掘中にこの古龍を目覚めさせてしまったのだろう。恐ろしいことをする。。
【すみません、その人間達の為にお願いがあります。ここで鉄を採掘することを許可してもらえないでしょうか?】
【うん?別にここに住んでいる訳ではないので構わんぞ。ただし、お前強そうだな。少し手合わせをしてくれないか? 少し体を動かしたいのだ。楽しませてくれたら俺はここを離れると誓おう。】
結局、戦うことになるのかよ。。しかし、古龍に勝てるのかな。でもやるしかない。
【構いません。ただし、後ろの人間に手出しは無用です。後ろの女に怪我でもさせたら、俺は死んでもあなたを殺します。地の果てまでも追いかけて行って殺しますからね。】
【ほほう、頼もしいな。。良いだろう。人間には指一本触れない。ただ、お主を狙ってたまたま人間に当たったりした場合は無効だぞ。】
【分かりました。では、ここでは狭すぎるので、外に出ましょう。。】
と、思ったのだがこの古龍ここから出られるのか?すると、古龍は奥に向かうと巨大な縦穴から地上へ飛んでいった。ここで眠る為に掘ったのだろう・・・。俺たちもシルフィーを抱っこして後を追う。鉄鉱山に置いておこうかとも思ったが、万が一戦いで鉄鉱山が崩れてしまったら大変だ。一応、目の届く範囲にいてもらおう。
「シルフィー、お前には手を出さないようにお願いしたからな。」
「はい、がんばってください。。」
俺は、シルフィーに念入りに結界を張ると、古龍の背後にシルフィーがいるように古龍を誘導した。ブレス対策だ。間違ってブレスがシルフィーに向かうとまずいからな。
古龍相手に手加減はいらないだろう。始めから全力で行く。俺は、森周辺の魔力を吸い込んでいく。始めからブルーのオーラをまとった。そして、結界を何重にも重ねると身体強化の魔法を唱えた。
俺は上空に飛び上がり、斜め上から落下速度も加算して古龍の頭めがけて全速力で急降下した。頭にもうすぐ届くところで右手ストレートを放つ。右手に何枚かの結界の破壊を確認しながら、俺の右手は古龍の頭に直撃した。古龍は驚いた様な顔をしたが、すぐさま右手が俺に襲ってくる。両手に結界を張りそれを防ぐが、そのまま後方に吹っ飛ばされた。俺は地面に叩きつけられながら木々をなぎ倒しようやく止まる。なんという力だ。空中だと踏ん張りが効かない。
しかし、思いっきり殴ったのに平気な顔をしている。。なんだか、だんだん楽しくなってきたぞ。本気でこれほど打ち合えたのは初めてだ。
古龍はすぐに俺に向かって口を大きく開ける。口の中が赤く膨れ上がったと思うと、炎のブレスが俺に向かってきた。俺はすぐに水のブレスを放つ。ブレスとは、10歳になって新しく覚えた竜魔法である。竜が口から炎を吹くあれである。俺の場合、すべての属性のブレスを吹くことができる。古龍と俺の中間あたりでお互いのブレスがぶつかり合う。俺は地面から古龍めがけてブレスを吐いたので、かなり上のほうを向いている。シルフィーに当たることはないだろう。ちなみに、俺はブレスを永遠と吐ける。周囲に魔力がある限りは。なのでブレスの打ち合いで負ける気はしない。そのうち、相手のブレスは衰えてゆき俺のブレスが古龍を襲う。
寸前で古龍が俺のブレスをよけたと思ったら、ものすごい勢いでこちらへ飛んできた。こちらも応戦するため地面を強く蹴り飛び上がる。地面を蹴ったときに後方にとんでもない量の土砂が舞い上がった。クレーターができたかもしれない。ちょっと強く蹴りすぎた。。俺は、小さい利点をいかし古龍の右手の攻撃をかわした後、腹の下の死角になりそうなところに潜り込む。右手に特大のファイアーボールを出現させ、そのまま下から腹を思いっきりぶん殴った。衝撃で古龍は上空に舞い上げられ、俺はそのまま古龍を飛び越し、上空高く飛び上がると真下に飛んだ。最高スピードプラス重力で俺は古龍にそのままドロップキックを食らわす。そのまま地面に叩きつけて潰す。
少しはダメージが入ったか?
俺はもう一度上空に舞い上がり、氷魔法で巨大な先のとがった氷山を10個ほど出現させる。それを古龍の体めがけて降らせた。10本もの氷山は、結界を突き抜けていき古龍の体に突き刺さって砕けた。古龍が初めて大きな悲鳴をあげた。やばい、少しやりすぎたか?
【大丈夫か?】
【ぐ・・・ぐぉぉぉ、痛い。。痛い。。】
どうやら怪我をしたらしい。
【すまん、すぐに回復魔法をかける。】
俺は、すぐに近寄って回復魔法をかけた。古龍は光に包まれると、ぐったりと地面に崩れた。
【うう・・、完敗じゃぁ。竜神族が空を飛んでいるのが始め不思議だと思ったが、そなた魔法を使えるのじゃな? まったく、竜神族が魔法を使えるなんて反則じゃ。。】
そう言えば、普通は竜神族は魔法を使えないんだったな。。
【すまん、俺は少々普通ではないのだ。しかし、俺が思いっきりぶん殴っても死ななかった相手なんて初めてだ。ありがとう楽しかったぞ。】
【こんなに強いとは思わなかったわい。。手合わせなんてするんじゃなかった・・・。我は約束通りこの地を離れることにするぞ。ああ、名前は何だったかのぅ竜神の子よ。】
【はい、アレクシスと申します。】
【覚えておこう。ワシはライデンと申す。それじゃぁ、またどこかで会ったらよろしくな。】
【はい、よろしくお願いします。】
俺は、深く頭を下げて礼をした。
ライデンは、そのまま上空に飛び上がり、東に向かって飛んでいった。
俺は、シルフィーを迎えに行った。
「アレク様、無事で良かったです・・」
シルフィーを心配させてしまったらしい。俺は優しく彼女を抱きしめた。
何だか、俺だけ楽しんでしまって申し訳ない。。




