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47 国王様からの指名依頼。

 女神様は、この戦争に関して神託を授ける事はない。それは間違いないだろう。


「御使い様、なんとか女神様に連絡を取ることはできないのでしょうか?」

「何度も言っておりますが、自分から女神様への連絡方法はありません。自分は声を聞くのみです。」


「ああ・・・、そうですか。」

 仕方がないので、助け船を出すことにする。


「確かに、女神様の使者としてこの戦争に関わることはできませんが、冒険者として私に何かできる事があれば仰っていただければ。ただし、あくまで冒険者としてです。女神様の名を語って戦争をするわけにはいきませんからね。それこそ天罰が下ります。」


「それでは冒険者のアレクシス様として指名依頼を頼めるでしょうか?」

「ええ、そのために冒険者として参ったのですから。。」


「ありがとうございます。」

 国王様は再び頭を下げた。


「それでは、指名依頼の詳細を別室で話し合いたいと思います。各大臣に準備をさせますので、また後程お呼びいたします。」


 国王様はそう言って謁見は終了した。

 俺たちは、一度客間に通されお茶を頂いた。さてと、どの様な話し合いになるのやら。。


 数分が経過したころ、衛兵が呼びに来た。俺たちは会議室のような場所に移動して、今後の事を話し合うことになった。部屋に入ると、国王様はもちろん各大臣の面々も揃っていた。全員が緊張しているようで、部屋の空気がピリピリとしている。俺達が席に着くと、まず軍関係のお偉いさんが話し始める。


「それでは、指名依頼の内容について申し上げます。冒険者アレクシス様には、我々の軍の指揮を執っていただき敵軍を国境の町タリアで迎え撃っていただきたいと・・・。」

「却下です。」

「な!?」

「俺は、戦争をするつもりはありませんよ。敵が来たら追い返せばいいだけじゃないですか。。前線には俺達だけで行きます。他の者がいればはっきり言って邪魔ですから。指名依頼の内容はこの様に記入してください。依頼内容は、『敵を追い返すこと。』それだけで構いません。」

「なに?ふざけているのか貴様ぁ!」


 いや、全然ふざけていないですが。。すると、シルフィーがその言動にムッと来たのか、

「アレク様はふざけてなどおりません。アレク様の近くに味方がいれば本気を出せないから言っているのですよ。アレク様が本気を出せば、味方まで皆殺しにしてしまいます。」


 その言葉に、部屋の全員が無言になった。。まぁ、間違ってはいない。


「シルフィーの言った通り、本気を出すためにも俺たち三人だけが都合がよいのです。死にたくなかったら、あなた方も我々に近づかないことです。砦で万が一敵を取りこぼしたら、後方にいてそいつらを叩いてください。それと、そのタリアという場所以外にも敵が攻めてくるかもしれません、そちらも警戒してください。」


「ば・・、馬鹿な。たとえ御使い様と言えども相手は数万の敵ですぞ。それでは無駄死にになりませんか?」

 と、国王が言った。すると、我慢が限界に達してしまったニーナが吠えた・・。


「はぁ?馬鹿じゃないの!? ご主人様が人間なんかに負けるはずがないじゃない。威圧だけで弱い人間は動けなくなるというのに。。ご主人様、この人たちに威圧の恐ろしさ教えて差し上げたらどうですか?」


 おいおい、物騒なこと言うんじゃない。。10歳になってから威圧の威力も数倍跳ね上がっているんだぞ・・・。殺してしまったらどうするんだよ。。あと、国王様に馬鹿とか言うんじゃない。。


「駄目だ。そんな事をして、ここのお偉いさん殺してしまったらどうするんだ。。」

「そ・・、それもそうね。。じゃ、私が軽くやってもいい?」

「駄目だ駄目だ。お前も攻撃魔法はシャレにならんじゃないか・・・。」

「むぅ。。」

 ニーナが拗ねた・・・。


 すると、それを聞いていたひとりの大臣が、

「そ、そんな小さな子供の攻撃魔法が強いんですか?たとえ獣人だと言っても流石にそこまでは・・。そもそも、何故このような席にこんな子供を同席させているのか理解できません。。」

 それを聞いて、ニーナがムカッと吠えそうになるのを慌てて抑える。。


「あの、止めてください。確かにニーナはまだ5歳でギルドにも登録できていませんが、将来は神に仕える神獣ですよ。。もしかしたら、俺より強くなるかもしれません。」


 また部屋の中がシーンと静まり返る。子供だと言った大臣は青い顔をしている。。困った。


「そ、それじゃぁ、俺たちの意見に反対の人がいたら、シルフィーに威圧魔法使ってもらおうか。一番攻撃魔法苦手だし、同じ人間だしね。それでもし動ける人間がいたら、俺と一緒に戦ってもいいですけど。。」


 俺は、にっこりと笑った。そして、誰も手を挙げなかった。


「く・・・、同じ人間なのに、こんな小娘になめられてたまるか。」


 誤算があった。ひとりだけ手を挙げたやつがいる。さっきの防衛担当の大臣だ。小娘発言にちょっとカチーンときたが、俺は優しいからな。。一応補足を言ってやる。


「いいのですね? この子人間ですけど森の精霊から加護を受けてますよ。女神様とも直接対面している人間ですよ。本当にその者の威圧を受けるというのですね・・・?止めてもいいですよ。」


「な!? め、女神様と直接対面? く・・・、お、男に二言はない。」

「えーと、それでは私たちは外で…。」

 と、他の大臣たちはぞろぞろと部屋を出て行こうとする。。残るのは、ひとりだけの様だ。


「お、お前ら。。恥ずかしくないのか!残れ!」

「え・・・嫌です。これでもし動けても、御使い様と一緒に戦うのは無理です。死んでしまいます。」

「う・・・。俺は軍人だぞ!敵前逃亡はしない!!」


 おいおい、誰が敵だよ。。お前たちを助けようとしているのに。


「仕方がない、シルフィー優しくしてあげて・・・。」

「は、はい。アレク様がそう言うのでしたら。」


 そして、シルフィーは少しだけ魔力を使って威圧を発動させた。するとその瞬間空気が変わる。部屋の中が静まり返った。大臣は動けていない。


「う・・・うぅぅぅぅ、うぅぅ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ」

 そして、ガタガタと震えだして叫びだした。これはまずい。

「シルフィーそこまで!!」

「は、はい。」


 シルフィーは魔法を解除した。部屋の緊張が一瞬で緩む。大臣は、すごい汗をかいてブルブルと震えている。大丈夫だろうか。。まぁ、自分から志願したんだ。自業自得だろう。


「どうですか、大臣殿? 俺の本気の威圧は、このシルフィーの威力の数十倍ですよ。戦場ではこれを何度も使うのですよ。そんな中一緒に戦ってくれますか?」


 大臣は声には出せないが、大きく首を横に振った。まだ足が少し震えている。失禁しなくてよかったよぉ。。


 その後、国王様の決定で俺への依頼内容は、『敵を追い返すこと。』で決まった。報酬は成功してからでいいと言って、俺はすぐにタリアに出立する準備を国王様にお願いした。


 あと、ふたつ依頼内容に条件を付けた。

 ひとつ目。この戦争で決して『女神様』や『御使い様』の名を出さないこと。これは冒険者としての俺の仕事だからな。

 ふたつ目。俺達三人の冒険者パーティには行動に制限をかけない事。つまり、自由裁量権をつけてもらった。これで王国の政治権力者や軍の指示にも従わなくて良くなる。



 さあ、タリアに出発だ。




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